the twentiesタカイリョウの「頭を木刀でやられたのかもしれない」
第6回:「汚れた食器を洗うように」
AM11:30 カーテンの隙間を突き抜けた日差しが部屋の鮮度を保つ。ベッドの上から小さく膨大に拡がる世界を見下ろすと絶対に溶け合うことのないフレームの中で泳ぐ異物に出くわした。
すぐに濃縮食器用洗剤を手に取りスポンジの荒い方を使ってゴシゴシとそいつを洗い流す。かなり力を入れた。
インターホンが鳴る。
郵便でーす。
この前打ち上げで郵便配達員の苦労話を沢山聞いた。
3秒で出ます。
インターホンを切り高速でドアを開けてみた。
配達員の対応はいつもより丁寧だった。気がする。こいつ分かっているな。という顔をしていた。気がする。
気づけば陽はオレンジを纏い、冷んやりした空気に。ほのかに香る金木犀がセンチメンタルを爆発させてくる。
渋谷へリハーサルに向かう前、大分から来た友人に会うと、彼はおれが羨ましいといった。好きなことをして生きてると。
確かに好きなことをして生きてる。けど、それは人に生かされてる の方が正しい。この世はたくさんの愛で動いてる。たぶん。どうだろう。そんなことないか。あるか。
まあ、それでも結局脳はそんな素直じゃない。秋はくそセンチメンタルだし色々考えてしまう。
そもそもそんな話がしたかったわけじゃない。
「秋ですね。たくさん欲しいよ。お洋服。」
これが言いたかっただけだ。毎年言ってるな。
淡々と生活の角を整理する。
みなさん景気はどうですか????????