中野ミホの心のドキュメンタリーをバンドで鳴らした、Drop’sのアルバム『DONUT』完成!
メンバー全員でつくりあげたという前作『WINDOW』から10ヵ月。Drop’sが4枚目のフルアルバム『DONUT』を完成させた。中野ミホ(Vo&Gt)のパーソナルな部分が軸となった本作は、去年、新しく手に入れたというアコースティックギターで曲づくりした楽曲も多く、これまで以上にフォーキーな色合いもみえる。しかし、どんな曲調であろうとここに一貫して聴こえるのは、中野ミホの心のドキュメンタリーを綴ったブルースでありロックンロールだ。2作の映画主題歌「どこかへ」「月光」ではそれぞれの作品に寄り添いながらも映画の世界を押し広げるラブソングを描いているほか、ポップでヘビーな楽曲展開が楽しい「CLOUD CITY」、カセットテープ録音の一発録りがバンドのかっこよさを引き立てる「LONELY BABY DOLL」、札幌の白い空気も込められた「グッド・バイ」など、中野の心象風景に5人のサウンドが合わさりDONUTの輪をつくっている。なかでも、自分を“からっぽ”だと受け止めた「ドーナツ」。<からっぽを連れて 続くよ わたしの旅>とうたわれた「からっぽジャーニー」。この2曲が対となり未来が刻まれていること、そして希望を照らすような中野ミホの歌声にグッとくる。本作の歌詞に紡がれた別れや虚無感は、彼女から“ドーナツ”という言葉を引き出した。まるでドーナツの穴を覗くように自身の心と向き合ったからこそ、ここに鳴ったロックンロール。たとえ満たされたとしても決して埋まることのない穴を抱え、ロックンロール・ジャーニーへと歩を進める5人の姿がとても眩しい。(秋元美乃/DONUT)
Drop’s「ドーナツ」
Drop’s「どこかへ」