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Rock is(ロックイズ)

Drop’sの中野ミホが好きな映画、おすすめの映画を紹介

Drop's 中野ミホの「まほうの映画館」

2019/3/18

第十一回「美しさは最後まで。天国でまた会おう」

みなさま、こんにちは。
(Bonjour!)

三月。いろんな出会いや別れやはじまりや終わり、
なにかと心が忙しい時期ですね。

でもあったかくなってきて、映画館へ出向くのにはいい季節になってきたんじゃないかしら?
そうそう。だから映画を観に出かけたりなんかしよう。
わたしは一人で映画を観たあとは
まっすぐ帰るのもつまんないし、かと言って誰かに会いたいというわけでもないなぁ
となることが多く、街をぶらぶらしがちです。
一日中頭がぼーっと映画に浸ってるときってあるよね。

 

今回はそんな、観終わったあとも余韻にひたる
不思議できらびやかな映画!
だいぶ前から気になっていて、公開してすぐ観に行ってきました。

『天国でまた会おう』。2017年、フランスの映画。
監督、脚本、主演をつとめるのはアルベール・デュポンテル。フランスで国民的な人気を誇る俳優さんであり、
96年から監督としての作品も発表しているのだそう! 多才なおじさまです。
そうしてもう一人の主演はナウエル・ペレーズ・ビスカヤート。
アルゼンチン出身、この作品の後にはカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した、
『BPM ビート・バー・ミニット』の主演もつとめています。
原作はピエール・ルメートルの同名小説。2013年にフランスの文学賞ゴンクール賞に輝いた作品だそう!
ふーむ。面白くないわけない。

物語は第一次世界大戦から始まる。
終戦を目の前にして、上官からの理不尽な命令によって戦闘を余儀なくされたふたりの兵士、
エドゥアール(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)とアルベール(アルベール・デュポンテル)。
エドゥアールは生き埋めになりかけたアルベールを助けるものの、顔に重傷を負ってしまいます。
戦争が終わり、なんとか生き延びたふたり。
ですが、アーティストで良家の御曹司であるエドゥアールは自分の顔にショックを受け、
家族に会いたくないと言って戦死を偽装するようアルベールに頼みます。
そしてふたりは身を隠すようにひっそりとパリで暮らし始めます。
ある日、かつての上官が不正なビジネスをはたらいていると知り、エドゥアールは国への復讐として詐欺の計画を思いつきます。
牛乳配達の少女も加わって計画は実行されていくのですが、実は……。
というお話。

これも予告編サーフィンで出会ったのですが、
劇中の仮面や衣装がすごく気になってました。
1920年代のフランス、自分とはほど遠い憧れの世界に出会える予感!と思いましたがまさに!
月並みな言い方かもしれないけど、すごく、美しい映画だったー。
戦争が落とした暗い影がもちろんあるんだけど、
その中でもユーモアやお洒落を、自由を忘れていないかんじが、とても素敵だったな。

エドゥアールが作る数々の仮面もそうだし、登場人物の「顔」がすごく印象的でした。
その人の人生が、深く顔に出ている気がしたなぁ。
口髭や優しい目がとてもキュートなアルベール役がまさか監督さんだったなんて。
エドゥアールはとにかく、冒頭の戦場のシーンから青い目が印象的だったな。
主人公の二人はもちろん、脇役の顔もかなりよかったです。
悪役である上官プラデル(ロラン・ラフィット)とか、最初からものすごく悪そう。
それにメイドの女の子の涙を拭って、その指を自分でなめちゃうシーンとか、キモい! ナイス!笑

エドゥアールは話すことができなくなってしまうので、台詞もほぼないんだけど
パントマイムみたいな動きがすごくかっこよかったの!
ダンスするシーンも、ロマンチック。何回も観たいくらい好き。
だけどねやっぱり彼の生み出す作品は、この映画の中でもとりわけディープな空気というか、
滑稽で、不思議な輝きを放っている。
(劇中のデッサンはエゴン・シーレのデッサンがモチーフになっているそう)
芸術はやっぱり人から、どうしようもない苦悩や怒りや、悲しみを
なんとかしたい、そういうところから生まれてくるんだなと改めて思いました。
だからすごく心を揺さぶられるし、時に底知れぬ怖さやパワーを感じる。

だけどねこの作品のすごいところは、アート映画~って感じに収まってないところだと思うのです!
エドゥアールの家族との関係がとても重要になってくるのだけど、
ラストがほんとうに、、びっくりしたし悲しいけど、うぅー。
どんな結末かは、観て確かめてみてください。(えっ)
ただねそのラストシーンでつけている青い鳥の仮面が、ひときわ美しくて、
そこから覗く青い目もほんとにきれいで、
あぁ、だからこの仮面だったんだ……と涙が出ます。
いつの時代も、どんな環境でも、家族はやっぱり家族なんだよね。

時代が変わっても、きれいなものをきれいだなぁと思える気持ち、
そして、間違っていると思うことにちゃんと向き合う、立ち向かう気持ちは忘れちゃいけないな!
愛とユーモアを持って。そう思える作品でした。

映画やドラマで英語を聞くのすごく好きなんだけど、最近フランス語も好きだなぁ。
なんて言ってるかは全然わからないけど……。
やっぱり独特のエレガントな雰囲気が好きです、フランス語。

余談ですが、エドゥアールがアルベールに馬のかぶりものを作ってあげるんだけど、
それがすごいリアルで、最近観たゴッドファーザーを思いだしてちょっと怖かった。笑
美術とか時代背景で映画を関連づけて観ていくのも面白そう!

まだまだ観たい映画がたくさんあるぞ三月……。
こちらもまだ公開中なはず! 散歩がてらにチェックしてみてくださいね。

では、さよなら!
(Au revoir!)

 


『天国でまた会おう』

監督:アルベール・デュポンテル
2017年:フランス
順次公開中
http://tengoku-movie.com

映画『天国でまた会おう』3.1(金)公開


Drop’s「毎日がラブソング」Music Video

LIVE INFO

  • 2019年3月28日(木)東京・渋谷Lush
    「SHIBUYA TSUTAYA presents Manic Room vol.1」
    出演:Drop’s/Nakanoまる
    OPEN 19:00/START 19:30
  • 2019年4月7日(日)大阪・福島2ndLINE
    Drop’s 10th Anniversary「Sweet & Muddycheeks」(Ms.April)
  • 2019年4月12日(金)北海道・札幌 Sound Lab mole
    Drop’s 10th Anniversary「Sweet & Muddycheeks」(Ms.April)
  • 2019年5月3日(金)長野・NAGANO JUNK BOX
    NAGANO CLUB JUNK BOX 20th Anniversary「COUNTER ROCK!!!!!」

    2019年5月4日(土)新潟市内(全11会場)
    「NIIGATA RAINBOW ROCK 2019」