パンク・ロック、というとどのようなイメージを持っていますか?それぞれあると思いますが、あるミュージシャンの言葉を借りれば「反骨精神とユーモア」とのこと。
Rock is編集部よりそのパンク・ロックを感じ取れる江戸の浮世絵師をご紹介させていただきます。

始めにご紹介したい浮世絵師は歌川国芳(うたがわくによし)。どでかいガイコツの妖怪「がしゃどくろ」のモデルになった絵などでご存知のかたも多いかもしれません。

歌川国芳、「相馬の古内裏に将門の姫君瀧夜叉妖術を以て味方を集むる大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り竟に是を亡ぼす」、弘化元(1844)年頃、William Sturgis Bigelow Collection, 11.30468-70Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston

その国芳、「パンク」なひと、と表現されることもしばしば。例えば、天保の改革の時代、歌舞伎役者や遊女を描くの禁止。といってるのに、顔をネコにすることで禁令をくぐり抜け、またあるときは、源氏の古典作品を描いたよ、と見せかけて、当時の幕府を皮肉った絵を発行。いずれも大ヒット。

そのせいで幕府から目をつけられ、呼び出されては尋問・始末書・罰金を払わされたが、それをさらりと受け流し作品を発表し続け、江戸っ子たちはそのユーモアあふれる反骨精神に熱狂。

また、壁のらくがきとした浮世絵も禁令の影響を受けて描かれたものではあるが、よく見るとかなりデフォルメされた歌舞伎役者などを描いており、最近ではマンガの原点とも評されています。あえて壁のらくがきとした発想がすごい。

人物では、自画像に自分の顔を描かないのは有名で、地獄絵図のどてらを着てて、まわりに猫がいたら、それが国芳。
一見悪そうで怖そうだけど、猫を懐に入れて仕事するほどの猫好き。猫の絵を多数描いていることでも有名で、チャキチャキの江戸っ子で火事と祭りは一番乗り。情にあつくて親分肌。「先生」と呼ばれるのをとても嫌がったというから惹かれてしまう。

「反骨精神とユーモア」をパンク・ロックとするならば、まさに江戸のパンク・ロックが国芳ではないだろうか。

そして、次にご紹介したいのが、一緒に展示される歌川国貞(うたがわくにさだ)も幕末の大人気浮世絵師。兄弟弟子の関係だが、男っぽい国芳の作風とは対象的に、華やかでリアルな表現の役者絵や美人画を得意とし、今でいう人気アイドルやモデルを起用した最先端ファッション誌として、江戸のメディアの人気者だった。

歌川国貞、「御誂三段ぼかし 浮世伊之助」三代目岩井粂三郎、「葉哥乃新」初代河原崎権十郎、「野晒語助」四代目市川小團次、「夢乃市郎兵衛」五代目坂東彦三郎、「紅の甚三」二代目澤村訥升、「提婆乃仁三」初代中村福助、安政6(1859)年、William Sturgis Bigelow Collection, 11.42194-9Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston

この絵は人気役者6人を描いたものだが、それぞれの特徴を細かくとらえていて、揃いの衣装を着ていても誰なのか一目でわかるほど。現代の今でも通じるほどのオシャレなデザイン。

歌川国貞、「当世三十弐相 よくうれ相」、文政4, 5(1821, 22)年頃、Nellie Parney Carter Collection―Bequest of Nellie Parney Carter, 34.489Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston

こちらは美人画。手紙を噛むちらりと見える歯や指の表現の細やかさなども特徴的ではあるが何よりも服の柄が当時最新の輸入モノであったり、流行りのアクセサリーをしていたりする。そのため最先端のファッション誌として多くの女性が買い求めた。

2016年3月19日から渋谷Bunkamuraで開催される浮世絵の展覧会。展示される絵は少なくとも今後5年は見ることができない貴重なものばかり、難しく考えずにぜひとも気楽に見に行ってほしい。
150年前の浮世絵を眺めながら、ぜひともパンク・ロックな生き方を感じみてはいかがでしょうか

その他作品

歌川国芳、「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」、弘化2(1845)年頃、William Sturgis Bigelow Collection, 11.28900Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston

上:歌川国芳、「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」、嘉永4, 5 (1851, 52) 年頃、William Sturgis Bigelow Collection, 11.26999-7001Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston/下:13:歌川国芳、「初雪の戯遊」、弘化4-嘉永5(1847-52)年、William Sturgis Bigelow Collection, 11.16077-9Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston

ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞

開催期間:2016年3月19日(土)から2016年6月5日(日)まで
開催場所:渋谷 Bnukamura ザ・ミュージアム

詳細は、公式サイトでご確認ください。
http://www.ntv.co.jp/kunikuni/