加藤ひさしと古市コータローが語るTHE COLLECTORSの24枚組BOX SETとは?
ザ・コレクターズがバンド結成30周年を記念して、全オリジナルアルバムを収納したボックスセットをリリースした。CDが23枚(21枚のオリジナルアルバムと2枚のシングル集)、ドキュメントDVDが1枚の計24枚で構成されている。メジャーのレコード会社に所属しながら現役バリバリでバンド活動を続けているバンドがボックスセットをリリースするという例はそんなに多くない。しかもその数が24枚となると、世界の音楽シーンを見渡しても珍しい。
数々のセッションをはじめ、藤井フミヤのBSフジイやロックの学園、NHK-FMでのパーソナリティ、ポッドキャストの池袋交差点24時等々、より広いフィールドで活躍するようになった加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(G)。彼らの奥深いキャラクターが共感を呼び、ここ数年で、新しいファンが増えた。そういうファンがコレクターズの作品を買おうとしたとき、なかなか入手困難な作品もあって、買い揃えるのは至難の業だった。なので、この数年間、「ボックスセットを」という声は常にあった。今回はバンド結成30周年という節目ということもあって、その声に、コレクターズとコロムビアが応えることになった。
定価で3万6千円。それが高いか安いかは、それぞれの判断に任せるとして、出来上がった作品を見て驚いた。まるでボックスセットという名前を冠しただけの新しい作品のようだったからだ。ボックスセットというと、箱のなかにアルバムが無造作に収納されているといった印象だ。一方、コレクターズのボックスセットは完璧にデザインされたDVDサイズのブック型ケースに3枚~6枚のCDが収納され、それが5つボックスのなかに入っている。
特筆すべきは、そのケースごとに、BAIDIS YEARS(サードまでをロンドンでリミックス/4枚目を吉田仁がリミックス)、SEASON OF STARDOM、MODS OF HEART、TIME FOR NEW STEPといった具合に、30年の歴史を4つのパートに分け、その時代を象徴したタイトルが冠されていることだ。本でいうところの章立てだ。CDも均等に収められているのではなく、その章のタイトルに合った作品が入っている。そのCDたちを引き立てる中身の写真も、その時代をコラージュしたかのようにデザインされている。まるで本のような世界観の作り方だ。リスナーはパッケージを眺めているだけで、コレクターズのヒストリーや、そこで発表された作品の立ち位置を、わかりやすく捉えることができる。たくさんのCDを一気に聴くための作品というよりも、30年間の物語と寄り添えるような性格の作品になっている。
今回は、ボックスセットについて、そしてボックスセットと同時発売された、ファンが選んだ楽曲で構成した『Request Hits』について、ザ・コレクターズの加藤ひさしと古市コータローに訊いた。(森内淳/DONUT)