GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE vol.2
怒髪天、the pillows、フラワーカンパニーズと2マンライブ! THE COLLECTORS 日本武道館への壮行ライブをリポートvol.2
コレクターズは3月1日の武道館公演まで1ヶ月を切った2月の週末ごとに、怒髪天、ピロウズ、フラワーカンパニーズの3バンドを呼んでイベントを開催。それが今回のイベント「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」だ。会場はコレクターズのホームグラウンドである渋谷クラブクアトロ。いわゆる壮行会のようなイベントだが、同時に武道館公演へのウォーミングアップのような意味合いもある。リリーフピッチャーがブルペンで投げ込んだあとにマウンドへ上がるような感じだろう。フタを開けたらウォーミングアップどころか気合のセットリストを見せられるのだけど。その模様をRock isでは写真を中心にお届けする。
<2017年2月12日(日)with the pillows>
コレクターズ壮行会ライブの2週めはピロウズの登場。チケットは即完。渋谷クアトロは超満員。関係者席も賑わっている。最初にピロウズが登場。セットリストはコレクターズに合わせてノリのいいビートナンバーを多数準備。この辺りの気の使い方は山中さわおならでは。彼はいつも物事の意味を丁寧に考えながら行動に移す。おそらくはこの日の選曲も彼なりに考え抜いたものだろう。ライブを観ていて、山中さわおの愛情が伝わってきた。この日、ピロウズはほとんどコレクターズの武道館については触れなかった。その代わり、3曲目に行く前に「31年めのコレクターズ。28年めのピロウズ。共に歩む君たちへ向けて“Movement”!」というMCに全ての思いを乗せた。バンドが周年を迎えるだけではない。そこには必ずリスナーがいて、そのリスナーと共に武道館に立つのだ。「Funny Bunny」や「Fool on the planet」は、決して楽な道のりじゃなかったコレクターズのバンド・ヒストリーと重なりこみ上げるものがあった。「About A Rock’n’Roll Band」は30年間、どんな状況にあっても(例え事務所が潰れ解雇されても)ロックンロールを鳴らし続けてきたコレクターズへのリスペクトが滲んでいた。ピロウズは45分を全力疾走してステージを降りた(今日も山中さわおの汗の量はハンパなかった)。
次に登場したコレクターズは、初期のコレクターズが好きな山中さわおに捧げるように「NICK NICK NICK」からスタートした。つまり1曲目から古市コータローがギターを持って暴れまくるわけだ。2曲目が「MILLION CROSSROADS ROCK」。そして3曲目が全く予想外の「ご機嫌いかが? おしゃべりオウム君」。この曲は1989年リリースのサード・アルバム『ぼくを苦悩させるさまざまな怪物たち』に収録されている。ライブではほとんど演奏してこなかったレアな曲だ。加藤ひさしも楽屋で「たぶん、今までもそんなに演奏していないんじゃないかな」と言っていた。このサイケデリックかつプログレッシブかつポップな複雑な曲をいきなりウォーミングアップ・ギグで繰り出す理由は見当たらなかったが(山中さわおへのサービスかもしれない)、これが見事な再現力だった。というかスタジオ盤よりもパワーアップしていた。今更いうことでもないが、コレクターズの楽曲は実に複雑だ。いつも古市コータローが「コピーするのは至難の業だと思うよ」と言っているが、シンプルに思えてシンプルじゃないのがコレクターズの楽曲の魅力だ。「オウム君」ほどではないが、楽曲のなかで何度も表情を変える楽曲も少なくない。コレクターズのすごいところはそういった楽曲を全部、ロックンロールに着地させてしまうところだ。着地というよりも昇華といった方がいいだろう。さらにJFEE&coziの三代目リズム隊がそこへロックのダイナミズムをもたらしている。そこには強固で揺るぎないロックが現出する。コレクターズの佇まいは常にスタジアム・ロックなのだ。武道館なんて似合うに決っている。前述したが、この日はそれに加え、古市コータローの見せ場が多く、彼の激しいパフォーマンスがバンドのグルーブを加速させ、客席をヒートアップさせていた。もはや壮行会とかいう悠長な感じではない。「早く武道館でコレクターズを観たいだろう?」といわれているような気分になった。アンコールでは山中さわおが登場。「1・2・3・4・5・6・7 DAYS A WEEK」をうたいあげ、最後は前週と同じく「愛ある世界」で幕を閉じた。3月1日の武道館公演が待ちきれない。(森内淳/DONUT)