電気グルーヴの25年分の映像を『モテキ』を撮った大根仁監督が編集

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電気グルーヴのドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』が12月26日(土)より2週間限定年越しロードショーで上映される。監督は『モテキ』や『バクマン』を撮った大根仁。1989年8月20日に大阪の十三ファンダンゴで行われた初ライブの模様から2014年7月25日のフジロック・フェスティバル’14のライブ・パフォーマンスまで、25年以上にわたる、ありとあらゆる映像を、大根監督が編集してつくりあげた壮大な電気グルーヴのヒストリー・ムービーだ(今回の映画で初出の映像もある)。電気グルーヴについて知識がないリスナーも、この映画さえ観れば、電気グルーヴが何者かが、手に取るようにわかってしまう。

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ところが、この映画、「石野卓球とピエール瀧」とタイトルに銘打っているにもかかわらず、彼らは自分たちのやってきたことや電気グルーヴの音楽について一切語らない。電気グルーヴについて語るのは、元メンバーのCMJK、砂原良徳や、親交のあるミュージシャン、レコード会社のディレクター、音楽雑誌の編集長やマネージャーだったりする。彼らは時代時代でキーになる作品を取り上げながら、懇切丁寧に、彼らの音楽性の転機や紆余曲折について語っている。それどころか彼らの心の動きにまで言及する。しかしながら、石野卓球とピエール瀧がそれについて何も語らないので、それらの発言は憶測の域を超えてはいない。憶測の域を超えてはいないのだけど、彼らについて語る人たちの言葉のすべてが、時代時代の映像と重なることによって、リアリティのある言葉として観客に届いてくる。実に不思議なドキュメンタリーだ。

性格は多少違うが、ヴィム・ヴェンダースが撮った『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』という映画を思い出した。2009年に亡くなった振付師ピナ・バウシュの世界を、彼女の創作ダンスを受け継いだ者たちの演技やインタビューを使って、浮き彫りにしたドキュメンタリーの傑作だ。バウシュがそこにいないのに、バウシュの本質に触れられるという内容だった。「作品は作品を出した瞬間から他人のものになる」とよくいわれるが、弟子たちの演技とインタビューを中心に構成し、バウシュの世界観を伝えたこの映画は、まさにそれを証明していた。

おそらくは石野卓球とピエール瀧の考え方もそれに近いのではないだろうか。この映画はどちらかというと、大根監督の電気グルーヴ論といったほうがわかりやすい。逆にいうと、大根監督という第三者の視点は、電気グルーヴの歴史をよりわかりやすく伝えるツールとして成立し、その結果、電気グルーヴの苦悩と解脱の歴史が手に取るようにわかる作品に仕上がった。石野卓球とピエール瀧の「電気グルーヴの作品がどう受け取られようが知ったことではない」という一種の距離感が、かえって、この映画を、電気グルーヴの本質へと近づけたように思った。

早い時期に人気者になったのに、「常に新しい領域に行きたい」あるいは「行かねばならない」といったような、負わなくてもすむ責務を自らに課し、そこで悩んだ挙句、本当に、それまでの音楽スタイルを突破して、新しい境地を切り開いてきた電気グルーヴ。この映画は、ひとつのところに安住することを徹底的に排除することによって、電気グルーヴは電気グルーヴの価値を高めてきたことを、雄弁に物語っている。奇しくも、この映画も、普通のドキュメンタリー映画とはちがうものに仕上がった。石野卓球とピエール瀧が背負った業のようなものが、またひとつ、ここに既成概念と音楽ドキュメンタリー映画の枠を超えた「名作」を生み出したのだ。

画像:©2015 DENKI GROOVE THE MOVIE? PROJECT

movie『DENKI GROOVE THE MOVIE? =石野卓球とピエール瀧=』

監督:大根仁 出演:電気グルーヴ/天久聖一/Andi Absolon/ANI/Bose/CMJK/DJ TASAKA/日高正博/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/道下善之/中山道彦/小山田圭吾/SHINCO/砂原良徳/山口一郎/山根克巳/山崎洋一郎/WESTBAM

配給:ライブ・ビューイング・ジャパン 12月26日(土)より、新宿バルト9ほか全国にて2週間限定年越しロードショー

album『DENKI GROOVE THE MOVIE? –THE MUSIC SELECTION-』

Ki/oon Music Inc. 2015年12月23日(水)リリース

<収録曲 >25 Raw Beats(Movie Edit) <初CD化>/Hello Mr.Monkey Magic Orchestra(Live@Fuji Rock Festival ’14)<初CD化>/電気ビリビリ/Mud Ebis (Chimimix)/新幹線(Movie Edit)<初CD化>/虹(Live@Mayday Mix)<初CD化>/ママケーキ/Shangri-La/Volcanic Drumbeats(Live@Yakyu Disco 1997.8.16 Akasaka BLITZ)<初CD化>/Flashback Disco (Live@Fuji Rock Festival ‘14)<初CD化>/ 弾けないギターを弾くんだぜ/電気グルーヴ×スチャダラパー Twilight/少年ヤング/Shameful /N.O. 2016 <新録音源> 全15曲

プロフィール

電気グルーヴ(デンキ・グルーヴ):80年代後半インディーズで活動していた前身バンド”人生”解散後、石野卓球とピエール瀧が中心となり”電気グルーヴ”を結成。1991年、アルバム『FLASHPAPA』でメジャーデビュー。1995年、ベルリンのレーベル<MFS>からシングル「虹」がヨーロッパリリースすることをきっかけに海外での活動をスタートする。1997年にリリースしたシングル「Shangri-La」、アルバム『A』は国内で約50万枚の売り上げを記録。同年夏には富士天神山で行われた野外ロックフェスティバル”FUJI ROCK FESTIVAL ’97″に出演。1998年、ヨーロッパ最大のダンスフェスティバル”MAYDAY”に出演。

同年夏から冬にかけてヨーロッパ6ヶ国をまわるツアーを行う(このツアーを最後に1991年から活動を共にしていたメンバー、砂原良徳が脱退)。2005年6月には、スチャダラパーとのユニット”電気グルーヴ×スチャダラパー”でオリジナルフルアルバム『電気グルーヴとかスチャダラパー』をリリース。2009年8月19日結成20周年記念アルバム『20』(トゥエンティ)をリリース。2011年4月、ベスト盤『ゴールデンヒッツ~Due to Contract』をリリース。2015年、結成25周年を記念したミニアルバム『25』をリリース。ツアー「塗糞祭」を行う。テクノを初めてメジャー・フィールドに持ち込み、日本のポップ・ミュージックの歴史を大きく変えた、唯一無比・唯我独尊・イノベイティヴな存在。

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