Drop's 中野ミホの「まほうの映画館」
第三回「月の光、トウキョウソナタ」
こんにちはー。
七月、暑いですね…。
北海道出身のわたしには東京の夏はなかなかつらいものがありますが、
夕暮れどきに感じる、
あのなんとも言えない夏のにおい。。
あれは北海道と一緒だなー。よかった。
切なくって、とても好きです。
今回は、そんな風に、?
胸に深く残っている、
大好きな国内の作品をご紹介しますね。
『トウキョウソナタ』。
2008年の日本・オランダ・香港の合作映画です。
監督は黒沢清。
この作品では、第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞、
第3回アジア・フィルム・アワード作品賞などを受賞しています。
他の作品でも多くの賞を受賞しており、
国内外から高い注目を集め続けている日本人監督です。
舞台は東京、
線路沿いの一軒家に暮らす四人家族のお話。
香川照之さん演じるお父さんは、突然会社をリストラされ、
そのことを家族に隠したままで、それでも家庭内での権威を必死に保とうとします。
お兄ちゃんは国を、家族を守りたいといって、アメリカの軍隊に志願し、
父の反対を押し切り旅立ちます。
弟は学校になんとなく退屈さを感じていて、
両親に内緒でピアノ教室へ通うようになります。
そして小泉今日子さん演じるお母さんは、
そんな家族を平穏に保とうと、「お母さん役」を演じつつ、
何かふわふわとした物足りなさを感じています。
そんな、一見どこにでもあるような、
でもそれぞれ秘密を抱えた四人の家族。
この映画は数年前に一度観て、衝撃というか、
胸に残った感じがずっと忘れられなくて、
今回もう一度観なおしてみました。
やっぱり、本当にずしっとくる作品だった……。
言葉にできないというか、いや、しなくちゃいけないのだけれど。笑
家族って、家族だけどそれぞれみんな一人の人間で、
お母さんだってお父さんだって、一人の「私」なんだよなあと改めて思った。
劇中の小泉今日子さんの台詞や表情が
要所要所で印象的にそれを物語っていて、どきっとしました。
「あの家のお母さん役、誰がやるのよ。」とか、
「自分は、一人しかいません。信じられるのはそれだけじゃないですか。」
とか……。
アメリカへ旅立つ息子が敬礼をしてみせたときの表情とか、
なんとも言えなかったなー。あぁ。
そして弟がまた切ない、いい目をしているのです。。
子供なんだけど、全部をすっと見抜いているような、
落ち着いた強い眼差し。
みんなそれぞれ、どうしようもなく抗えない力があったり、
社会の仕組みみたいなものに
大なり小なり縛られて生きている。
それがリアルに描かれています。
そして終盤、それぞれに非日常的なことが起きて、
家族はどうなってしまうんだろう、という展開に。。
でも最後には自分の足で、家に帰ってきて、食卓を囲みます。
そこにはほとんど言葉はないのだけど、
この東京で、
道端で人が寝転んでいても見過ごされてしまうような街で、
「家族」であることの意味というか、
良くも悪くも消えることのない強いつながり、を感じたなぁ。
そうして、ずっとなんだか胸が苦しいまま進んでゆくのだけど、
ラストシーンが、
弟くんがピアノを弾くラストシーンが本当に素晴らしいです!
涙がとまらなくなってしまいました。
最後までちゃんと観たらきっと、
胸の奥にずっと、大事に大事にしまっておきたくなるような作品になるはず。
深くずっしりとした感動、やられました。。
あぁーやっぱ映画ってすばらしいなぁ……(しみじみ)。
DVDにもなっていますので、機会があれば是非観てみてください。
うー、それにしてもピアノの音って、なんであんなに沁みてくるんだろう。
一番好きな楽器かもしれない、と最近思う。
劇中で小泉さんも言っていたけど、
ピアノが弾ける男の人って素敵ですよね。あら脱線。。
では、また~。
これからやってくる夏を乗り越えられるのか、わたし。汗
映画館に涼みに行くのもいーね。
『トウキョウソナタ』