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2017/2/24

オアシスのドキュメンタリー映画がDVD化&オアシス日本最後の公演が映画化!

オアシスがデビューした当時、NHK-BS『渋谷陽一のミュージック・サテライト』を作っていた。洋楽の最新MVやインタビューを紹介する番組だ。その番組のなかで海外特派員の児島由紀子さんが「今、ロンドンで盛り上がっているバンドがいる」とオアシスを紹介。そのとき児島さんはとても興奮していたのを覚えている。すぐにMVを取り寄せた。それが「スーパーソニック」だった。「スーパーソニック」のインパクトは絶大だった。本当にカッコよかった。シンプルでメロディが立っていて、何よりもロックンロールだった。オンエアの次の日、「オアシスをオンエアしていましたね!」と声をかけられたことを覚えている。日本でも一部の洋楽ファンの間で話題になっていた。それからというもの、新しいMVが発表されるたびにオンエアした。「スーパーソニック」以降の、オアシスの快進撃は凄まじかった。日本でもマッハのスピードで売れていった。このドキュメンタリー映画『オアシス:スーパーソニック』でも描かれているが、初来日時(1994年)は1000人のファンが空港に出迎えた。東京のライブ会場は渋谷クアトロ。700人入れば立錐の余地はない。洋楽ファンが大挙して押し寄せ、会場は熱狂に包まれた。たぶんもっと大きな会場でもやれたと思う。

「レコード契約からわずか3年でネブワースに立った(観客は25万人)」。映画『オアシス:スーパーソニック』で繰り返し、出てくるセリフだ。イギリスでのブレイクの仕方は日本とは比べ物にならなかった。あっという間にアリーナ、スタジアム、野外ステージと駆け抜けた。オアシスは1991年にバンドを結成。結局、地味だったのは最初の2年間だけだ。93年にクリエイション・レコーズのアラン・マッギーの目にとまってからは光速でブレイク。デビューから5ヵ月後のファーストアルバム『オアシス (Definitely Maybe)』は全英1位に輝いている。だから映画もブレイク後の喧騒が主になる。そのなかでも話題の中心はリアム(Vo)とノエル(G)の兄弟仲の悪さだ。この兄弟の仲の悪さは有名だが、本当に酷い有様だ。どうやら子供の頃から仲が悪かったようだ。というかソリが合わなかったという。リアムがノエルをバンドに誘ったが、ソングライターはノエルで、どうしてもノエルが中心にならざるをえないという歪な構造も、2人の仲をややこしくしている。こういうシーンがあった。リアムがステージを突然降りる。仕方ないのでノエルが歌う。そこでノエルは自分のボーカリストとしての才能に目覚める。自分のボーカル曲を増やす。すると今度はリアムがすねる。本当に面倒くさい。兄弟仲の悪さだけはなく、映画はネガティブをどんどん晒す。ドラマーのクビ問題(後でバンドは裁判を起こされ、金銭を請求される)。ドラッグの問題(質の悪いドラッグを飲んでいたこともあるようだ)。父親がいかにろくでもないか(タブロイド紙に息子たちのネタを売って金にしていた)。ロサンゼルスでの失態。ノエルの逃亡。とにかく遠慮がない。ではこの映画がセックス、ドラッグ&ロックンロールなノリなのかというと、それも違う。なぜなら、彼らの行動を俯瞰する母親(ペギー)の視点が機能しているからだ。これがこの映画の最大の特徴。母は息子たちが仲違いしても可愛くてしょうがないのだ。彼女は彼らの行動を冷静に分析し、語る。すると観客も「それなら許してやろう」という気になる。兄弟の母親に対する愛も絶大だ。この母の視点がなかったら、本当に、罵り合いとドラッグにまみれたバンドのドキュメンタリーになったかもしれない。母は偉大だ。

