『劇場版SA サンキューコムレイズ』がもうすぐ公開!
2015年7月11日(土)の日比谷野音公演のドキュメンタリーが劇場公開!
SAの日比谷野外大音楽堂公演はいろんなドラマを生んだ。ライブの内容もさることながら、アラフィフの男たちの無謀な挑戦とその成功がメジャー・デビューという奇跡をもたらしたのだ。CDが売れないなか、クオリティの高いロック・バンドでもなかなかメジャーとの契約には至らない。そんな歯がゆい状況がつづくなか、アラフィフのSAがメジャー・デビューというニュースは音楽業界にとっても久しぶりに明るい話題になった。しかもそれは単なるひとつのロック・バンドの成功物語として完結するものではなく、「いくつになってもやろうと思えばやれる」ということを多くの人に示すことになった。
もちろん日比谷野音の成功は約束されたものではなかった。SAはいつも300人〜700人クラスのライブハウスで演奏している。日比谷野音のキャパシティは3000人だ。椅子席だけも2500席はある。どう考えても無謀な挑戦だった。しかし彼らリスクを恐れなかった。むしろ、あえてリスクをとった。何かを吐き出さないと何かを得ることなどできないことを、14年間の経験のなかでわかっていたからだ。もちろん失敗する可能性だってあった。この映画のなかでNAOKIは「1000人しか集まらなくてよしとするつもりだった」と吐露している。ところが全国のSAファン(=コムレイズ)がそうはさせなかった。SAが掲げた大きな旗印の下、たくさんのファンが集まってきたのだ。彼らはSAのために応援旗・援軍旗を自分たちで作り、SAをサポートした。その甲斐あって日比谷野音の座席は完売した。当日、コムレイズが手作りした旗は日比谷野音のステージ上に飾られた。
今回、公開される『劇場版SA サンキューコムレイズ』は一部と二部にわかれている。一部がSAを中心に撮ったドキュメンタリー「UNDER THE FLAG」、二部がコムレイズを中心に撮った「UNDER THE SKY」になった。「SAとコムレイズでつくりあげた野音」という経緯を考えれば、当然といえば当然だ。映画はSAとコムレイズの姿をひたすら追いかける。それぞれのドラマはSAが曲を演奏し始めた瞬間に一体となる。監督は岩木勇一郎。岩木は日比谷野音にカメラを大量に投入。ライブ部隊とドキュメンタリー部隊とがわかれ、日比谷野音の模様を余すことなく収録した。だからスクリーンの前にいながらにして、当日の緊張感やそこに流れる空気やお客さんの醸しだす「気」のようなものまでも感じることができる。ステージの模様を時系列でパッケージしたライブDVDとはまったく性格がちがう作品に仕上がった。何度も観たくなるような、まさにこれは「映画」だ。ぜひ大きなスクリーンで堪能してほしい。(森内淳/DONUT)