FUJI ROCK FESTIVAL ’17 3日間のリポート


7月29日(土)

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29日土曜日、フジロックは一日中雨。こんなに天気が悪いフジロックも久しぶりだ。11時にNGOビレッジに集合。アトミック・カフェのブースで待機。16時よりアトミック・カフェのステージ@Gypsy Avalon。今日のトークは津田大介×後藤正文(ゴッチ)。ライブはエセタイマーズ。今年のアトミック・カフェのライブ・テーマはタイマーズのトリビュート。出演アーティストに1曲はタイマーズのカバーをやってもらおうという主旨だ。なぜそうしたかというと、ここのところ、自由にモノを言える空気が薄くなっている。まるで戦前のように言論と行動を制限するような法律がどんどん通過している。思ったことを自由に歌うために結成されたタイマーズのように、思ったことを自由に歌う意思を表示しようと企画した。だからタイマーズのトリビュートとは言え、その姿勢が問題であって、カバーする曲がタイマーズでもRCでも忌野清志郎でも、もっと言えば他のバンドでも持ち歌でもかまわない。大事なのは思ったことを自由に歌う、そのモチベーションにある。昨日のNumber the.も1曲はRCサクセションの『カバーズ』からのナンバー「サマータイム・ブルース」だった。土曜日に登場したエセタイマーズも同様、「エセタイマーズのテーマ」を披露しつつ「サマータイム・ブルース」をカバーした。最後はブルーハーツの「青空」をカバーした。それらはタイマーズのソウルを宿していた。エセタイマーズは津田大介やゴッチをいじったり、日米原子力協定について言及したり、くだらないこともそうでないことも交えながら、言いたいことを言ってステージを去った。だんだんフジロックのアトミック・カフェが彼らのホームグラウンドのようになってきた。

アトミック・カフェのステージが終わって、グリーンステージへ。コーネリアスを途中まで鑑賞した。映像と演奏がリンクするステージ演出はもはやヘッドライナー級。結局、最後までMCをすることなく、楽曲のパフォーマンスのみでステージを降りたという。この完全主義はコーネリアスの真骨頂。オーディエンスも絶妙な間合いと完璧な演奏によるステージを楽しんでいた。「だったら最後までステージを見届けろよ」と突っ込まれそうだが、どうしてもテンプルズを見たかったので、早めにマーキーへ移動した。しかしぼくがマーキーに着いた頃には、まだお客さんはいっぱいではなかった(最終的にフルハウスになった)。それもそのはず29日土曜日のフジロックの目玉は何と言っても、小沢健二@ホワイトステージの「今夜はブギー・バック」であり、案の定、多くのお客さんがホワイトステージへ流れた。後で聞いた話しだが、入場規制どころか、通路と客席エリアを仕切るついたても外し、一人でも多くのお客さんがステージを見られるように対応していたそうだ。関係者曰く「ホワイトステージ史上最高の混みようだった」。コーネリアス~小沢健二という流れもお客さんの心に火をつけたのかもしれない。ただしコーネリアスを最後まで見た人はホワイトステージにはたどり着けなかったようだ。ホワイトステージに渡る川の手前ですでに入場は困難な状態。足止めを食らったお客さんが漏れ聞こえてくる「ブギー・バック」を、一緒に歌っていたという。

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その「今夜はブキー・バック」に背を向けた強者のロック・ファンがレッドマーキーのテンプルズに集結した。イギリス出身のサイケデリック・ロック・バンドだ。ローリング・ストーンズが行ったハイド・パークでのライブでオープニングアクトを務めた。2014年にリリースした『サン・ストラクチャーズ』が話題になり、ぼくもアナログ盤を購入した。今年の3月にセカンド・アルバム『ヴォルケーノ』をリリース。11月には単独ツアーで再来日する。マーキーでは曲ごとにインターバルをおいて楽器を替えながら、丁寧に楽曲を再現。70年代のサイケデリックのオマージュというよりも90年代のイギリスのロック・シーンの影響を加味した、サイケデリックへの俯瞰的なアプローチがとても心地よい60分間だった。

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29日土曜日のフジロックの締めは23時30分の小沢健二@ピラミッドガーデン。筆者は小沢健二にはテレビ番組用によく動画の取材をした。彼が活動休止をする直前までやった記憶がある。ライブで覚えているのは渋谷公会堂の『LIFE』のツアーだ。個人的にはファーストアルバムが好きだ。ソロへと移行する時の決意が静かに語られているデビュー曲の「天気読み」。13分にも及ぶ名曲「天使たちのシーン」。この2曲はとくに好きだ。ライブは、その「天使たちのシーン」からスタートした。基本的にはアコースティックセット。彼は美術館でライブを行なっているが、その時の編成だという。そこにスカパラのメンバーが曲ごとに参加するというスタイルだ。全体で90分間のショウ。数曲ごとに6分ほどのモノローグ(朗読)が合計3回入る。モノローグも小沢健二のオリジナルで、夏休みをテーマにしていた。小沢健二のアメリカでの私生活も垣間見えて、とても面白かった。また、モノローグ+楽曲という構成はNHK-FM「クロスオーバーイレブン」のようで、ラジオライクな演出がかえって新鮮に思えた。何だかコンセプト・アルバムを聴いているような感覚になった。ショウというよりも、小沢健二が今やりたいことを丁寧に伝える場のようだった。とても温もりのある、いいステージだった。

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