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Rock is(ロックイズ)

GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE

2017.2.19(SUN)渋谷クラブクアトロ

GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE

GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE

共演:フラワーカンパニーズ

GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE

GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE vol.3

怒髪天、the pillows、フラワーカンパニーズと2マンライブ! THE COLLECTORS 日本武道館への壮行ライブをリポートvol.3

コレクターズは3月1日の武道館公演まで1ヶ月を切った2月の週末ごとに、怒髪天、ピロウズ、フラワーカンパニーズの3バンドを呼んでイベントを開催。それが今回のイベント「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」だ。会場はコレクターズのホームグラウンドである渋谷クラブクアトロ。いわゆる壮行会のようなイベントだが、同時に武道館公演へのウォーミングアップのような意味合いもある。リリーフピッチャーがブルペンで投げ込んだあとにマウンドへ上がるような感じだろう。フタを開けたらウォーミングアップどころか気合のセットリストを見せられるのだけど。その模様をRock isでは写真を中心にお届けする。

<2017年2月19日(日)with フラワーカンパニーズ>

「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」ザ・コレクターズ&フラワーカンパニーズ

2月19日 日曜日、渋谷クアトロ。コレクターズを日本武道館へ送り出す壮行会ライブシリーズ第3弾。いよいよこのシリーズも最後だ。今夜はコレクターズに武道館のバトンを渡したフラワーカンパニーズの登場。今日も超満員ソールドアウト。考えてみれば、武道館公演まであと10日しかない。さぞかしピリピリムードだろうと思いながら楽屋に行く。すると30年間を最初から歩んできた加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(G)は余裕の表情。「ライブは問題ない」というのが最近の彼らの口癖だ。むしろスタッフやお客さんが緊張しているのではないか。バスツアーを企画したMさんも緊張している、と話していた。僕らがステージに立つわけではないのに。25年くらい前、古市コータローと雑誌連載を持っていた。そのとき、いつかは武道館をガムで埋め尽くせればいいね、と話していた。本当にその日がやって来ると思うと(今回は武道館側のNGで「チューインガム」はセットリストから外れたが)、25年分の思いで足はすくみ、心臓がバクバク音を立てる。とにかく楽しもう。

「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」ザ・コレクターズ&フラワーカンパニーズ

コレクターズに武道館のバトンを渡し、成功をずっと応援してきたのがフラワーカンパニーズ。彼らは、いち早く応援フラッグを製作。全国のライブ会場に掲げてきた。そのフラッグがいよいよコレクターズのホームグラウンド、渋谷クアトロへやって来た。これだけでもちょっとした物語だ。17時ちょうどに客電が消え、フラワーカンパニーズがステージに登場。グレートマエカワ(B)はユニオンジャックのつなぎ。鈴木圭介(Vo)は自称「なんちゃってモッズコート」にフレッドペリーの靴下。さらにこの日のためにマッシュルームカットに。シリーズ1の怒髪天・増子直純、シリーズ2のピロウズ・山中さわおにはできない技を仕掛けてきた。この時点でコレクターズ・ファンの心を鷲掴み。「脳内百景」「消えぞこない」「マイ スウィート ソウル」とロックンロールを矢継ぎ早に繰り出す。MC後に、現在のバンドの心境をうたった新曲「あまくない」を披露(会場限定販売シングル)。「たましいによろしく」では鈴木圭介のシャウトが会場を覆い尽くす。フラカンのロックンロールはスタイリッシュでもおしゃれでもない。感情の動き、迷い、弱さを晒し、肯定する。人生はあまくないがバンド人生は続いていく。“ショウ・マスト・ゴー・オン”なのだ。フラワーカンパニーズの紆余曲折はコレクターズの30年間ともシンクロする。最後は「終わらないツアー」から「俺たちハタチ族」で終了。

「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」ザ・コレクターズ&フラワーカンパニーズ

そんなフラカンにコレクターズは1曲目「MILLION CROSSROADS ROCK」で応える。「道に迷ったわけじゃなくて、長い回り道の途中なだけだ」と。思い返せばこのシリーズの1曲目はすべて対バンに捧げられていた。怒髪天の男気に「たよれる男」で応え、初期コレクターズから多大な影響を受けたピロウズの山中さわおに「NICK NICK NICK」を捧げた。「恋のヒートウェーヴ」「ぼくのプロペラ」とこのシリーズ初登場の楽曲を連続で投入。武道館を10日後に控え、切れ味のいいロックンロール・ナンバーを繰り出す。いや、切れ味がいいのは楽曲のせいじゃなく、コレクターズのパフォーマンスのせいだ。たまに、どうして、このバンドがライブハウスを回っているのかがわからなくなる時がある。やっている音楽の大きさも(背の高さも!)常にアリーナクラスだ。楽曲が持つ力、演奏力、歌全てにおいてライブハウスの規格ではない。きっとこれも「長い回り道の途中」なのだろう。コレクターズの武道館公演を皆「チャレンジ」というが、(動員という意味ではチャレンジだが)ライブパフォーマンスと音楽の規格を考えれば、武道館がデフォルトでもおかしくはない。数年前に藤井フミヤのイベントで、コレクターズは武道館のステージで何曲か演奏したことがある。武道館と彼らのフィット感は最高だった。すでにあのとき、武道館公演の成功は見えていた。「ライブは問題ない」。そう彼らが言い切るのはハッタリでもなんでもない。ライブの定番曲となりつつある「ロマンチック・プラネット」から「NICK NICK NICK」を演奏。最後はコレクターズの新しいアンセムとして定着した「Tシャツレボリューション」で本編終了。

「GLORY ROAD TO BUDOKAN COUNTDOWN LIVE」ザ・コレクターズ&フラワーカンパニーズ

アンコールはフラワーカンパニーズの鈴木圭介と竹安堅一(G)を迎え「世界を止めて」を演奏。鈴木のボーカルによる「世界を止めて」が予想以上にいい。歌声に宿る切なさが曲の持つロマンチックな風景を深淵なものに変えていく。竹安のギターソロもカッコよかった。古市コータローも思わず笑顔になる。最後は3週連続で「愛ある世界」で終わり……と思いきや、この日はもう1曲、キレッキレの「僕の時間機械」を演奏。「今の僕にできるのは自分の未来を変えるだけ」というリリックが熱狂のクラブクアトロに響き渡る。それはコレクターズからコレクターズへ向けたメッセージでもある。未来を変える第一歩、日本武道館のステージはもうすぐそこだ。行こうぜ、武道館。いつだってショウ・マスト・ゴー・オンだ。(森内淳/DONUT)

INFORMATION

THE COLLECTORS

THE COLLECTORS "MARCH OF THE MODS" 30th Anniversary

2017年3月1日(水)日本武道館 OPEN 17:30 / START 18:30 チケット情報:

PROFILE

THE COLLECTORS

THE COLLECTORS(ザ・コレクターズ)/1986年初頭、THE WHOやPINK FLOYDといったブリティッシュ・ビート・ロックやブリティッシュ・サイケ・ロックに影響を受けた加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(G)が中心となって結成。翌87年11月にアルバム『僕はコレクター』でメジャー・デビュー。2015年、通算21枚目のオリジナルアルバム『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』をTriadよりリリース。現在のメンバーは加藤ひさし(Vo)、古市コータロー(G)、山森JEFF正之(B)。 公式サイト:http://thecollectors.jp

取材・テキスト:DONUT(秋元美乃/森内淳)