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山﨑彩音が「今」気になるモノやコト、エッセイなどを紹介!

山﨑彩音の「その時、ハートは盗まれた」

2017/12/13

第24回目 『パーティで女の子に話かけるにはと照らし合わす私の2017』

山崎彩音

2017年も終わろうとしている12月、今年を振り返るモードにぴったりときて、自分と照らし合せた映画があった。

「パーティで女の子に話しかけるには」

半年前からずっと楽しみにしていた映画。

「70年代を舞台にした、パンク少年と少女の48時間のラブストーリー」という少しの情報から“これは絶対に好きなやつ!!”と確信があり、張り切って公開初日に観にいった。

そんなにイケメンじゃない冴えないパンク少年エンが恋に落ちるのはカルト教団に入ってるブロンドヘアのかわいい宇宙人のザン。
集団自殺を試みるカルト教団からエンはパンク仲間と共にザンを救い出すストーリー。

エンはパンクに出会って好きなようにやりまくってる日々だけど、どこかでずっと自分を捨てたお父さんのことを気にしていたり、自由人でふらふらしてるお母さんに呆れてる。
部屋でレコードに針を落として踊る。壁いっぱいに貼られた好きなアーティストの写真、自分の作ったキャラクターの落書き。
そうやって好きなもので自分を作りあげ自分の居場所を家の中じゃない外へ、街へ、ライブハウスへ、探しに行く日々。

一方ザンはカルト教団の洗脳に一人違和感を感じるも、それ以外の世界を知らないからどうにもならない日々。退屈から抜け出して自由になりたいと思ってる。

そんな二人が出会う。
「パンクなのがいいよ」ってわけのわからない言葉でザンを誘い出す。

二人で走り周ったり、トマトをぐしゃぐしゃに食べたり、頰を舐め合ったり、叫んだり、そういう二人の姿こそが、この映画で最もパンクを表している気がした。

“ワー!!!ぎゃーー!!クソ!!!”っていう感情、衝動が。

そして私がこの映画から一番に感じとったテーマは、
「少年少女たちが無意識的に受けている、育った環境からの窮屈な固定的概念や洗脳からどう脱却するか」ということ。

「パンクってなに?」

「ブルースの最終形態だよ」

クラブのオーナー、ボディシーアがザンに言うこのセリフが映画の核心であり、脱却へのヒントとなっていると私は思った。

「どう生きて行くか」自分で道を決め、一人で歩き出すことが精神的なブルースだと私は思ってる。
孤独と友達になれるか。親からの教え、学校からの教え、じゃないそれ以外のものに踏み込むかどうか。

私自身、今年はいろんな変化が細やかに起こった年だった。
一つの縛りから解放されたものの、今まで考えもしなかったことをとうとう考えなければいけなくなった、自分の頭で。
無意識にできていたことが意識的にできなくなっていく。
頭ばかり中途半端に賢くなっていく、だけど全然楽しくない。
毎日に実感がなかった。

与えられている状況になんの疑問も持たず、素直にやってきたけれどこれからはそれだけじゃダメなんだと。自分で選ぶのだ、決めるのだ、とだんだん気づく。

少しづつ自我が芽生え、やりたいことも言葉にできるものになってきた。

そんな自分の現状がスクリーンに映る二人と重なり、グッとくる。

映画が終わると不思議と涙が出てくる。
結構スピってる映画なだけにセラピーを受けた後みたいな感覚に陥る。
それと同時に少し戸惑う。
予告を見たはずなのにすっかり「宇宙人の女の子と恋をする」という話だと忘れていたのと、予想を遥かに超えたSFカルト映画だったから笑

だけど一番に二人の可愛い恋心にうっとりしてしまう。
男の子ってあんな風にビビっててあどけないよなぁとエンを見て思い出したり。
イケメンでもないエンだけどなぜだか愛おしくなってくる。

 

帰り道、夜空を見上げたら満月だった。
遠くにいる満月。
雲がうすーく澄んでいて、ぽっと光る満月に吸い込まれそうになったのも、きっとこの映画を観たあとだったから。
好きな人なんて今いないけど、かわいい気持ちでいる自分。
まるで恋してる女の子のような気分だった。

