爆弾ジョニー、ここから新たな物語が始まる
活動休止から約2年。今年6月30日に渋谷クラブクアトロのステージで待望の復活を果たした爆弾ジョニーが、その新たな歩みを確かなものにするべく、11月から活動再開全国ツアー「ROAD to BAKUDANIUS 2016」を開催中。その初日、11月12日新宿レッドクロスのライブを観た。
この日まず驚いたのは、ステージに現れた5人の表情。まだ堅さの残っていた6月とは比べものにならないくらい溌剌とした顔つきと強い目線は、それだけでこちらを高揚させた。りょーめー、キョウスケ、ロマンチック☆安田、小堀ファイヤー、タイチサンダー、この5人が帰ってきた。もちろん6月のクアトロでもその手応えはあったけれど、この日やっとそう確信できた。彼らのライブでいつも感じていた、「始まるぞ!」というワクワク。それがもうオープニングだけで違っていた。
だからと言って全てが元どおり、というわけではない。活動休止の間に失ったものや変わったもの、変わらざるをえなかったもの、いろいろあるだろう。新たに手に入れたものも。人間だから失敗もするし、私たちは間違いと勘違いを繰り返しながら進んでいく。その変化と進化がステージ上の5人から、そして鳴らされる音楽からあふれてくる。でも、それこそがこのツアーを行う大きな意味につながっている。やったもん勝ちの無謀感バリバリ&得意技はかめはめ波、みたいな闇雲なやんちゃさは割合を下げた。いや、下げたというより、その出し方が変わったのか。いきなりの波乱万丈を経験し、少し大人になった彼らは弱さや脆さ、痛みを知った。でも、それを知った彼らって最強なんじゃないか? そう思ったのはずばりで、そんな断片が音にも歌にもあらわれていた。メンバー同士ともファンとも、新たに関係を築いていく旅。ここはその旅の始まり。歌詞のように、5人の前には今、前よりちょっとだけ広くなった世界が広がっていることだろう。
新曲を織り交ぜながら合唱を巻き起こしてステージは進む。フロアからの歌声を、メンバーがたまらない顔で受け止める。小堀の雄叫びも、ムードメーカー・タイチのパフォーマンスも、安田のしきりも絶好調。途中MCで、りょーめーや安田がたわいもないことで騒ぐと、キョウスケが下向きに微笑む。復活後の活動やラジオからもキョウスケのバンドに懸ける思いが伝わってくるだけに、こんな当たり前の瞬間にもグッとくる。多々そんな瞬間を刻みつつ、歌で何度もハイライトをつくる。ここに集まっているのは“たった一人”の集まりで、その“たった一人”の重みと思いがステージとフロアを交差する。そして何より際立ったのは、休止中も他バンドのサポートなどで腕を鍛えたみんなの抜群の演奏力と、やはり楽曲のよさ。以前のように過剰なペンライトやクラッカー、ギャルゲルといった飛び道具的な要素がなくても、笑って泣けて、“たった一人”たちの心をグイと掴む歌の力が、大きな歌の力がある。例えば、ひときわ優しい声でうたわれた「イミナシ!」に。例えば、この場にいることを全員で共有した「うたかたの日々」に。例えば、ひとつの思いをわかち合えた「なあーんにも」に。そして、この旅を導いているような「かなしみのない場所へ」に。まだツアー中なので多くには触れないが、そう、新曲の歌詞がとてもいいので楽しみにしてほしい。そういえば、りょーめーに初めてインタビューした2012年の冬、彼は「やっぱ歌うなら、大きい声で、もっと根本的なことを大きい規模で歌いたい」と話してくれていたっけ。
ライブはどんどん熱を帯びていくなか、本編のラストでりょーめーはこう語った。「今流行りのバンドみたいにはやれない。俺らには何もないし、ファンタジーもないし夢もない。嘘はつけないからそれでがっかりさせることもあるけど、リアルだから、俺らは。ありのままでしかいられない」。ありのままでしかいられない――ここに剥き出しになった爆弾ジョニーのリアルに思わず泣く。
爆弾ジョニーというバンドは、とにかくいい楽曲を武器に、得体の知れないパワーをともなって5人の宝物を「ほら!」って見せてくれるような、公開秘密基地のようなバンドだ。何のもったいつけもない潔さで、ドキドキ、ワクワクさせてくれるバンドだ。少し大人になった彼らの冒険はどうなっていくのか、私たちは胸を高鳴らせ、また夢を見る。だから私のような大人も本気になって追いかけたくなる。「ROAD to BAKUDANIUS 2016」、残すは12月12日(月)恵比寿リキッドルームと12月15日(木)札幌PENNY LANE24。何度も言うが、このツアーは爆弾ジョニーの新しい物語が始まったことを私たちも一緒に体感する旅路だ。ぜひ目撃してほしい。(秋元美乃/DONUT)