Drop’sの中野ミホが好きな映画、おすすめの映画を紹介

Drop's 中野ミホの「まほうの映画館」

2019/6/17

第十四回「ちょっとおかしな、でもすごく繊細な、愛もある。メゾン・ド・ヒミコ」

みなさんこんにちは。
六月。え! もう六月ですって。
あっつくなったり、ひんやりしたり、じめっとしたり。
でもなんとなくちょうどいいような。不思議な時期ですね。

最近は海外の映画やドラマをよく観ていて、日本の作品をあんまり観ていないなぁと思い。
高校生の頃レンタル屋さんで、気になる邦画をかたっぱしから借りて
観ていたことを思い出しました。
その中でも印象に残っていて、時々、あぁ観たいなぁとなるこちらの作品を紹介します。

『メゾン・ド・ヒミコ』
2005年、日本の作品。監督は犬童一心さん、脚本は渡辺あやさん。
主演はオダギリジョーさん、柴咲コウさん。
日本映画が好きな人ならばたまらない並びなのでは!!

柴咲コウさん演じる沙織は、塗装会社の事務員として働く平凡なOL。
ある日、亡くなった母と自分を捨てた父親の現在の恋人だという男、春彦(オダギリジョーさん)が訪ねてくる。沙織の父はゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、今はゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」を作り、館長をしているという。
春彦は、その父が癌で余命がわずかだと伝え、ホームを手伝わないかと誘います。
父を嫌い、赤の他人だと言って許す気のない沙織でしたが、
春彦が提示した給料とちらつかせた遺産の話によって渋々手伝いに行くことに。
死にゆく父親、その恋人、入居する個性的なゲイの人たち。
海辺に建つ一軒のふしぎな老人ホームのお話。

 

ぬーー。久しぶりに観たのですが、よかった……!
この映画に流れる空気、時間のスピード。
完全な非日常でも、普通の日常でもない、夏の午後にぽっかり空いた穴みたいな感じ。
やっぱり好きだなぁ。ジャケも抜群に好き!
というかこのジャケだけでちょっと、胸が苦しくなりませんか……。

オダギリジョーさんの、中性的で現実味のないような美しさ(きれいなシャツを細身のパンツにイン、が似合いすぎ。)、柴咲コウさんのいつも不機嫌そうな顔で強がっているかわいさ。
西島秀俊さんのちょっと雑で男っぽい上司役。

そして田中泯さん演じる父、卑弥呼の存在感よ……。
低くて落ち着いた声で話す女言葉ってこんなにセクシーでかっこいいのか、と思いました。
着ている服や部屋、動作や言葉の間、表情、纏う空気。すっごく引き込まれます。
沙織はかたくなに父を許そうとしないのだけど、そんな沙織に病床から「あなたが好きよ」と言うシーン。ずしっときます。忘れられない。
そう、すごく魅力的な役者さんが揃っているのです!

印象的なシーンたくさんあったなぁ。
部屋でいろんなコスプレをして笑い転げるシーン、ダンスホールのシーン。
シュールでかわいくて、でも完璧な夢とかきらびやかな美しさではなくて、
それがまたいいなー。照明の感じがふしぎ。
細かいところまで非常にていねいに作られているのだろうな、とても気持ちいいのです。

そしてキスシーン(!)
なんかこの映画のキスシーン、ものすごく素敵です。
切なくて、胸がぎゅーっとなって、もう、ううわぁぁ。となってしまいます。。
これは絶対に、中野的名画キスシーン大賞ノミネートです。(勝手)

ゲイの入居者たちはみんな明るく楽しそうに暮らしているけど、それぞれの過去があり。
どちらかと言えば世間から身を隠してきた人たちなんだよね。
老いとか家族とか、残された時間とか、それぞれにきっと思うことがある。
でもこの海辺のホームで過ごすていねいな時間、ささやかな幸せみたいなものがとても愛おしく感じられるのです。

劇中ではみんなで美味しそうなブランチを食べたり、
お盆にはきちんとおはぎや精霊馬を作って歌を歌ったりしていて、あぁいいなぁこういうの、と思いました。
そして海辺の風や夕日のにおいがちゃんとする。
夏の空気がわざとらしくなくすっと入ってくるこの感じ、とても落ち着くなぁ。

あと高校時代に観た時にはあまり感じられなかった、言葉の美しさをすごく感じました。
日本語は女性らしい言葉遣いや男性のそれもあって、古風かもしれないけどとても美しいな。

死にゆく自分の父親とその恋人、一緒に暮らすゲイのひとたち。
普通じゃないはずなんだけどなんか自然。
みんなそれぞれ寂しくって、でも神聖な、深い愛の空気があるなぁと思った。
不器用だし、一人なんだけど、わかってるんだけど、でも愛したい、ような。
ラストがまたよかったんだよなぁ。。

夏が来る前のこの
ちょっとアンニュイな時期にそっと寄り添ってくれる作品なのではと思います。
好きだわー。好きです。

あー、日本映画もいいな。。そりゃそうですよね。
もっともっと観たい!
でもね最近思うのですが、このコラムを書かせていただいているおかげで、どんなに慌ただしくてもちゃんと映画を観ることができてとても嬉しいのです。笑

いつも読んで下さってありがとうね。

ではまた! よい雨季を。

 


『メゾン・ド・ヒミコ』

監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
2005年:日本
http://www.dontworry-movie.com

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