4月30日 17:10頃

Suchmosのあとはthe pillowsのために会場横断の大移動。2日目の終盤にして初めてARAHABAKIへ来たけれど、ちょうどプレイしていた「New Animal」が周りの木々に反響して360°全方位から聴こえる不思議な感覚。空を赤く染め始めた夕陽、「Funny Bunny」、「Fool on the planet」、「王様になれ」と繰り出されるロマンチックなナンバーが相まって、なんだか本当に夢の中にいるような心地になる。その夢の中ではちっぽけな自分こそ誰にも負けない。そう思うと、実際に前を向いて一歩踏み出せるような気がしてくる。ありがとうthe pillows、ありがとうアラバキ。そんな気分にさせられた。

ARABAKI ROCK FEST.17 the pillows

移動とライブの連続でわりと消耗してきたのでTheピーズのカラーゲと30周年武道館加担ハイボールを補給。あ、仕事中だけど、加担に免じて1杯くらい許して下さい(笑)。そばに人情居酒屋のずみちゃんと女将のパネルも発見。MICHINOKU付近でザ・クロマニヨンズを聴きながら味わうことに。「ピート」、「雷雨決行」、「ナンバーワン野郎!」。今日もエンジン全開でめちゃくちゃかっちょいい。これ以上ない肴とともに堪能した。

ARABAKI ROCK FEST.17 カラーゲ

HATAHATAのトリを務めたのは10-FEETだ。観られたのは途中からだったが、想像の遥か上をいく尋常ではない盛り上がり。MCを経ての「アンテナラスト」、人情と人生を歌う10-FEETはヤバいのだ。もう胸の中をグチャグチャにされて、ライブで暴れることだけが生き甲斐だったあの頃に引き戻されてしまう。「4REST」、「ヒトリセカイ」、「RIVER」。そして、「goes on」。悲しみも苦悩も寂しさもすべてを爆音に預け一時の快楽に変えてくれる。ロックの原理を体現する貫禄の締めくくりであった。

ARABAKI ROCK FEST.17 10-FEET

隣のTSUGARUへ移動すると、毎年皆勤賞ながら本ステージは初出演、トリを飾るTHE BACK HORNの出番だった。前述の10-FEET、HANAGASAのPOLYSICS、昨日のACIDMANを含め、結成20年前後の世代が当然のようにトリを務めるようになっていることに、勝手ながらうれしくなる。この日のTHE BACK HORNは、期待したほど特別な演出はなかった。津軽編(TSUGARU VERSION)と銘打たれているものの、内容は曽我淳一をキーボードに迎えるというもの。「なんだ、2016年のKYO-MEIホールツアーで観たよ」というのが正直なところ。2014年のアラバキでも競演を果たしている。セットリストにもサプライズはない。強いて言えば「白夜」だろうか。それでも、なんと言うか普通に全力のライブをこの地で演ればそれがスペシャルなものとなる、そんなアクトだった。

SEが鳴るといつものように菅波栄純(Gt)が奇天烈ダンスで、山田将司(Vo)、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)が各自のペースでオンステージ。「最高の夜にしようぜー!」(将司)の咆哮から、「声」のイントロリフがかまいたちのごとく静寂を切り裂く。それだけでオーディエンスは一気に沸点へ。メンバーたちも対バンシリーズの真っ只中であるからか、相当調子がよさそうだ。曲が終わった瞬間、光舟が将司を乱暴に掴まえ何やら話している。明らかに緊急の何かが起きた様子。すると将司が「セキュリティがいねえんだ今日は。ダイブ、みんな考えてね」と伝えた。なるほど、ライブハウスならまだしも、夜の野外にセキュリティなしは確かに危険。それにしても彼らがこういうことを口にするのは極めて稀である。いつも観客を自由に楽しませるのがTHE BACK HORNだ。「飛べ」とか「踊れ」とかすら滅多に言わない。だからお客さんも比較的自由に、それぞれが思い思いの楽しみ方をしてきた印象がある。そんな彼らとそんなファンだからこそ、この注意のあともまったくテンションが下がることなく、むしろそんなこと関係なくダイブなしの濃密な時間を作り上げていく。

ARABAKI ROCK FEST.17 THE BACK HORN

3曲目「白夜」から6曲目「春よ、来い」までが曽我淳一を含めた5人編成だった。「白夜」はジャジィな曽我のキーボードに呼応し、栄純のプレイが炸裂。以前別媒体の取材で「福島人はジャズが好きなのよ」と語ってくれたジャズ心、彼の根本に宿るものであり近年内田勘太郎を始めとするセッションでめきめき鍛えられているブルースフィーリングを爆発させる。最新シングル2連発となる「あなたが待ってる」、「With You」は19年積み上げた表現力の豊潤さを観せつけた。でっかくあったかく普遍的。そこからの「春よ、来い」は、やはり何度聴いても素晴らしい。原曲の美しさを残しながら、ロックバンドならではのダイナミクスを大胆に生かしたアレンジ。抑揚があまりなく感情を込める盛り上がりが一瞬しかない歌の、淡々と構築した上でその一瞬に魂すべてを震わせる感じ。たまらない。ラストは必殺狂騒ナンバーの3連打。もう自分の血に流れて毎日細胞を作り出しているくらいの曲たちなのだが、初めに書いたように何かが違う。会場全体の空気というか。バンド、ファン、フェス。それらの絆が三位一体となって鳴り響くような、本当にここでしか体感できないライブだった。最後にマツはこう叫んだ。「また来年も絶対来るからな!!」

  • セットリスト
  • 01. 声
    02. 罠
    03. 白夜
    04. あなたが待ってる
    05. With You
    06. 春よ、来い
    07. コバルトブルー
    08. シンフォニア
    アンコール
    09. 刃

 

 

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