梶原有紀子の関西ライブレビュー
2017年7月 関西ピックアップライブ LOW IQ 01、大森靖子、SA
LOW IQ 01大森靖子SA
<LOW IQ 01>
LOW IQ 01 LIVE TOUR 2017 “Stories Noticed Tour”
7月13日(木)心斎橋Music Club JANUS
最新アルバム『STORIES NOTICED』のインタビューでLOW IQ 01が、「僕のライブは楽しい場です」と話していたのは紛れもなく真実だった。会場に到着して扉を開けたら、誇張でも何でもなく、そこはまるで楽園だった。小さな子を抱いている人も、イントロが鳴った瞬間「俺の歌~!」と嬉々としながらステージ前に駆け出す人も、松田岳二やTGMXはじめステージにぎっしりと居並んだバンドメンバーも、笑っていない瞬間がないんじゃないかと思うぐらい底抜けに楽しそう。LOW IQ 01氏も時にエイサーのような舞いを軽やかに披露しながらステージをあっちへ行ったり、こっちへ来たり。隣に立っていたSUPER STUPIDの頃から好きだったであろう年季の入ったファンが、数分後にはフロア前方でモッシュする人たちの頭の上をコロコロ転がっていた。演奏を振り返って「俺達カッコいいよねー」と言い、MCの冴えに「俺って本当おもしろいなぁ!」と自分たちへの賛辞を惜しまないのが痛快で、なおかつそれが正しくて、ライブの楽しさとともにこちらの気持ちがどんどん大らかに解きほぐされていくのがわかる。「好きなように楽しんで」「何やってもOK。でも自由には責任がセット販売だから(笑)。そこだけ忘れないように」ってどこまで行ってもやっぱりLOW IQ 01はみんなの良き兄貴。
<大森靖子>
2017 LIVE TOUR“kitixxxgaia”
7月13日(木)心斎橋BIGCAT
LOW IQ 01から同じ心斎橋界隈の大森靖子へ。ピンク一色に塗られたマイクスタンドがうっとりするほど綺麗で、それが信じられないぐらい大森靖子に似合っている。ピンクを綺麗だと思うのは自分が女だからなのだろうか。男だったらそうは思わないのか。彼女の歌を聴いていると、そういったささいなことから自分に向き合う瞬間が訪れる。本当は「向き合う」ということがとても苦手なのだけれど。きのこ帝国のあーちゃん(G)や股下89のえらめぐみ(B)、凛として時雨のピエール中野(Dr)などバンドメンバーもいつもながら高水準。そこには「大森靖子だから半端なメンバーを集めるはずがない」という妙な確信がある。「オリオン座」「アナログシンコペーション」あたりのグッドメロディーには言葉が出てこない。というより、好きであることや素晴らしいと感じることにいちいち理由を探す必要はないのだと本人に言われているよう。アンコールでは先ほどまでの本編を指して「いい感じだったでしょう?」とフロアに問いかけ、それまで抑えていたものを吹っ切るように山盛りのトークで楽しませてくれた。優勝者は「絶対彼女」のキラーフレーズを歌う事ができる「今日嫌なことがあった人選手権」のコーナーでは、指名された人が順に身の上話をするのだけれど、中には「嫌なこと」レベルじゃないぐらいにハードなエピソードも飛び出す。この日勝ち抜いたのは若い男性で、それはそれは見事に「絶対女の子がいいな♪」と歌って聴かせてくれた。意識的にせよ無意識にせよ、彼ら彼女たちが抱いている、他人には絶対に言いたくない&言えないことでも大森靖子にはなぜか打ち明けたくなるという気持ちには、共感する。
<SA>
KEEP THE FLAG FLYING TOUR
7月28日(金)太陽と虎(w/ THE SKIPPERS)
7月になるとやけにSAを思い出すのはきっと、2年前の7月11日に日比谷野外音楽堂でSAのライブがあったから。自分はその場に行くことは叶わなかったけど、野音へ至るツアーの大阪公演で満員のライブハウスでぐしゃぐしゃになりながら“SA! ”と叫んでいたコムレイズも大勢詰めかけただろうし、SAの野音を観たあるミュージシャンがいかに夢のあるステージだったかを熱くツイートしていたのもまだ記憶に新しい。今回の「KEEP THE FLAG FLYING TOUR」はリリースを伴うツアーではなく、「ふだんあんまりやらない曲もガンガンやるから」(TAISEI)とのことだった。最初に登場した対バンのTHE SKIPPERSは、兵庫・池田市で結成され今年で15年目を迎える3人組。暗いライブハウスに一瞬青空が見えるような、まっすぐに突き進む彼らの歌。「パンクの何たるかもわからずにバンドを組んで、最初はずっと怒ってばかりだった」とボーカルのJAGGERはMCで話していて、「でも、SAに“カッコいいじゃん”と声をかけてもらえて、本当にバンドをやっていてよかった」と。中盤で「美しいパンクの曲を」と言ってブルーハーツの「リンダリンダ」を聴かせてくれたけど、彼らが奏でる以上に清々しい「リンダリンダ」をこれまで聴いたことがない。その後に披露した新曲も素晴らしかった。
続いて登場したSAは、そのSKIPPERSに「日本語でやってるところが、いいんだよね」(TAISEI)、「青いところがいい。青いままでいい」(NAOKI)と、MCでエールを贈っていた。この日のSAのステージは、鬼気迫ると言ったら言い過ぎかもしれないけれどいつも以上に、やるか or やられるかの真剣勝負という空気を4人に感じた。TAISEIは今年6月の誕生日で、NAOKIともども天命を知る50代に突入。機材車で日本中を駆け巡り、1日1日、命を注ぎ込むようにロックンロールを鳴らす姿に、憧れるだけじゃなく身が引き締まる思いを味わう瞬間が何度もあった。「DELIGHT」にサラ・ヴォーンを思い、「DON’T DENY,GIVE IT A TRY!!」で血が湧き上がってくるのを感じるのと同じぐらい。「パンクで、音楽で世界は変えられる」――SKIPPERSもSAも、その想いを燃やしてステージに立っている。与えられることに慣れてしまわないで、欲しいものを得るためには自分から獲りに行かなくては。彼らのステージに触れてそんな思いが込み上げてきた。そうする方が人生は何倍も楽しそうな気がする。(梶原有紀子)