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そんな支離滅裂な状況でもバンドの勢いは止まらない。リアムとノエルが大喧嘩しようが、リスナーはオアシスの曲を求め、バンドは勝手に進んでいく。勝手に大きくなっていく。バンドを推進させた大きな要因は言うまでもなくノエルのソングライターとしての才能。この映画を通してノエルは「曲は永遠に残る」としきりに言う。オアシスがなくなろうとメンバーやファンの命が尽きようと、曲は残る。歌い継がれる。ノエルのソングライターとしての意識の高さを表した言葉だ。その意識下でノエルは普遍性を目指す。歌い継がれ、スタンダードになる曲を書こうと努力する。結果的に、それがバンドの推進力となる。何十万というオーディエンスが集まったネブワースのシーンでノエルは言う。「ここに誰もいなかったら、それは俺たちの自己満足だ」と。その言葉には彼のセンスと才能が詰まっている。だから、今もノエルのライブは音楽に対する前向きな姿勢で溢れている。フジロックで初めて観て本当に感動した。オアシスがなくてもノエルはやっていける、と思った。リアムは逆だ。前日にリアムのバンドを観たときに、この人にはオアシスが必要だ、と思った。オアシスこそリアムの居場所なのだ。じゃなんで喧嘩するかな。本当にわからない。

oasis-supersonic

オアシスは2009年に解散した。わざわざ書くのが馬鹿馬鹿しくなるが、原因は兄弟喧嘩だ。その一ヶ月前、オアシスはフジロックで演奏した。これが日本での最後の公演。その模様を収めた映画『oasis FUJI ROCK FESTIVAL’09』が3月4日より限定公開される。この日、演奏した20曲をノーカットで上映。やはり印象に残るのはリアムの歌いっぷりだ。オアシスでパフォーマンスすることはリアムにとって、やはり特別なことなのだ。好き放題やりながら、実はリアムはオアシスの解散を一番望んでいなかったのではないか。それが本当によく伝わってくる。それが確認できただけでも映画を観てよかったと思う。実はこの日のライブは個人的にはあまり印象がよくなかった。雨が降ってコンディションが悪かったせいもあるだろう。一時期のバンドのグルーブは失せているように映った。随分、気の抜けたライブだなあ、と思っていた。結局、ひと月後にバンドは解散する。そうなると日本最後のライブがますます悪印象のまま記憶に焼き付けられることになる。それをこの映画が少しだけどひっくり返してくれた。ステージの上に残った熱狂を増幅し、フィルムに焼き付けてくれたおかげで、記憶のアップデートができた。たしかにノエルはノリが悪いけど、バンド全体としては、全然、悪くないじゃないか。いい感じじゃないか。ライブ映像はドキュメンタリー以上にバンドを語る。この映画を観る限り、まだなんとかオアシスはやっていけたのではないか、と思う。

映画『オアシス:スーパーソニック』はリアムとノエルが参加している。だから「オアシスの再結成の前フリか?」という噂もある。2010年代も終盤に差し掛かろうとしているが、オアシスのようなロックバンドは出てきていない。まるでロックンロールなんてなかったことのようになっている。これではオアシス待望論も無理はない。と思っていたら、最近、児島由紀子さんが書いた「オアシス再結成の噂がイギリスを駆け抜けた」という記事を見つけた。なんでもストーン・ローゼズが「This band would make a good support act for the stone roses:」とツイートしたそうだ。2017年再結成説は今も根強い(ただしリアムもノエルも今年ソロを出すので可能性は低い)。もし本当に再結成があるとすればキーは母親だと思うのだが、どうだろう。(森内淳/DONUT)


2017年3月22日Blu-ray&DVDリリース『オアシス:スーパーソニック』

2017年3月22日Blu-ray&DVDリリース『オアシス:スーパーソニック』

映画『オアシス:スーパーソニック』公式サイト:http://oasis-supersonic.jp/


映画『oasis FUJI ROCK FESTIVAL’09』

3月4日(土)新宿ピカデリーほか“期間限定”上映
配給: ローソンHMVエンタテイメント、カルチャヴィル

oasis FUJI ROCK FESTIVAL’09 予告編

映画『oasis FUJI ROCK FESTIVAL’09』オフィシャルサイト:http://oasis-frf09.jp/