GLIM SPANKYが終わって、ARAHABAKIまで急ぐ。急ぐといっても人で渋滞しているので、気持ちだけ急ぐ。そうなのだ、今年のARABAKIもチケットは完売なのだ。2日間で5万人弱の人がやって来た。12時50分からDrop’sのライブ。Drop’sは札幌在住の5人組のロックンロール・バンド。メンバーは中野ミホ(Vo&G)、荒谷朋美(G)、小田満美子(B)、石橋わか乃(Key)、奥山レイカ(Ds)。全員が20代前半。初めて彼女たちのステージを観たとき、何が起こっているのかわからなかった。可愛らしい女の子がとことことステージに出てきて、いきなりブルーズ・ロックをぶちかますのだ。「え、そう来るの?」という感じ。
衣装もいわゆるロック風ではなかった。若いロックンロール・バンドにありがちな「背伸び感」が彼女たちにはなかったのだ。軽音楽部の女の子たちがブルーズを歌い出すようなインパクト。一発で好きになった。とくに中野ミホのボーカル。彼女の歌声はいつもブルーズが鳴っている。というかブルーズをうたうために中野ミホの歌声はある、といっても過言ではない。ところが彼女たちのルーツはマディ・ウォーターズでもローリング・ストーンズでもない。日本のロックなのだ。荒井由実、ミッシェル・ガン・エレファント、はっぴいえんど、The Birthdayなどなど。そこがまた面白い。中野ミホはたまにアコースティックギターを抱え、ソロでカバーソングをやることがある。ユーミンの曲も中野ミホがうたうと彼女のブルーズとして響く。だけどまだ20代前半なのだ。この日の1曲目は「コール・ミー」。2014年のアルバム『Hello』収録の楽曲。日本語のキャッチーなメロディがARAHABAKIに響き渡る。2曲目はノリのいいロックンロール・ナンバー「アイスクリーム・シアター」。会場を盛り上げる要の曲だ。3曲目の「どこかへ」は最新アルバム『DONUT』収録曲。
映画『無伴奏』の主題歌。4曲目が同じく『DONUT』より表題曲「ドーナツ」。アルバム『DONUT』は今までのどのアルバムよりもコンセプチャルな作品としてまとまっている。中野ミホのパーソナルな感情の揺れ動きをテーマに1枚のアルバムが仕上がっているからだろう。それがよりロックなモードを呼び覚ましている。「ドーナツ」はその核となる曲。空っぽな心と向き合ったときに鳴るブルーズをうたいあげる。最後の曲は「未来」。2015年のアルバム『WINDOW』に収録されているバラッド。空っぽな情景からかすかな希望へと曲を繋いでいく。それは中野ミホの心境とリンクしている。と同時に、震災から5年経った東北へ向けられた歌のようにも聴こえた。(HEATWAVE × Rei へつづく)(森内淳/DONUT)
セットリスト
- 1.コール・ミー
- 2.アイスクリーム・シアター
- 3.どこかへ
- 4.ドーナツ
- 5.未来
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Photo by ARABAKI ROCK FEST.16 OFFICIAL
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