女王蜂・アヴちゃんが最高傑作『Q』を語る
女王蜂の新作『Q』はロック・アルバムだ。それはアートフォームとしてのロックではなく、アティチュードという意味で。この作品の核になるのは表題曲の「Q」。赤裸々な風景をストレートに描いた曲だ。アヴちゃんの体験談なのか、それとも妄想のストーリーなのか、それはわからない。トラウマの深淵をどんどん掘り下げていくかのような歌詞は、聴く者の感情にダイレクトに刺さる。「Q」の歌詞が降ってきたとき、すでにアルバム『Q』は始まっていた。インタビューでアヴちゃんが語るように、その瞬間、新作のために準備していた曲は一旦お蔵入りになってしまった。では『Q』はひたすらトラウマの深淵に落ちていくアルバムなのか。そうではない。この作品を印象づけているのは、むしろ「金星 Feat. DAOKO」や「DANCE DANCE DANCE」や「超・スリラ」や「失楽園」といったポジティブなメッセージを持ったダンス・チューンだ。ライブでジュリ扇が激しく舞う様子が容易に想像できる。とくに「DANCE DANCE DANCE」の「BOY MEETS GIRL」「BOY MEETSBOY」「GIRL MEETS GIRL」というメッセージはアヴちゃんが獲得した「今、この瞬間を切り取った最上級のラブ・ソング」といっていい。そのメッセージも「Q」という「心の軋轢・体験の物語」を越えて到達したと考えれば、説得力がより増す。「Q」がなければ「DANCE DANCE DANCE」もない。それが『Q』という作品だ。答えに至る道程を晒さずにいられなかったところにアヴちゃんの、女王蜂の、ロック的アティチュードがある。『Q』は2017年だからこそ産み落とされた作品なんだけれど、70年代のロック・バンドのコンセプト・アルバムと同じ匂いがしている。 (森内淳/DONUT)