RAZORS EDGE

関西ライブレビュー

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2016.12.17 十三ファンダンゴ

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梶原有紀子の関西ライブレビュー

大阪が生んだ、世界に誇る不屈のパンクヒーロー、RAZORS EDGE。結成20年、6年ぶりのワンマンの長く熱すぎる一部始終

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会場のファンダンゴに一歩足を踏み入れた瞬間にまず思ったのは、いつも以上に、その場が男くさい。そして、すでにタバコくさい。さらに、めちゃくちゃアルコールくさい。2016年もあと半月で終わる真冬の空の下、半そでTシャツ(しかも大方は歴代のレイザーズTシャツ。このデザインが素晴らしくポップでセンスがいい)+ショーパンの男たちと、女たちがわさわさと集まってきている。2016年にバンド結成から20年を迎えた、大阪が生んだパンクヒーロー。そして日本が誇るスラッシュ、ハードコアヒーロー、レイザーズエッジ。唯一のオリジナルメンバーであるフロントマンのKENJI RAZORSと、2002年に加入したMISSILE(b)とKRASH(Dr)、そして2005年に加入したTAKA(g)の4人。すでに発表されている通り、2016年いっぱいでTAKAがバンドを脱退。封印を解き、6年ぶりのワンマンをバンドにとって聖地といえるライブハウス、十三ファンダンゴで行ったこの日は、先の4人での最後のワンマンとなった。

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愛されている。確実に、暑苦しいほどにレイザーズは愛されている。その証拠に、フロアの前方を占領した男たち&女たちが猛然とモッシュし、活きのいい魚が飛び跳ねるようにクラウドサーフを繰り返す。ドカドカした音と熱はビシバシ届いているものも、おもしろいぐらいにステージがまったく見えない。3曲目の「STR8 TO SPACE」でようやく、浮上(ダイブ)したKENJI RAZORSの姿が見えた。同じようなことを考えているのか、近くにいたお客さんが「ケンジさん跳んだ!」「見えた!」と合掌する勢い。その時点でベースのMISSILEは、大量の汗で顔に髪が張り付いていて、表情がほとんどわからない。場内すでに猛烈な熱さ。

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ステージが見えなくても背伸びをしながら歌うのをやめない男女。「ペース配分するなよ。ベスト盤『RAZORS MANIA』には44曲入ってるけど、今日はそれ以外の曲もやるから、好きな曲が鳴ったら必ず来てくれ!」とのKENJIの言葉に応えるように、己の好きな曲が始まった途端、手に持ったビールをひっくり返す勢いでステージ前に向かっていく人。20周年とはいえ、「懐かしんでばっかいられへんで!」と言うなり、続く「POISON PUNK」で、フロア中央のカウンターへKENJIがマイク片手に人の波を縫ってやってきた。そしてカウンター上からフロアへ向かって1ミリの躊躇もなくダイブ。その体は、波に運ばれるように人の頭の上を驚くほどの速さでお客さんの手によってステージへと運ばれていく。そんな光景をこの日、何度も目にした。

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「WE UNITE」そして「DREAM TEAM」、「FUCK’EM ALL」あたりのポップさは、改めてこのバンドの大きな特徴である楽曲の質の高さを教えてくれる。速いだけじゃないし、ノリがいいだけじゃない。それだけでは人は歌を口ずさむことはしない。ロックやパンクは言わずもがな、J-POPやテクノ、スカ、ブルースなどあらゆる音楽が血肉となっているバンドならではの、音楽性の豊かさを思い知る。そんなことを考えていたら、「俺の大好きなバンドのカバーをやります」(KENJI)と、ストーンズの「Jumpin’Jack Flash」、ガーリック・ボーイズの「あんた飛ばしすぎ」を。こんなにも速い「Jumpin’ Jack Flash」を聴いたのは初めてだ。

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「RAZORS EDGE IS MOST THRASH!!」も「素晴らしいPUNK」も、誰もじっとしていないが、目に付く範囲の人はたいてい誰もが歌っている。「LIVINGDEAD」の重戦車のようなヘヴィさ。それで跳ぶサーファーたちの眺めは最高で、その時の彼らはまるで踊っているように見えた。ステージに向かって「もう限界やぁ」と、拳と声を同時に上げるお客さん。限界はとっくに超えているであろうステージの4人。その時点で、この日のメニューもほぼクライマックスに差し掛かり、演奏曲目は50曲に迫ろうかというところ。それでもイカつい曲はまだまだ続くし、2015年に出た最新のオリジナルアルバムで、前作より曲が速くなっているのは一体どうしたことか。

