新ツアーを前に浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSがリリースしたDVDとは?
「この3人だったらストレートな激しい世界観でやるべきだなって思った」と、浅井健一が以前インタビュー(DONUT FREE vol.5)で話してくれたバンド、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS。“この3人”とは元ナンバーガール、現クリプトシティの中尾憲太郎(ba)、カナダやアメリカなどで活動してきた小林瞳(dr)、そして浅井健一(vo>)。2016年5月に始動したベンジーのニューバンドだ。彼らは昨年10月にシングル「Messenger Boy」を、12月にアルバム『METEO』限定盤(通常盤は今年3月発売)をリリースし、2017年1月から初の全国ツアー「浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS METEO TOUR 2017」を開催。そのファイナル公演を2月23日に恵比寿リキッドルームにて行った。
SHERBETSやソロなど、しばらくはじっくり聴かせるナンバーを多く生み出していた浅井が、このバンドではとことんヘビーでソリッドなロックンロールを炸裂させている。アグレッシヴなモード全開といえるステージは、BLANKEY JET CITYともJUDEとも違う3ピースのかっこよさがあり、フロアは初っ端からヒートアップ。ドラムのタイトなビート、塒を巻くような極太ベースライン。そんな強靭なグルーヴの上を浅井のリフやアルペジオが泳ぐ。切なくも激しく、クールで熱く、強く優しい。これは浅井健一の音楽に共通するものだが、爆音で鳴らされるベンジーのロックンロールはことさら胸にくる。自分の大切な何かに触れる気がする。
アルバム『METEO』のナンバーを軸に、自身のキャリアからセレクトされたセットリストで沸かせるなか、「じゃあ、ここら辺で懐かしい歌を一発やるわ。あれだよ、あれ」と言ってフロアを驚かせたのはBLANKEY JET CITYの「SWEET DAYS」。<気付かなくっちゃ かけがえのない事に>と歌われる、ブランキーのナンバーでもポップなメロディが弾むこの歌が鳴った瞬間、一気に様々な記憶が蘇る。が、そこで感じたのは懐かしさよりも、音楽は生きているという実感。ベンジーはどの時代の曲もライブで演奏する。曲に命を吹き込み、灯りを照らす。それはなんて嬉しいことだろうと改めて思った。これまでの曲が、現在の言葉で綴られた新曲たちと共鳴するさまはたまらなくかっこいい。そして『METEO』に収録されている「朝の4時」「フルサト」「細い杖」「Finish Field」など、彼の人生や心の機微に触れるようなフレーズをもつ歌の、強く優しい響きはライブで聴くとなおさら感じ入るものがある。
その後も新旧織り交ぜたナンバーにより、衝動みなぎるステージが続く。ファイナルとあってメンバーとの呼吸もバッチリで、「一緒にやっていて気持ちがいい」と先日のインタビューで語っていたのがよくわかる。これはお互いが放つパワーを信頼しているからこそのものだろう。また、このツアーでは各地で浅井が面白い話をひとつずつ披露していたのも印象的。2度のアンコールを含め、時にヒリヒリするほど儚く、時に血が滾るほど熱く、時に沁みるほどあたたかな情感を孕んだ怒涛のステージがもたらしたのは、心揺さぶるロックンロールと笑顔という、最高の組み合わせだった。
この日の模様を中心に、初のツアーを追ったライブ&ドキュメントDVD 『METEO TOUR 2017 LIVE & DOCUMENT MOVIE“CAT FOOD”』が5月31日にリリース。ブランキーファンは思わずニヤリとしてしまうタイトルだが、オフショットやスタジオシーンも収録された本作で、ぜひ浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのグルーヴと出会ってほしい。なお、バンドは6月4日・渋谷WWW Xから4ヵ所をまわる「GINGER SHAKER TOUR 2017」をスタート。どんなツアーとなるかとても楽しみだ。(秋元美乃/DONUT)