山﨑彩音が「今」気になるモノやコト、エッセイなどを紹介!

山﨑彩音の「その時、ハートは盗まれた」

2017/11/8

第23回目 『山﨑彩音、ドーナツ宣言!~ドーナツ記録①~』

山崎彩音

「ドーナツ食べたい」。
「ラーメン食べたい」に肩並べできるくらいパワーがあり、ドリーミーな言葉である。

私はミスタードーナツを見かけると吸い込まれるように店に入ってしまう。
そしてライブ帰りのヘトヘトな夜でも、お構いなしに買って帰る。
ハニーオールドファッションとエンゼルクリームが大好物だ。

雑誌ポパイで「映画とドーナツ」特集がされ、
普段なんとなく“食べたくなる”ことが多いドーナツに対して、
「みんながわたしの大好きなドーナツを食べ出す! ドーナツ愛がこの日本中で溢れかえる! わたしだってドーナツ大好きだよ!!!」と、張り合わなくてもいいのに顔も性別もわからない相手と戦うような、競うような気分になってしまったので、今回はドーナツの話をさせていただく!

山﨑彩音

この間、用賀駅にある「Take it all」というドーナツ屋に行った。
前に用賀駅に用事があるときに店の前を通り、
“あっドーナツ屋がある!”と思ったものの寄れずにいたその店は、なんとポパイにも紹介されていた。

山﨑彩音

お店の外見はこじんまりとしているけれどポップでキュート。
ハウンチングベレー帽にグレーのTシャツ+エプロン姿のお兄さん。
“朝からここで一人、淡々と揚げているんです”と教えてくれた。
11時オープンだけど夕方にはドーナツやクッキーは無くなってしまうらしい。
コーヒーを入れている姿を眺めていると腰にシルバーのチェーンが。
あくまで個人的な妄想だけど、「ブランキーが好きそうな30代前半」といった私的ナイス・ドーナツお兄さんだった。

山﨑彩音

私が食べたドーナツは「ピスタチオドーナツ」と「ジンジャードーナツ」。

「ピスタチオドーナツ」は他のドーナツ達と比べてふた回りくらい大きく、値段も店で一番高い。
生地はふんわり、でもしっとり系。
口に入れた瞬間、ピスタチオの塩気がたまらないしドロドロとしたソース具合が幸せ。
これ一つで食べ応えが十分あった。

「ジンジャードーナツ」も他のドーナツ達と比べて大きめ。
ジンジャーシロップがかかったこのドーナツは、“しゃりしゃり食感”
わたしはドーナツだと結構このしゃりしゃり系が好き。

2つとも本当に美味しかった~。

10月なのに嘘みたいな暑さの中、
ルンルンに今年最後であろう半袖を着て、アイスコーヒーを飲みながら食べるドーナツ。
街ゆくサラリーマンを眺めながら、鳩に囲まれて食べるドーナツ。
口の周りが甘いカスでいっぱいなのを手で払い、アイスコーヒーを飲み干して、
胸いっぱいに幸せが広がる、まさに絶好のドーナツ日和だった。

(↓このかわいいお店のステッカーは自由にもらえる。本当は5枚くらい欲しかったけど、ナイス・ドーナツお兄さんを前に遠慮してしまった、、、)

山﨑彩音

一人でドーナツをムシャムシャして、コーヒーを飲んでぼーっとする。
これは立派なルーティンだ。
そんなひとりの時間にぴったりなのがドーナツなのかもしれない。
ドーナツはもしかしたら“個人主義的たべもの”なのかもしれない。

なんとなく、パスタは誰かと食べてもいいけど、うどんは一人で食べたいと思う。
それと同じでケーキは誰かと食べてもいいけど、ドーナツは一人でムシャムシャしたい。

甘ったるい気持ちになりたい。
幸せを感じたい。
だからドーナツを食べるのだ。もんもん、むしゃむしゃ。

たまらない甘さと、重さ。
2個も3個も食べてしまった時の罪悪感(特に深夜に)。
そして不思議なのがだいたいのドーナツが「すぐに思い出せる味」だということ。

全てが愛おしい。
これを書いてるときにだって、ドーナツがものすごく食べたい。
大げさにでかいマグカップに注がれたコーヒーを飲みながらドーナツを食べたい。
絶対、ドーナツには人を明るくさせる何かが潜んでいる。

ポパイが発売されてから私の頭の中はドーナツでいっぱいになってしまっている。
週3、4ペースでドーナツを食べているくらいに。
そんな毎日を送っていたら、私のソウルメイトこと“村上春樹”もドーナツが好きだったことを思い出した。

「村上ラヂオ」というananに連載されていたエッセイをまとめた本にはまさに“ドーナッツ”というタイトルの話が出てくる。
そこにはドーナツの穴の誕生秘話が書かれていたり、わけもなく理不尽によくドーナツが食べたくなる、等々村上春樹のドーナツ愛がささやかに書かれている。
「羊男のクリスマス」という本にもドーナツが出てくる。ほぼドーナツがメインのお話。
挿絵に描かれている茶色くて油いっぱい染み込んだ揚げたてのシンプルなドーナツこそ、村上春樹的ベスト・ドーナツなんだろう、なんて思いながら見ると楽しい。

ドーナツ好きの方には是非一度読んでみてほしい。

山﨑彩音

ポパイを読んだ友達から「あそこのドーナツ屋いこ!」と連絡がきたり、
わたしが家で「ドーナツ!! ドーナツ !!」と騒いでいるから、お母さんがドーナツ買ってくるのが増えているのがうれしい。

前回「生きやすく感じるように」で書いたように、“自分の中の楽しみを見つける楽しみ”が今一番の遊びとなっている。
数ヶ月前はそんなことしなくても、毎日外に出て電車に乗って学校へ行き、変な友達に会えて「ちょーウケる」って話を聞けたり話せたりしたからわざわざ“楽しみ”なんてこと考えもしなかった。
そんな毎日が当たり前じゃなかったんだな、と気づいた私が最近辿りついたのが雑誌やドーナツや図書館。

ポパイに載っているドーナツ屋を全制覇するのが今のワクワク。
雑誌に連載されてるエッセイの感想文を勝手に描くのが今の試練。
近所の図書館に大貫妙子さんのCDがそろっていて謎に感激。

ドーナツ食べて起きてる時間はぜんぶ楽しむ宣言! ここにあり!


2017年 4月 26日(水)リリース
FSCT-1005 フォーライフソングス
¥1,200(税込み)
収録曲:プレゼント/〇/キキ/ La mer 全4曲