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ファンダンゴとの縁が書かせた曲「JUSO CRAZY NIGHT」が始まった時、目の前にいた人たちがサーッといなくなリステージに向かって行った。もともと、あってなかったようなものだったステージとフロアの境はほぼ完全になくなって、一気に混沌の度を増していく。ステージは人だらけ。フロアには跳ぶ人だらけ。KENJIが「下がれー!」と言うほど。それを眺め楽しむお客さんはたいていみんな笑っている。それだけ聴くほうにとっても思い入れのある曲だということがわかる。

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アンコールは、ベスト盤に収録された新曲「GET BACK」と、1998年に発売された最初の7インチ盤の曲であり最初にバンドの根幹を作ったともいえる曲「BORN AGAIN」の2曲。20年間を一気に飛び超える選曲の妙に、フロアの反応も熱い。そのアンコールが終わっても、誰も帰ろうとしないし拍手も声も止まない。その声に応えるようにもう一度4人がステージに現れ、「さっき、めちゃくちゃやったからもう一回やろか(笑)」と、本当に最後の最後に「JUSO CRAZY NIGHT」をもう一度。

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終わってみれば、休憩をはさんで2部構成で、予定外のアンコールを含めて全61曲。61曲とはいったい何事か!?2分もあれば1曲まるまる聴ける速くて短いスラッシュといえど、それだけ膨大な曲数を聴かせてくれたこの日のステージは、3時間を優に超えた。「あれもこれも、言いたいことはめちゃくちゃあったけど、もうどうでもいいわ!(笑)」と最後の挨拶をしたTAKA。その前に、「TAKAくん11年間ありがとう。彼のギターを目に焼き付けといて」とKENJIが言い、改めて「KENJIさんは僕のルーツのような人」とTAKAがMCで話した時も、シンミリする気配はまったくなかった。20年間バンドを続けることは誰にでもできることじゃない。けれど、この日KENJIがMCで話したように「懐かしんでばっかいられへん」。なぜならノスタルジーは足を止める。生きてさえいればこの先RAZORS EDGEが進む道のりの途中でまた、転がりダイブし歌い続ける彼らに会える。(梶原有紀子)

セットリスト

  • 2016.12.17 大阪十三ファンダンゴ

RAZORS EDGE

  • 第1部
    1.THRASH `EM ALL!!/2.DO THE SPIN SOUL/3.STR8 TO SPACE/4.CRAZY CONFUSE/5.EAT THE PASSION/6.STORMY! STORMY!/7.FUCKED UP!/8.SKATE RIOT/9.SAVE OUR RIGHTS/10.WAY TO GO!/11.BLACK&GREEN/12.WE UNITE/13.SONIC!FAST!LIFE!/14.SENCE OF SMELL/15.THRASH THE PRESSURE!!/16.POISON PUNK/17.BLITZKRIEG CHAOS/18.KICK START/19.DREAM TEAM/20.FUCK’EM ALL!!/21.JET STREAM/22.SO MUCH FUN!/23.MOUNTAIN MOUNTAIN/24.PUNKADELIC/25.Jumpin’ Jack Flash/26.あんた飛ばしすぎ/27.RADIO“PUNK007”/28.I LOVE VANS/29.POSTMAN/30.MY EAR IS DUMB/31.I HATE WRITING LYRICS/32.GO YOUR OWN WAY/33.I FEEL ALRIGHT/34.UGLY KID>/35.RAZORS WIND/36.TRAIN TRAIN TRAIN/37.DANCE MY DANCE/38.YELLOW MINORITY/39.MAGIC NUMBER/40.RAZORS EDGE IS MOST THRASH!!/41.素晴らしいPUNK/42.THE CLOSE GAME
  • 第2部
    1.NINJAH TUNER/2.A.P.T.N/3.RAW CARD/4.BLITZKRIEG THRATH!!!!/5.LIVINGDEAD/6.DOGS/7.N.T.S/8.NOT THE SAME/9.FAITH/10.WORLD IS ONE(2011 ver)/11.NO MARK/12.THRASH MARCH/13.FUTURE PRESIDENT/14.GLOW IN THE DARK/15.JUSO CRAZY NIGHT/16.MORE SOUL FOR BEAT
  • EN
    1.GET BACK/2.BORN AGAIN
  • EN
    1.JUSO CRAZY NIGHT

梶原有紀子/関西在住。雑誌『CDでーた』編集を経てフリーに。以降、『Weeklyぴあ 首都圏版』『東京Walker』『Barfout!』他でインタビューやライブレポート。近年は主に『ぴあ関西版WEB』『GOOD ROCKS!』でインタビューなど。執筆を手掛けた書籍『髭(HiGE)10th Anniversary Book 素敵な闇』、『K 10th Anniversary Book Years』、『Every Little Thing 20th Anniversary Book Arigato』(すべてシンコーミュージック刊)発売中。