がらくたロボットのヤマモトダイジロウが綴るショート小説

がらくたロボット ヤマモトダイジロウの「1983」

2018/9/21

第五話「公園と子供達」

がらくたロボット ヤマモトダイジロウの「1983」

大男と別れ、また1人この街を歩いている。
西の空へと傾き始めた太陽が夕暮れを知らせ
どこからか漂う晩御飯の匂いが
家へ帰る人達の疲れ果てた顔に、柔らかい微笑みを浮かばせる。

「あぁ、今日の晩飯はなんだろう?」

ふと胸が苦しくなったんだ。
どこにでもあるようなそんな風景を横目で睨むように
大通りを左へ。
まるで年寄りのように
眉間に何重もの皺を寄せながら。

 

「へへへへ、へへ。」

ん?

どこからか愉快な笑い声が聞こえてきた。

 

声のする方へすり足急ぎ足で寄ってみると、
家々に囲まれた小さな公園で
子供達が笑い合っていたんだ。

その公園の中にはブランコも滑り台すらもなく
あるのはベンチが一つと木が一本、あとは外灯が二本立っているだけ。

みんな同じ学生服を身にまとった子供達の
バカみたいにデカい声が響いている。

 

そして、突然
笑いが止んだと思うと、今度は歌を歌いながら踊りだしたんだ。

がらくたロボット ヤマモトダイジロウの「1983」

踊ると言ってもダンスだとか言われるような踊りなんかじゃなく
まるでラジオ体操のように
誰にでも出来るような振り付けで、
ほんとヘンテコな動きなんだけど
なぜだか心が踊らされてしまったんだ。

 

ゴーン!ゴーン!

 

どのくらい時間が経っただろう。

日没の鐘の音を合図に
子供達が途端に踊りやめた。
そして、1人残らずみんな家へ走って行くのを
おれはただじっと見つめていた。

 

さっきまでの笑い声がまるで嘘みたいに
公園は物音ひとつなくなった。

「さぁ、行かなくちゃ。」

地下鉄の駅を目指し、また歩き出した、
まだ耳に残る子供達の歌を口ずさみながら。

 

「ゾウのネリーは荷物をまとめ
サーカス団に“さようなら”と
ラッパみたいにパオーン、パオーン〜♫」

 


あとがき
The Toy Dollsの1stアルバム『Dig That Groove Baby』から「Nellie the Elephant」。元は古い童謡。この曲のビデオの意味不明な動きがたまらなく良い。
反抗や怒りをただ剥き出しに叫ぶ事がパンクじゃない、面白く皮肉やユーモアがないとね。初めてトイドールズを聞いた時、レコードの回転数を間違えたのかな?って思うくらいオルガの声が衝撃的だった。

Nellie The Elephant (Toy Dolls)


Rock is LIVE 5
10月12日(金)
下北沢BASEMENT BAR
hotspring/がらくたロボット/錯乱前戦

一般:2,000円(1ドリンク別)
発売中(LivePocket

イベント詳細:Rock is LIVE 5