音楽・ロックンロールのWEBマガジン
Rock is(ロックイズ)

ベランパレードの歌王子あびが思い巡らす“夢うつつ”

ベランパレード 歌王子あびの「ソファベッド宇宙旅行」

2019/12/11

最終回:「君が嫌でも忘れないからね」

毎日を暮らしていることに少し疲れた時は、書き溜めているノートを読み返すようにしている。
通称「なんでもノート」。書く上でのルールのようなものは特になく、朝起きたタイミングで今日やるべきことをリスト化するのに使ったり(爪を切る、とか些細なことも書く)人と話していて心に残った言葉を書いたり、悲しかったことや嬉しかったことムカついたことなんかも出来るだけ書き残すようにしている。ムカついたことがあったらムカついたことの内容を書いて、その後何故ムカついてしまったのかを書く。そして最後に自分がどういう行動をこれからすれば気持ちが楽になるのかを考えて、書いてみる。だいたいこんな感じ。一日の終わりの日記もこのノートに書く。

前は歌詞ノートを常に持ち歩いて歌詞はそこに書くようにしていたが最近は歌詞ノートを持つのをやめて「なんでもノート」の中に思いついた歌詞も全て書いていくようにしている。歌詞ノートを持っていると歌詞を思いついたり、書くぞ!となるまで歌詞ノートは開かないけど「なんでもノート」は毎日いろんなタイミングで開くので自分が書いた歌詞を前よりも目にする機会が増えた。

それになんでもない、例えば「今夜の晩御飯はもらった白菜をたくさん食べたいから豆乳鍋にしよう」みたいなメモと新曲の歌詞が同じページに共存しているのを見ると、僕の歌はやっぱり僕自身の生活から生まれているんだなと、当たり前のことのようだけど実感はしにくい気持ちを具体的に感じれるようになった。「君がいなくなってしまって寂しい」とか、そういう歌になりやすい感情もそこから生まれる言葉も、一方で「今晩は豆乳鍋にしよう」みたいななんでもないような言葉も実はものすごく密接な関係にあるもので、どちらもすごく普遍的ですごく特別なものなんだと気付くことができた。

僕の作った歌に「パン」という歌がある。
「夢なんて焼きたてのパンくらいでちょうどよかったと思うよ」
という歌い出しで始まり、サビの歌詞は
「忘れてないよ 昨日のように思うよ 何万光年先 彼方で見てるよ」
と続く。この歌は銀河の彼方へ旅立ってしまった親しい人を思う誰かの歌だ。一緒に手を繋いでほとんど同じ速度で歩いたことだってあるのに今は信じられないほど君が遠い。君は銀色ピカピカのロケットに乗り、光のような速さでさらに銀河の果てにゆく。一方、私は各駅停車でトロトロと進む電車に乗りながら窓の形に四角く切り取られた夕焼け空を見て、君を思い出している。そんな歌だ。

この歌を書いたときめちゃくちゃいい歌詞できたと感動すると同時に「変な歌だな」と自分で思った。多分くくりで言えばラブソング。「君ともう会えなくて寂しい。でも忘れないからね」みたいなシンプルな歌なのにパンが出てきたり宇宙が出てきたり各駅停車の電車が出てきたりする。でもそれは別におかしなことではないんだなとメモを残すようになって改めて確信した。

好きなものを聞かれてモスのフィッシュバーガーと仲のいい友達の顔が同列に浮かんだら、同じように愛でたっていい。可愛がっていたペットが死んで泣き疲れた後に「マックのポテト食べたいな」って思ったり。なんとなく仕切りがないと矛盾に思えるような感情も人間なんだと思うようになった。そういうものを全部、歌にしていけたらいいな。

気持ちが落ち込んでくるとき、どでかい虚無感がやってきて、今まで自分がやってきたことや積み上げてきたことがものすごく不確かに感じてしまう時がある。あれって本当にきつい。

そんな時にパラパラと1ヶ月くらい前に書いたメモを見返してみる。
「今月は金欠なのでお小遣い〇〇円で乗り切る!!!!!」
と大きな文字で元気よく書いてあった。
「大丈夫。ちゃんと乗り切ったよ、お前は」と1ヵ月前の僕への返事をまっさらなページに書いてみたら少しだけ元気が出たような気がした。

見えなくなっても、触れなくなっても、あったということは無くならない。
信じるのが少しずつ難しくなっていくだけだ。
未来でもしっかりと君を信じていけるように毎日にほんの少しの工夫を。
なるだけ丁寧に。

 


ベランパレード「パン」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)

LIVE INFO

<2019年>

12月14日(土)鹿児島SR HALL
「その日暮らし x NAMUAMEN x石井宏樹 presents Keep Us Not Normal Isolation.act1」
OPEN 18:00/START 18:30
出演:石井宏樹/F.O.G/その日暮らし/ベランパレード/NAMUAMEN(福岡)
2,500円 +1ドリンク

12月22日(日)宮崎SRBOX
「yadge2019」
OPEN 17:30/START 18:00
2,000円 +1ドリンク

12月28日(土)福岡UTERO
「IMPULSE vol.41」
OPEN 17:30/START 18:00
出演:ベランパレード/Slimcat/THE TOMBOYS
前売 2,500円/当日 2,800円 +1ドリンク

<2020年>

1月11日(土)大分SPOT
「シンガロンパレード presents 47都道府県TOUR エブリ県民カミングKYOTO」
出演:シンガロンパレード/INCOS/ベランパレード/and more
OPEN 18:00/START 18:30

1月12日(日)宮崎SRBOX
「plain V 「あの夜の続きを」×シンガロンパレード47都道府県O~エブリ県民カミン」グKYOTO
出演:シンガロンパレード/ベランパレード/泡沫少女/DAMAZ/and more
OPEN 17:30/START 18:00
前売 2,500円/当日 3,000円 +1ドリンク

1月13日(月)鹿児島SRHALL
「シンガロンパレード presents 47都道府県TOUR エブリ県民カミングKYOTO」
出演:シンガロンパレード/ベランパレード/and more
OPEN 17:00/START 17:30
前売 2,500円/当日 3,000円 +1ドリンク

1月25日(土)福岡4会場
「public space四次元 presents ○○天国」
OPEN 13:00/START 14:00
出演:(第一弾出演者)
hotspring/STEPHENSMITH/裸体/LONE/Gue/人性補欠/BAN’S ENCOUNTER/Make The Pancake/ベランパレード/about a ROOM/CLUB SANDINISTA!/Handsome Geek/NAMUAMEN/seethrus/snooty/SHIMA/WHITECATSS/あんどん馬鹿馬/くっつくパピー/ノンフィクション
and more
前売 3,500円/当日 4,000円 +1ドリンク