中津川THE SOLAR BUDOKAN 2016が岐阜県中津川市で開催される。このフェスティバルの大きな特徴は、コンサートの運営に関わる電力のすべてを太陽光発電でまかなうということ。事前に太陽光で蓄電した電気と、当日会場に設置する大量の太陽光パネルを組み合わせて、コンサート部分に使用。 その他、会場運営に関わる電力はグリーン電力証書を通じて太陽光発電を活用する。電力使用の大きいロック・コンサートを再生可能エネルギーのみで運営することができれば、それは未来に対して「可能性」を示している。
中津川THE SOLAR BUDOKAN 2016が岐阜県中津川市で開催される。このフェスのはじまりは2012年12月20日、日本武道館で開催された「THE SOLAR BUDOKAN」だ。ステージまわりのすべての電力をソーラー発電で、武道館の会場の電力をグリーン証書でまかなって行われたライブイベントだった。提唱者はシアターブルックの佐藤タイジ。2011年の原発事故を受けて、クリーンエネルギーの可能性を探った画期的な試みだった。
翌2013年、THE SOLAR BUDOKANは舞台を日本武道館から野外フェスへと移行した。それが中津川 THE SOLAR BUDOKANのはじまりだ。というわけで、今年も、コンサートの運営に関わる電力のすべてを太陽光発電でまかなう。事前に太陽光で蓄電した電気と、当日会場に設置する大量の太陽光パネルを組み合わせて、コンサート部分に使用。 その他、会場運営に関わる電力はグリーン電力証書を通じて太陽光発電を活用する。
そうはいっても、「どうせ再生可能エネルギー社会なんかやって来ないんだろう」という「あきらめ」感が常に存在する。それが世の中というものだ。フェスを成功させても何も物事は変わらないという意見もある。しかし、だ。そもそも物事は劇的に変化することはない。しかし「100匹目の猿」の話ではないが、あるとき、突然、大きなうねりになって世の中すべてを覆うからだ。
フェスをやっているうちに音の違いにも気づいたという。電線を通ってきた電気は周波数が乱れるために、安定していない。THE SOLAR BUDOKANは目の前のソーラーパネルから目の前の蓄電池に充電して、その電気をステージで使用している。とれたての安定した電気は音がいい。音がいいから出演ミュージシャンの気持ちも上がる。そうすると参加者の気分もますますよくなる。こういうことができるのも太陽光発電ならでは、だ。2日間のフェスのため発電所を建てれば「とれたて」を実現することができるが、まさかそういうわけにはいかない。そういうところにも太陽光発電の手軽さを感じてしまう。今に各家庭にソーラーパネルを設置して、オフグリッド(電力会社との契約をやめて自給自足する)する世の中がやって来るかもしれない、とさえ思ってしまう。そのときに初めて日本は輸入に頼らずエネルギー資源を確保できることになるのだなあ、とポジティブな想像がどんどん膨らんでいく。それがTHE SOLAR BUDOKANだ。
クリーンでポジティブな空気が会場全体を包んでいるためか、他のフェス以上にファミリー客が目立つ。その客層に合わせ、会場内では「小学生(12歳)まで保護者の同伴に限り入場無料」「ママ応援プロジェクト」「親子で参加出来るワークショップ」 などファミリー向けの企画もたくさん用意されている。また原発事故以来、食品の安全に関する意識が高まっているなか、安心しておいしい食事を味わう事のマナーとして、フードコートのすべてのメニューの線量を表示している。会場が整備された公園というのもファミリー層にやさしい。フジロックやARABAKIのように山のなかの自然の地形を活かした会場ではないので、フェス初心者でも気軽に楽しめる。一度、筆者はフジロック用のアウトドアな恰好をしていったが完全に浮いていた。Tシャツと帽子とジーンズとスニーカーでも十分楽しめるフェスだ(雨具と、夜は冷えるので防寒は大事)。
野外フェスの草分け「中津川フォークジャンボリー」が開催された土地で行われる「中津川THE SOLAR BUDOKAN 2016」。フェス初心者の方に気軽に参加して欲しいフェスであり、フェスに行きまくっている人も「21世紀型フェス」として体験するのもいいだろう。フェスの提唱者・佐藤タイジに今年のフェスの展望を訊いてきたので、ぜひ観てほしい。(森内淳/DONUT)
「21世紀型フェス」提唱者・佐藤タイジに今年のフェスをインタビュー
中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016
会場:中津川公園内特設ステージ(岐阜県中津川市茄子川1683-797)
日時:Day1・2016年 9月10日(土)開場10:00 / 開演11:00/Day2・2016年 9月11日(日)開場10:00 / 開演11:00
※ 雨天決行(荒天の場合は中止)※開演・開場時間は「予定」
出演:シアターブルック/ACIDMAN/a flood of circle/AFTER SCHOOL HANGOUT(林立夫&沼澤尚 with 鈴木茂、森俊之、沖山優司featuring Leyona and 高橋幸宏)/赤い公園/THE BLACK COMET CLUB BAND/チャットモンチー/THE COLLECTORS/cro-magnon/DJダイノジ/怒髪天/Dragon Ash/浜崎貴司/GACHI SOLAR SPECIAL(浜崎貴司、仲井戸“CHABO”麗市、佐藤竹善、PES、山田将司)/the HIATUS/H ZETTRIO/インディーズ電力 大取締役会/片平里菜/THE King ALL STARS/黒木渚/麗蘭/LIVE FOR NIPPON 〜Pray For 熊本〜 (高田漣、東田トモヒロ、山口洋)/the LOW-ATUS/ましまろ/MONGOL800/NAMBA69/Nothing’s Carved In Stone/真心ブラザーズ/MANNISH BOYS/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/RIZE/ROVO/SA/さかいゆうfeat.福原美穂/SCOOBIE DO/Spinna B-ILL/10-FEET/八代亜紀 and more
詳しくは公式サイトまで:http://solarbudokan.com/2016/
佐藤タイジのプロフィール
2011年3月11日震災以降は“LIVE FOR NIPPON”という復興支援イベントを毎月開催。原発問題に関しては【再生エネルギー賛成!】を姿勢をしめし、TAIJI at THE BONNET、インディーズ電力新バンドも始動させた。「武道館規ライブをソーラーエネルギーだけで実施する成果が我々には必要だ!」という目標を掲げ、2012年12月20日THE SOLAR BUDOKANを数多くのアーティストの賛同をもらい成功させた。
2013年からは大規模な野外フェス(中津川THE SOLAR BUDOKAN)をソーラーエネルギーのみで実施し成功をおさめた。また2014年にはシアターブルックシングル『もう一度世界を変えるのさ』、インディーズ電力ファーストアルバム『はじめての感電』、2015年にはシアターブルック、メジャーデビュー20年をむかえた記念作品『LOVE CHANGES THE WORLD』をすべてソーラーエネルギーでレコーディングを実施、リリース。
音楽プロデューサーとしては、CHEMISTRY、Leyona、中島美嘉、RABITT(大塚愛のバンドユニット)、豊崎愛生、マイアバルーへの楽曲提供、櫻井敦司、MCU、井手麻里子、THE King ALL STARS(加山雄三のバンドユニット)、Droogへの楽曲提供とプロデュース、清春、tobaccojuiceのプロデュースなどその数は多数。
オフィシャルサイト:http://www.taijinho.com/