2016年4月29日(金)・30日(土)、みちのく公園北地区「エコ キャンプみちのく」にて第16回目となる「ARABAKI ROCK FEST.16」が開催される。開催を前に、プロデューサーの菅真良氏に現在のアラバキ・ロック・フェスティバルについて話を伺った。今年の構想、新企画、裏テーマからこぼれ話、昨年新たに立ち上がった「オハラ☆ブレイク」についてなど、現在のアラバキが見据えるお話をお届けします。なぜアラバキが愛されるフェスなのかがわかるインタビューをぜひお楽しみください。

ARABAKI

――どうしてもこのバンドだけは観たいというような、出演者からのリクエストもあるんですか?

よっぽどじゃないとないですね。本当にたまにです。10年ぐらい前、GRAPEVINEの田中くん(和将/ボーカル・ギター)ってチャボさん(仲井戸麗市)が大好きなんですよね。それで、同じ年に麗蘭が出ていて、とにかく麗蘭を観られる会場にしてくれと言われたことはありましたね。でもGRAPEVINEって、いつもこちらの提案に何も言わず応えてくれるバンドで、そんなリクエストくれたのはそのときだけ。よっぽどだったんですね。

――出演される側も楽しみにしているフェスなんですね。

そうですね、そういうことだと思います。嬉しいですね。

――そういう出演者をはじめ、会場、お客さんを含め、開催当初からアラバキがどんな風に変わって来たかと実感されるところはありますか?

いい傾向として思ったのは、お客さんがいっぱい追い求め過ぎなくなってきたと思います。4、5年前くらいまでは、「10組観ないと元が取れない」みたいな気持ちで来てる人がいたような気がするんですけど、今は「あともう2、3組観たら寝てよう」とか「ゆっくりまわろう」と思う人がだいぶ増えて来た気がしています。まあ、それはそれぞれの楽しみ方なので、どういう形でもいいと思うんですけど。

ARABAKI

――アラバキは、日本のフェスの中でも地元密着型として地元からも愛されていますよね。

そうですね。東北郷土系のコーナーとして、ステージに出演してくれる常連チームがたくさんいるんですけど、お客さんにもだいぶ浸透した人たちが多いんですよね。津軽三味線の夢弦会とか、秋田民謡の藤原美幸さんとか。あと、深夜の「HANAGASAステージ」の演目で去年から立ち上げた「スナック定禅寺ブギー」という企画があるんですけど、何をやってるかというと、映像の機材を使ってカラオケ大会をやってるんですよ、夜中に(笑)。ただカラオケを歌ってるだけという。今年は、秋田民謡の藤原美幸さんにあえて着物じゃなく私服で来てもらって、演歌とか民謡じゃなく、普通に歌いたい曲を歌ってもらったりとかっていうのを考えています。で、そのカラオケ大会企画は、なるべくバンドのリズム隊の人たちを誘ってやろうかなと思っていて。去年はフラカン(フラワーカンパニーズ)のミスター小西さん(ドラム)と、Scoobie Doのオカモト”MOBY”タクヤさん(ドラム)に参加してもらったんですよね。で、今年も誰かしらと思っていたら、小西さんが自主的に「出たい」って言って来てくれたので、小西さんは参加してくれるかと(笑)。

――カラオケ大会、気に入ったんですね(笑)。

気に入ったんですよ、たぶん(笑)。

――そもそも、なぜカラオケ大会をやろうと?

去年15周年だったので、どこかで尾崎豊の「十五の夜」を流したかったんです。で、思いついたのが「スナックだな」と思って。それで「十五の夜」をオープニングに歌う人だけ決めておいて、あとはサイコロで当たった人が歌うっていう。もう、お客さんも巻き込んでるんですよ。お客さん3人ぐらい歌ったのかな?

――以前、アラバキはアメリカ・ルイジアナ州のニューオリンズで約1週間開催されている「ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル」を理想とされていると伺いました。開催期間は難しいとしても、その理想に少しずつ近づいているような手応えはありますか?

うん、でもやっぱり難しいのは、アラバキ・ロック・フェスを開催している場所が国定公園でとても人気なオートキャンプ場なんですね。開催したい時期がゴールデンウィークで、一般的なキャンプ場のニーズと交差しちゃうんですよ。なので、長く開催することについてはアラバキでは諦めようかなと思っています。そこで、そういう意味での理想ということを含め、昨年夏に福島で新しいイベントを始めたんです。「オハラ☆ブレイク」というイベントで、それは9日間開催しているんですね。

オハラ☆ブレイク

――なるほど。昨年の初開催はいかがでしたか?

いい感じでしたよ。実は大赤字でしたけど……。

――ふたつ合わせてちょうど、理想のフェスになるような感じでしょうか。

そうですね。やっぱり、アラバキ・ロック・フェスは今のみちのく公園でやり続けた方がいいと思ってるんですよね。どこかに移動することを考えるよりも。それに長期開催のイベントをつくるとなると、おそらく自治体も巻き込まないといけないことなので、百数十万人ターゲットとなるエリアって、そういう物事はなかなかまとめにくいんですね。いろいろな人の意見が混ざってしまうので。でも僕の田舎はたまたま人口も少なくて、周りに知り合いもたくさんいるので「じゃあちょっと、テスト的に猪苗代湖でやってみようか」ということがきっかけで始めたんです。

――これは続けて行くんですか?

うん、続けて行きますよ。

――同じ規模感でやって行くんですか?

