Drop’sの中野ミホが好きな映画、おすすめの映画を紹介

Drop's 中野ミホの「まほうの映画館」

2018/10/15

第六回「きらめく泡、きえてしまっても。ムード・インディゴ」

こんにちは。
10月。ついに、秋がきたーー。
とても落ち着きます。息を吸うのがいいきもち。
秋冬のお洋服もすごく好き。あとかぼちゃね。

さてさて。先日、友人と映画の話をしていて、
予告編っていいよねーという話題になり。
予告編を観ただけで思い出して泣けてしまう、大大大好きな作品をあらためて思い出したので、
今月はその映画について書こうと思います。

『ムード・インディゴ うたかたの日々』
2013年、フランスの作品です。
監督は、『エターナル・サンシャイン』(これも同じくらい好き。何回観ても泣けて仕方がない。あ〜語りたい。)
などを手がけたミシェル・ゴンドリー。
BjörkやBeck、Rolling Stonesなどのミュージックビデオも多く撮っていて、
観ればすぐに彼の作品だとわかるような独特のキュートで面白い映像に引き込まれます。
主演は『PARIS』『タイピスト!』などのロマン・デュリス。
このひとの表情と話し方にいつもとても惹かれる〜。
そして『アメリ』『ダ・ヴィンチ・コード』のオドレイ・トトゥ!
文句なしにキュートすぎます。生まれ変われるなら彼女みたいになりたいです。。
そんな二人、フランス語いいな。

原作は1947年にフランスの作家ボリス・ヴィアンが発表した小説、『日々の泡』。
ボリス・ヴィアンは、ジャズトランペッターとしても活躍していて、むしろ作家としては生前はあまり評価を受けなかったようです。
ジャズをこよなく愛し、アメリカへのあこがれが強く、そのような題材の作品が数多く残っています。

最初にこの小説を読んだとき、このまえがきの一部にものすごく感動して、うれしくなったのを思い出した!
「ただ二つのものだけがある。どんな流儀でもいいが恋愛というもの、かわいい少女たちとの恋愛、
それとニューオーリンズの、つまりデューク・エリントンの音楽。ほかのものは消え失せたっていい、醜いんだから。」!!
フランスに生まれて、生涯アメリカを訪れることはなかったというヴィアンの、フランス人の目からみたアメリカ、ジャズへの憧れが、この独特な世界観を作り出しているのかなぁと思った。
なんて素敵なんだろう。

裕福で働かなくても暮らしてゆける、繊細で穏やかな主人公、コランは
パーティーで出会ったクロエと恋に落ち、そして結婚します。
ですが、彼女は肺に睡蓮の花が咲くという病気にかかってしまいます。
クロエを救うために奔走するコラン。やがて高額な治療費のためにお金も底をつき、働き始めます。
過酷な状況でもクロエを必死に看病するも、彼女は日に日に弱っていってしまいます……。
個性的な友人たち、恋人たちのちょっと不思議で切ないものがたり。

今回久しぶりに観てみたのだけど。
もうとにかく、これは、全部がくるしいほど好きです。
こんな映画にはめったに出会えない!とわたしは思います。
そう、完全に好きダー!

原作小説に内容的にはけっこう忠実に描かれているのですが、
そこにミシェル・ゴンドリーの仕掛けやユーモア、色彩や音楽、
(ほんと素晴らしいです! デュークエリントンはもちろん、ほかの楽曲も。音楽がなくてはならない要素。)
そして現代の役者さんのみずみずしい表情が加わって、
みたことのない美しさに最初からもうどきどきします。

ふたりの出会いのシーン、
「クロエ、きみを編曲したのはデューク・エリントン?」
というせりふを恥ずかしげにいうコラン、
雲のゴンドラにのったあと、はじめてキスするシーン、そのときに撮られる写真。
なんてことないような会話や洋服や装飾、景色に至るまで
全てが繊細で素敵。ときどきかわいた現代っぽさもあって、それもまたよい。

もともと小説に出てくるヘンテコな料理や道具や設定も、とても細かく、ゴンドリー監督にしかできない解釈で映像になっています。
演奏する曲によってカクテルが出来上がるカクテルピアノ、音楽で形が変わってゆく部屋、透明の車、
ビグルモアという謎のダンス、不思議なレコードプレイヤー、言い出すときりがないですが本当にワクワクします。こうなるのかー!と。
(あっ余談ですが、2014年に東京都現代美術館であった
「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展では、劇中で実際に使われた料理やマネキンなんかを見たよー! 写真はそのときの、肺。)

そして、肺に睡蓮の花が咲いてしまい、たくさんの花をいつも彼女のまわりに置いておかなくてはいけない、
という展開というか設定自体、とてもロマンチックで悲しいのですが、
高額な薬や手術のためになくなってゆくお金、過酷な労働、暗く錆びてゆく部屋、、
その異常なまでの悲しくなり具合がほんとに苦しいのです……。切ない、切なすぎる。
前半の、全てがきらびやかな日光の中から、最後は白黒になってしまう現実にもう涙が……。
それでも最後までクロエをまっすぐに愛し続ける、ロマン・デュリス演じるコランの悲しげな笑顔に胸がぎゅーっとなります。

そしてコランとクロエが見つめ合うときの表情、柔らかくて、切なくて、とてもとても親密で、
わぁーこれは恋、そして、うん、愛だなぁと素直に思えてますます泣けてきます。
これは小説を読んだだけでは味わえないきもち。

いやー、もう全部が好きだー!しか言いようがないのですが、笑
胸が張り裂けそうなほどロマンチックで、この映画をずっと観ていたい、と思いました。

当時の若者の視点で描かれた原作が1947年に出版されてから60年以上。
こんなにも素敵な作品が出来上がるなんて、ボリス・ヴィアンとミシェル・ゴンドリーの出会いに感謝したい!涙

小説を読んでから観るもよし、予告編から観るもよし。いきなり本編を観るのももちろんよし!
きっと恋したくなる、レコードで踊りたくなる、花を飾りたくなる、そして泣きたくなる。
そんな映画でした。

 

秋の夜長にぜひ〜!

中野ミホの「まほうの映画館」

 


『ムード・インディゴ うたかたの日々』

映画『ムード・インディゴ うたかたの日々』予告編