ザ・コレクターズの新ツアー初日・渋谷クアトロ公演を見た
2017年6月10日(土)、ザ・コレクターズのツアー『THE COLLECTORS 30th Anniversary TOUR “Roll Up The Collectors”』が始まった。キャリア史上最長の32本のライブ。最終公演は11月3日の中野サンプラザ。半年にわたるツアーだ。その初日の渋谷クアトロ公演を見に行った。この日のチケットは即完。ほぼ先行販売だけで満員に。武道館でライブをやるとファンが脱力して、直後のツアーは動員が減るという都市伝説があるが、コレクターズの動員は右肩上がりだ。
コレクターズには特殊な事情がある。加藤ひさし(vo)と古市コータロー(gt)のポッドキャストをきっかけに初めてロックを聴いた人も少なくない。武道館で初めてロック・コンサートに行った人もたくさんいる。僕が40年前にビートルズを初めて聴いた衝撃を、今、コレクターズを通して味わっている人がたくさんいる。武道館でロックンロールが降ってきて、そのままコレクターズのツアーになだれ込むという現象が起こっているのだと思う。
渋谷クアトロからスタートした今ツアー、最大の特徴は武道館の延長ではないところ。武道館ライブの編集後記的な、あるいはコンパクトバージョンのような内容になってもおかしくはないところ。しかしこのツアーはタイトルが示す通り、ニュー・アルバムのツアー。昨年12月にリリースした『Roll Up The Collectors』の楽曲を中心にしたセットリストがとても新鮮だ。
コレクターズは去年の後半は武道館を見据えてセットリストを組み立て、武道館公演に向かって走っていた。オールキャリアから満遍なく選曲され、ファンは昨年の春の日比谷野音から始まった「ROAD TO BUDOKAN」で、オールタイム・ベストを1年間、たっぷりと楽しんだ。
今回は、昨年加入したばかりのcozi(dr)に言わせると「半分は初めて叩く曲」。つまり加藤ひさし(vo)古市コータロー(gt) 山森“JEFF”正之(b) 古沢“cozi”岳之 (dr)の4人での初披露曲がセットリストの半分を占めている。これがコレクターズのライブに新風を吹き込んでいた。ここに立っているのは明らかに「武道館後のコレクターズ」だ。「今さらアルバム・ツアーかよ?」という意見もあるかもしれないが、結果オーライだ。しかも武道館の経験に裏打ちされたライブは余裕すら感じられた。ロング・ツアーの初日なんていうと、どこかまだ地に足がつかない感じがするものだが。
武道館では、自分たちが愛した60年代から70年代のロックをストレートに表現したコレクターズ。それはこれからのバンドの方向性を高らかに宣言するものであった。アルバムで聴くと音数も多く、緻密で複雑な収録曲も、歌も含めた4つのサウンドのみで表現したからこそのダイナミズムを獲得していた。ここで披露される『Roll Up The Collectors』のナンバーはアルバムとはまた違った光景を見せてくれる。個人的な希望ではあるが、このライブのダイナミズムを今度はアルバムに還元して欲しいところだ。
こうなると武道館は通過点という使い古された言葉にも説得力が宿る。完璧に武道館公演をやり遂げ、完璧なツアーへとつなげる。武道館後の「コレクターズ・ネクスト」。キャリア30年のバンドはまだまだのびしろだらけだ。王道ロック・バンドの逆襲が始まった。(森内淳/DONUT)
※セットリストはツアー終了まで伏せておきます。