第1弾目標としては、5年後くらいには1ヵ月間くらいのフェスにしたいと思って。で、10年くらい経ったら、夏休み期間中ずっとやるぐらいの感じにしたいなと思ってるんですね。それを目指して、町の方々に全面協力をしていただいています。

オハラ☆ブレイク

――それは壮大ですね。

そこに行くと何かをやっているような。音楽だけじゃなくて、美術関係や映画祭なども考えてますね。

――でも、去年赤字で大丈夫なんですか?

まあ……そうですよね。でも、大丈夫だと思います。続けていくと決めなければ何も始まらないと思うんです。続けていくために、いままでの仕事で偶然出会えた、いろんな文化人の方にも関わってもらっています。去年1回目は、ミュージシャンだと(エレファントカシマシの)宮本浩次さんの弾き語りとか、吉井和哉さんとあがた森魚さんの組み合わせとか、なかなか普段そういう動きをしないような人も参加してくれて。あと、忌野清志郎さんの絵画をお借りして飾ったり。将来の目標のために、指針となるようなものをつくりたいなと思って、「ロックの図書館」っていう企画の建設プロジェクト準備室をやってるんですね。そこでは、アナログレコードのライブラリーをつくっているんです。去年、図書館の準備室っていうタイトルでレコードの寄贈を募ったら、去年だけで300枚来たんです。たぶんそれを繰り返して行くと、いいペースで行けば5、6年ぐらいで数千枚になるんじゃないかと思っていて。それをコレクションとして、レコードを聴ける町の施設としてちゃんと立ち上げて行こうと思っているんですね。

――アナログレコードのライブラリーとは、いいですね。

準備室として、いろんな音楽イベントの会場に車でコンテナを持って行って「これから福島で、こういうことをやりますよ」っていう企画を、PRとしてやるんです。そのアイデアをくださったのが美術家の奈良美智さんなんですけど。奈良さん、去年試しに見に来てくださって、それで、今年は準備室の内装のデザインをやってくれることになって。

――それは素敵ですね。

そうなんです。あと、第1回目の開催記念として、小説家の伊坂幸太郎さんに小説を書き下ろしていただいたんですよ。その書き下ろした小説を去年、1回目に来てくださった人たちだけに特別にプレゼントして。で、その書き下ろしてくださった小説を元に、今年は演劇をしたり、その演劇の劇中歌をTheピーズにやってもらうべく、動いています。何だか、「オハラ☆ブレイク」のPRになってしまいましたけど(笑)。

オハラ☆ブレイク

――でも、アラバキに行くような音楽ファンも注目しているフェスだと思います。最後に、今年のアラバキはすでにチケットも完売していますが、開催に向けてひと言いただけますか。

そうですね。ぼちぼちやって来て、今年は16年目。僕もだいぶ歳をとって来たので、一緒に(フェスを)つくってくれる人たちを意識しながら、20年に向かって行きたいなと思っています。まあ、そういう意味で若いミュージシャン、若いスタッフとかをもうちょっと中心に寄せる作戦に出ているんですね。まずは、ご来場の方も健康には気を付けていらしてください。

――ちなみに、一昨年はミッシェル・ガン・エレファントの解散10年が裏テーマにありましたが、今年のアラバキも何か裏テーマ的なものはありますか?

ホームページのデザインをつくるときに決めたテーマがあって。今年のロゴは、デザイナーの子が切り絵でつくってるんですけど、これをどういう風につくっているかというと、左右対称につくっているんです。で、その左右対称の意味は繋がりというか、男女、親子、右と左の靴とか対になるもの。そういう意味合いを持っているんですね。要は、人間は一人じゃどうしようもない、みたいなことを裏テーマとして表現しようと思っていて。震災から5年ということも少しだけ意識しています。このデザインに取りかかろうかと思ったタイミング……宮城県で9月にやっている「GAMA ROCK FES」というイベントの打ち上げで、TOSHI-LOWくん(ブラフマン/ボーカル)と話してたんです。TOSHI-LOWくん、去年のアラバキのコレクターズ・トリビュートステージに出たんですよね。その意識があったのかもしれないですけど、「いつもやってる、トリの企画で出たい」と申し出てくれて。要は「みちのくステージ」で毎回実施しているトリビュートセッション、あれをブラフマンでやりたいと。実はトリを申し出てくれたのは初めてで。まあ、だいぶ酔っぱらっていたので、どこまで自分で言ったのか覚えてるかわからないですけど(笑)。そのときに、ブラフマンでこれをつくるのはすごくいいなと思って。このロゴをつくっていく中で、ブラフマンぽさをちょっとだけ意識しました。

(インタビュー:秋元美乃/森内淳 構成:秋元美乃)

公演情報

ARABAKI ROCK FEST.16

日時:2016年4月29日(金・祝)・30日(土) ※雨天決行
会場:みちのく公園北地区エコキャンプみちのく(宮城県柴田郡川崎町)
入場券:入場券・駐車券完売。キャンプサイト券のみ追加販売。
TOTAL INFORMATION:http://arabaki.com/

荒吐宵祭16 –GOLDENSUNDAY

日時:2016年5月1日(日)13:00開場/開演
会場:仙台Rensa
入場券:全自由¥4,000(1ドリンク¥500別)
※ARABAKI ROCK FEST.16にご参加の方は当日リストバンドご提示で¥2, 000
TOTAL INFORMATION:http://arabaki.com/info/goldensunday/

オハラ☆ブレイク’16夏

日時:2016年7月30日(土)〜8月7日(日)
会場:福島県・猪苗代湖畔 天神浜
※オフィシャルHP先行予約受付:2016年4月2日(土)19:00~5月1日(日)23:59
TOTAL INFORMATION:http://oharabreak.com/