y's presents『貴ちゃんナイト vol.9』

下北沢 Club251

y's presents『貴ちゃんナイト vol.9』

y's presents『貴ちゃんナイト vol.9』

2017年2月4日(土)

y's presents『貴ちゃんナイト vol.9』

「音楽が好きでよかった!」。音楽の虜になったことを全肯定するイベント「貴ちゃんナイトvol.9」終了

2017年2月4日(土)、貴ちゃんナイトvol.9が下北沢Club251で行われた。主催はラジオ・パーソナリティの中村貴子。彼女は、金曜日の深夜、『MOZAIKU NIGHT FRIDAY~TAKAKO’S EDITION~』(bayfm)で、とてもロックなゲストを迎えて楽しいトークを展開している。パーソナリティ歴は長く、僕も20年前、彼女と一緒にNHK-FMで『ミュージックスクエア』という番組を作っていた。中村貴子はイベントのMCもやったりはするが、彼女の軸足はいつもラジオにある。音楽とリスナーが密接に結びつく世界、パーソナリティとリスナーが1対1のコミュニケーションをする世界、自分の頭のなかで情景を想像しながら音楽を聴いたり、インタビューを楽しんだりする世界。中村貴子はそんなラジオの世界を愛している。それは関わっているスタッフや、ここに集まっているオーディエンス、そして出演者も同じだ。

今回の出演者はホリエアツシ(ストレイテナー/ent)、セカイイチ、THE BOHEMIANS、の3組。中村貴子が好きなアーティストをチョイスするのが唯一のルール。出演者発表後、すぐにチケットは売り切れてしまった。が、今回も出演者発表前にチケットをゲットした奇特な人たちがいる。出演者が誰だろうと、貴ちゃんナイトに参加することを楽しみにしている人たちだ。彼らが発券したチケットにはタイトルと日付と会場名ぐらいしか書かれていない。誰かがツイッターにアップしていたが、チケットは真っ白だ。真っ白なチケットを買った人たちはこの空白のなかに自分なりの物語を紡ぎ出す。その時点で、貴ちゃんナイトはもう始まっているのだ。

貴ちゃんナイト vol9

17時30分開場。BGMを作ってきたのはホリエアツシ(下記参照)。NINJA HIGH SCHOOLの音楽が流れるなか、出演者発表前にチケットを買った人たちが入ってくる。と同時に、中村貴子とリスナーたちの笑い声が会場に響きはじめる。イベントはファン同士がなんとなく牽制し合うような場面も見られる。ところが貴ちゃんナイトの空気は正反対だ。中村貴子とリスナーの笑い声が空気を和ませる。貴ちゃんナイトとか関係なく出演者だけを目当てに来たお客さんも、和やかな空気のなかに溶け込んでいく。それこそが貴ちゃんナイトのマジックだ。さらには、山中さわお(the pillows)が物販に陣取り、終演後までホリエアツシのグッズを販売していたのも、僕は貴ちゃんナイト・マジックだと思っている。

18時5分、中村貴子がステージに登場。いつものように貴ちゃんナイトの経緯を説明。リスナーが作ったDJイベントを自分が引き継ぎライブ・イベントにした云々。そして出演者は自分が好きなアーティストをチョイスしたこと、この日限りのスペシャル・ドリンク(それぞれのアーティストの出身地や名前に合わせて作ったドリンクを提供)を紹介。「音楽が好きな皆さん、一緒に楽しみましょう!」というおなじみの掛け声で開会を宣言した。

貴ちゃんナイト vol9

最初の出演者はTHE BOHEMIANS。彼らは山形出身の5人組のロックンロール・バンド。メンバーは中村貴子がパーソナリティをやっていたラジオを通して音楽にハマっていった。1曲目が代表曲「THE ROBELETS」。2曲目が最新アルバム『kaiser strong majestic love』のオープニング・ナンバー「GIRLS( ボーイズ )」。2曲で会場を盛り上げたあと、平田ぱんだは「中村貴子さんの曲紹介のナレーション込みで1曲だった」「お前次第でどこまでも上がれるぞ、ロックンロールもラジオも!」「レディオでロックンロール聴いて集まったお仲間達にうたいたいと思います」というMCで「ラジオ愛」を惜しげもなく振りまきつつ、「私の R・A・D・I・O」へと突入。ライブはどんどん加速していき、「male bee,on a sunny day. well well well well!」「あういえ」「That is Rock&Roll」を叩き込む。最後は「bohemian boy」。平田ぱんだは客席へダイブし、超満員の客席のなかに割って入ってフロアで熱唱。僕の記憶では、貴ちゃんナイトでダイブしたのは平田ぱんだが最初だと思う。このイベントのもう一つのマジックは、「音楽を好きでよかった」という思いを心の奥底から引っ張り出し、音楽の虜になったことを肯定するところだ。だから客席だけではなく出演者も奮い立つ。今夜のボヘミアンズのステージも然りだ。

