ニューアルバム『appealtime』をリリースしたクーピーズよりコメントが到着
4枚目のアルバム『appealtime』をライブ会場と通販限定でリリースしたクーピーズが、道路の脇に座って訥々と最新作をアピール
ザ・クーピーズがニューアルバム『appealtime』をリリース。藤本浩史(vo,gt)が書く歌詞の視点はとても面白い。例えば5曲目の「口以外すべて口」は会話によるコミュニケーションが下手な藤本浩史の心情をよく表している。「口でコミュニケーションしなくても口以外の全部で(それには音楽も含まれている)コミュニケーションできる」という主張は、音楽の、ロックの核心でもある。たまに「インタビューで、言葉で表現したくないから歌っているのに」と嘆くミュージシャンがいる。全くその通りだ。インタビューをするのが仕事のひとつだが、本当は音楽があって、それに対する論評や感想があれば、後は何もいらないというのが本音だ。だからなるべく歌詞の意味とかを訊かないように努めている。クーピーズの新作は、まさに「口以外でアピールしている」作品だ。音楽を通してもっともっと自己表現したいという願望がにじみ出ている。だからリリックは今まで以上に赤裸々だ。サウンドは今まで以上に多彩。そういう意味では時に激しいライブ・パフォーマンスでの表現にサウンドが近づいたのかもしれない。そんな「アピール」推しの作品だが、今回はライブ会場限定&公式サイトの通販での販売(ここを責めないでほしい。バンドにはいろいろ事情があるのだ)。なので、クーピーズを知らないリスナーにはまずは(とてもセンスがいい)ミュージックビデオ「永遠に美しく」を見てもらって、気に入ったらライブに行って作品を手にしてもらいたい。動画には、道路脇に座って訥々と喋るメンバーが映し出されていて、最初は戸惑ったが、これもまたクーピーズっぽいので、そのままでお届けする。ライブは、藤本浩史の情念(のようなもの)を、クールで強靭なサウンドが昇華させる様がとてもかっこいい。機会があればぜひ見てほしいです。(森内淳/DONUT)