ブレイク前夜のクウチュウ戦、リヨとユミコが語る『Sukoshi Fushigi』
突如、宇宙空間に放り出されたかと思えばこの上なく甘い旋律で引き寄せられる。1曲のなかで変化する閃光のような衝撃と嵐のような展開、そして辿り着く桃源郷。“グラマラス・プログレ・シティポップバンド”という謳い文句に頷くしかない、彼らの名はクウチュウ戦。1月に発表した2ndミニアルバム『Sukoshi Fushigi』が各音楽メディアでも注目の4人組だ。今回Rock isではリヨ(Vo&Gt)とニシヒラユミコ(Ba)に本作のあり方について動画インタビューさせてもらった。その動画をご覧いただくと、“Sukoshi”の景色を感じてもらえると思うが、車が宙に浮いているジャケットしかり、アルバムタイトルどおり彼らの音楽は“少し”不思議。しかし、この“少し”の威力が半端ない。シティポップにプログレ、歌謡、ハードロックなど様々な要素を咀嚼しつつ、タイム感抜群のゴリッとした演奏とボーカル・リヨの歌心あふれる艶のある歌が予想を、常識を、はみだしていく。緻密な楽曲構成ゆえ頭でっかち系か?と最初は思いきや、耳に残るは魔法のごとく大胆な切り口の連打。これは確かな演奏技術あってのもの。泣いたり笑ったり、閃いたり驚いたり、そういった感情や感覚そのものがメロディになったような聴き心地にドキドキする。何やらムンムンと匂いたつ、ものすごく五感的なアルバムだ。緻密で大胆、スペイシーでアナログ。この両極のバランス感覚が冴え渡っている。また、1曲目「光線」で<光の速さで動けばどこへも行ける>と、ある種の開放を歌いながらもラストの「エンドレスサマー」では<教えてよ ねえ 太陽/誰が一番のロンリネス>と、孤独を綴る。クウチュウ戦の楽曲が、エキセントリックだけれど王道感を醸し出すのは、こうしたドラマチックでロマンチックな歌心にも起因する。そして温故知新が生むノスタルジーにヤラれるうえ、ふいに巻き舌で歌われるロックンロールの色気ときたら。ああもう、気になる。(秋元美乃/DONUT)