貴ちゃんナイト vol9

次にホリエアツシがアコースティックギター1本で登場。「ボヘミアンズ、カッコよかったです。ストレイテナーの曲からいきたいと思います」と言って、「彩雲」と新曲(YouTubeでショートバージョンのみが公開されている)「月に読む手紙」を披露。厚いサウンドを削ぎ落とし、歌とアコギだけになったストレイテナーの楽曲が違う表情を見せながら、客席を包んでいく。「貴ちゃんと巡り合わせてくれた先輩の曲」と紹介し、the pillowsの「ハイブリッド レインボウ」を演奏。中村貴子はこの曲をラジオで何度もオンエアした。僕にとっても、お客さんにとっても、思い出深い、大事な曲だと思う。それはホリエアツシにとっても同じだったのだろう。この曲で会場全体がより一層一体となった。ひとつ計算外だったのは、その客席に(正確には物販席に)「ハイブリッド レインボウ」を作った本人がいたことだ。これもまた貴ちゃんナイトならではのハプニングだ。まぁ一番驚いたのは山中さわおだろうけど。「弾き語りは心地がいいんだけど、同期を入れてやります。今後、やるかどうかは今日の出来で決まります」と言って、entのニューアルバム『ELEMENT』から「 How To Fly」と「悲しみが生まれた場所」を演奏。これが最高によかった。デジタルな同期と伸びのあるボーカルとアコースティックギターの音色のマッチングが実に素晴らしかった。entのステージをもっと観たくなった。最後に前作『Entish』から「Zoe」を演奏し、ホリエアツシはステージを降りた。

貴ちゃんナイト vol9

「よし、やっちまおうか!」という掛け声で、セカイイチのステージがスタート。セカイイチの結成は2003年。今年で14年目を迎えるバンドだ。メンバーの脱退などあったものの、セカイイチの音楽は階段を上がっていき、ロックンロールとソウルとファンキーが入り乱れた独特な世界観を構築。最新アルバム『Round Table』の冒頭を飾る「HARD-CORE-GEEK」で一気にセカイイチの色に染め上げた。2曲目が「Grave of Music」。「自分のビートで踊ってください」というMCから「New Days」へとなだれ込み、「新曲をやりますね」と言って「Lay me down」を披露。「Daylight」で客席を包み込みつつ、激しくノイジーでファンキーな「Looking Around」でフロアを熱くする。最後はアルバムの表題曲「Round Table」を決めて、あっという間に本編は終了した。鳴り止まない拍手に応え、セカイイチがステージに再び登場し、ホリエアツシを呼び込む。「セッションはしんどいと思っていたんだけど、曲を聴いた瞬間に歌いたいと思った」とホリエアツシ。絶望と希望を歌ったセカイイチの名曲「バンドマン」を見事に歌い上げた。アンコール2曲目は平田ぱんだが登場。ピロウズの「RUNNERS HIGH」を大合唱した。「中村貴子、ラジオと来たらピロウズ」というのが、今日の出演者の共通した「解」らしい。この日2回目のカバーに一番驚いたのは客席の(正確にいうと物販席の)山中さわおだろう。曲が紹介されたとき、「ほんとにー!?」と驚きの声を上げたのを僕は聞き逃さなかった。

貴ちゃんナイト vol9

中村貴子がラジオを通して積み重ねてきたリスナーとの約束、ミュージシャンとの信頼感が宿った貴ちゃんナイト。中村貴子が積み重ねてきたものが、参加者の心を楽しくさせ、弾けさせる。そういう意味では貴ちゃんナイトとは「疑似・ラジオの公開録音」のようなものかもしれない。2時間半の間、会場にやって来た人全員が(出演者も含め)、貴ちゃんナイトというラジオ番組の出演者になるのだ。この一体感、濃密感、居心地の良さ、そして満足感は、なかなか小手先の演出だけでは得られない。だからこそ真っ白なチケットを買っていろんなことを想像しながら当日を待つ人がたくさん出現するのだろう。次回は一体どんなマジックやハプニングを見られるのか、今から楽しみでしょうがない。(森内淳/DONUT)

y’s presents『貴ちゃんナイト vol.9』

  •  日程:2017年2月4日(土)
  • 会場:下北沢 Club251
  • 出演: ホリエアツシ(ストレイテナー / ent)/セカイイチ/THE BOHEMIANS
  • MC:中村貴子

  •  Floor SE1
  • ALBUM:「YOUNG ADULTS AGAINST SUICIDE」
  • ARTIST:NINJA HIGH SCHOOL
  • CD番号:TOM57CD
  • レーベル:Tomlab

  • 「THE BOHEMIANS」
  • M1. THE ROBELETS
  • M2. GIRLS( ボーイズ )
  • M3. 私の R・A・D・I・O
  • M4. male bee,on a sunny day. well well well well!
  • M5. あういえ
  • M6. That is Rock&Roll
  • M7. bohemian boy

    Floor SE2

  • ALBUM:「CARRIE & LOWELL」
  • ARTIST:SUFJAN STEVENS
  • CD番号:AKR099
  • レーベル:Asthmatic Kitty Records

  • 「ホリエアツシ(ストレイテナー/ent)」
  • M1.  彩雲
  • M2.  月に読む手紙
  • M3.  ハイブリッド レインボウ
  • M4.  How To Fly
  • M5.  悲しみが生まれた場所
  • M6.  Zoe

  • Floor SE3
  • ALBUM:「WILDFLOWER」
  • ARTIST:THE AVALANCHES
  • CD番号:2547900241
  • レーベル:ASTRALWERKS

  • 「セカイイチ」
  • M1. HARD-CORE-GEEK
  • M2. Grave of Music
  • M3. New Days
  • M4. Lay me down
  • M5. Daylight
  • M6. Looking Around
  • M7. Round Table
  • EN1. バンドマン (オリジナル : セカイイチ)
  • セカイイチ・ホリエアツシ
  • EN2. RUNNERS HIGH (オリジナル : the pillows )
  • セカイイチ・ホリエアツシ・平田ぱんだ

  • Floor SE4
  • ALBUM:「 Superheroes. Ghostvillains+Stuff」
  • ARTIST:THE NOTWIST
  • CD番号:N54
  • レーベル:ALIEN TRANSISTOR
  • ※Floor SE選曲 :「ホリエアツシ(ストレイテナー / ent)」

貴ちゃんナイト、関連ページ

中村貴子オフィシャルTwitter: http://twitter.com/takako_nakamura

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