山﨑彩音が「今」気になるモノやコト、エッセイなどを紹介!

山﨑彩音の「その時、ハートは盗まれた」

2018/7/11

第31回目「宇宙と街は一直線、そこには電気が走っている。」

自分に生じる様々な矛盾。
理想や空想を生き抜きたいファンタジーな自分と、今現代を生きていて感じる虚しさや怒りを持った等身大の自分。

いつもぶつかり合う。

自分のファンタジー性が好きだ。そこには不思議と自信も持てる。
それは多分無責任でいられるし、自分の中でだけでいいと思っているから。
だけど現実の自分になると全く自信がなくなり、ありえない程に気が弱くなる。

理想と等身大で言えば、「かっこよくいたい、可愛くなりたい」と「素直でいたい我慢したくない」という2つがぶつかり合う。
例えば他人と接する時、明らかにムカつくことや、違うわ!ってことを言われたときに、笑顔で流せる自分と、「はぁ?」って一気に顔が鬼になる2人の自分がいる。(まぁ気分なんだろうけど)
謎に完璧主義なところがあり、そこら辺を統一したくなる時期がよくある。

そんなわたしなので、「生きることと表現すること」にどう折り合いをつければいいのか、ということによく悩んでいたわけである。
しかしある日、横尾忠則さんが「人生と表現に裂け目を作らない生き方」と本で話していた。
わたしは「そうか!」と、その言葉に従いたいと胸が震えたのである。

 

山﨑彩音

 

それで今回のアルバムを作り終えて3ヶ月が経ち、客観的にMETROPOLISを想うと、まさに自分に生じる様々な矛盾がぶつかり合っていた。だけれどそれは紛れもなく10曲で1つの作品になっていたのであった。
ファンタジー性(宇宙)と現実を生きていること(街)が一直線になって、少し裂け目がなくなっていたのだ。

よく言えば二面性みたいなものが、バンドを2つ使ったこともあり、よく表れているように感じる。例えば宇宙編の「恋は夢の中」は多重録音で世界観を積み上げていくようにレコーディングをした。逆に街編の「Nobody Else」はせーの! で録り、バンド感のノリでリアリティを出した。

そして理想や空想というのは、本当に無意識にぽんっと浮かび上がる夢みたいなものと、映画や本や時代などのコンテンツからインスパイアされたものから出来上がる。
例えばさっき挙げた「恋は夢の中」だったらJ.D.サリンジャーのナイン・ストーリーズに出てくる「バナナフィッシュにうってつけの日」という短編小説にインパイアされて作った曲なのだが、わたしはどうも完全なるオマージュというものができなくて、やはり「今」というものを大切に思い、METROPOLISではインスパイアを自分で作り変えるということに意識的に挑戦してみた。
それが新しい何かになったり、今生きている自分が表現する意味になると思ったからだ。

 

山﨑彩音

 

そうなると街編の自分の唄というものも、完全に自分へ矢印が向いてるわけではないため、これはこれで今の時代の空気感だったり、生活感だったりにインスパイアされてそれを作り変えたことになる。

「一つじゃない」とアルバムで結構多く出てくる言葉なのだけれど、(マスタリングの日に気がついた)その言葉通り、これからの活動も表現も縛られずに、一つの答えや枠に収まらなくていいと思っている。
今回のMETRPOLISは二面性というものがあるけれど、もしかしたら次はどちらかに偏るのかもしれないし、逆に全く新しいことをするのかもしれない。
それはまだわからないけれど、「人生と表現に裂け目を作らない生き方」を志したわたしは、METRPOLISを作れたことで、これからよりそれに突き進んでいけそうな気がするのだ。

だからアルバムが「ポップになったね!」という人もいれば、「これは完全にロック作品だ!」と言ってくれる人もいるが、それで嬉しい。どうにだって自由に捉えられるに相応しい作品を作れたからだ。

インスパイアを作り変えたこの作品を、聴いたり見たりした人がグッときたり、想像したり、感じたり、またインスパイアされるものになったら幸せだ。

何よりこうやって、自分ってちょーめんどくさい奴だなぁと思いながらも文章を書いたり、曲のイメージを膨らましたり、アートワークなどの目に見えるもののインパクトを最強にするぞ! とか、そういう作っていく時間が最高に楽しくなってきたのである。

作ることや表現することは、この時代に唯一残されたピュアでハッピーなことかもしれないと気づいてしまったのだ。それをこれから身を持って体感し続けたい。

そして最後に、
やっていることにあれこれ意見があったり騒がれたりしないのは本当に寂しいからMETROPOLISが多くの人に届けばいいなと心底思っている。
好きになってくれる人が増えますように!ではまたね。

 

山﨑彩音

 


major 1st album『METROPOLIS』

2018年7月25日(水)リリース
FLCF-4515/2,400円(税込)

<収録曲>
1.アフター・ストーリーズ
2.世界の外のどこへでも
3.ロング・グッドバイ
4.Nobody Else
5. FLYING BOYS
6.恋は夢の中
7.メェメェ羊とミルクチョコレイト
8.ナイトロジー
9. Wolf Moon
10.海へ行こう