そしてエンの日常と重なる自分の日常。
部屋には好きなバンドのポスター、好きな画家の写真がいっぱい貼られてる。
レコードで一人るんるんに遊ぶ。
そして最近は外へ外へ何かを探しに行く日々。

10代の少年少女の心境やぶち当たるものはいつの時代も、どんな星でも同じなのかもしれない。

 

妄想も得意だけど、良くも悪くも何が起こるかわからない人生だからこそ、外へ出るのはスリリングで楽しいと思えるようになった。
そんな私の日常をキャッチした写真を載せておしまい!みなさんよいお年を。

 

「パーティで女の子に話しかけるには」

監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
脚本:フィリッパ・ゴスレット
プロデューサー:ハワード・ガートラー、イアン・カニング
原作:ニール・ゲイマン
2017/イギリス、アメリカ/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/103分
配給:ギャガGAGA★
©COLONY FILMS LIMITED 2016

STORY:1977年、イギリス中がエリザベス女王即位25周年の祝典に沸いていた。けれども、エン(アレックス・シャープ)にとっては、そんなことはどうでもよかった。大事なのは音楽、それもファッションからライフスタイルまでハマっているパンクだ。もうひとつ気掛かりなのは、内気なあまりパーティで女の子に話しかけられないことだった。仲間のヴィックとジョンと、ライヴハウスへと繰り出すエン。かつてヴィヴィアン・ウエストウッドの下で働き、今ではこの界隈のパンクシーンのボス的存在であるボディシーア(ニコール・キッドマン)がマネージャーを務めるディスコーズが今夜の主役だ。ライヴの後、打ち上げパーティに潜り込もうとしていた3人は、いつの間にか道に迷ってしまう。かすかに聴こえる音楽を頼りに進むと、古い一軒家にたどり着いた。それはお目当てのパーティではなかったが、ドアを開けたステラがヴィックを気に入り、招き入れてくれる。中では見たこともない斬新なスタイルの男女が踊っていた。どうやら外国から来た旅行者のグループらしい。だが、やっぱり今夜もうまく話しかけられないエンは、仕方なく家を探索するうちに、反抗的な瞳が美しい少女ザン(エル・ファニング)と出会う。ぎこちない会話の中で、エンが口走った「パンク」という言葉に興味を示すザン。「ラモーンズやセックス・ピストルズ。アナーキーで、それがパンクさ」と説明していると、顔色を変えたヴィックに「逃げよう。ヤバいぞ」と急かされ家を後にするエン。そこへ追いかけてきたザンに、一緒にパンクへ行くと言われたエンは、すっかり舞い上がる。ただし、ザンに許された時間は「48時間」。エンはとりあえず母とふたりで暮らす家へとザンを連れて帰る。エンがもうひとつ夢中になっているものに、レビュー誌作りがあった。音楽のレビューだけでなく、“ウイルス・ボーイ”と名付けたキャラクターを主人公としたエンのオリジナル・マンガも連載していた。翌朝、イラストを見たザンにあらすじを話すと、「感動した」と目を輝かせるザンに「感動する」エン。夜のライヴまで、街をさまようふたり。家を出て行ったエンの父親の話になった時、ザンは「私が保護者だったら、あなたを捨てない」とやさしく囁き、大切な指輪を靴ひもでペンダントにしてプレゼントしてくれる。見つめ合うふたりは、互いの瞳の中に特別な想いが芽生えていくのを確かに感じていた。「あと22時間よ。パンクを見たいわ」と待ちきれないザンを、ボディシーアが仕切るオープン前のライヴハウスへと連れて行くエン。ザンはボディシーアに気に入られ、飛び入りで歌うことになる。夢のような時は過ぎ、ザンが帰る時間が刻々と近付いてくる。エンはザンの仲間たちが、どこかおかしいことに気付き始めていた。実はザンは遠い惑星から来た女の子で、地球を立ち去ると2度と戻って来ることはできないのだった。「行かないで」と引き止めるエン、涙が止まらないザン。ザンには故郷の星に、ある使命が待っていた──。


EP『キキ』
2017年 4月 26日(水)リリース
FSCT-1005 フォーライフソングス
¥1,200(税込み)
収録曲:プレゼント/〇/キキ/ La mer 全4曲