hotspring イノクチタカヒロの「遭遇!アウトなやつら」
第7回:友達みんな死んでまいました! パンプキン野郎と絶縁して、ジム・キャロルと友達になろう!
はぁぁぁぁ。
どう考えるよ。お前さんはよぉ。
日本の未来を。今の政治を。
そして今年のハロウィン at 渋谷のブザマな様子をよぉ。
なんだあのザマは!?
まさかお前、行ってないよなぁ!?
お前も半裸の状態でラムちゃんかスケベナースかミイラ男かなんかのコスプレでもして、あのバカどもと一緒になって車を横転させてゲラゲラ笑って、マッドマックス怒りのデスロード的世界観を渋谷に出現させたのか!? させたのかっちゅーの!? ああ!?
もしそうなら二度と俺と口を聞くな。
このくそコラムも二度と読むんじゃねえ。
お前なんかどうせあと何年かすりゃただの梅干しババアだ。死ぬまで右往左往してろこの野郎。
はぁ。気を取り直して本題へいこう。
今回はな、先ほどまで怒り狂ってた俺の、偏屈くそじじい的性格に影響を与えた、影響を与えたっていうか、偏屈くそじじいっぷりに拍車をかけさせた、詩人でロックンローラーの、ジム・キャロルさんを紹介したい。
この人との出会いは、はっきりいって音楽より先に本だ。
マンハッタン少年日記という本だ。
この本と出会った当時俺は17歳か18歳だったと思う。
高校2年生の時、修学旅行っていうか、外国語学科の高校に通ってたから、普通科の人たちは東京へ行って、長野でスキーして、みたいな所謂修学旅行だったんだけど、俺たちは「語学研修」って名で1週間ニュージーランドへ行き、知らない外国人の家に一家一人ずつホームステイさせてもらい、毎日ニュージーランドの高校へ通って毎日勉強させて頂くっていうプログラムだったんですよぉ。
そんなの絶対退屈だろうと察したイノは、明林堂書店へ自転車を走らせ、なんとなく目にとまった『ライ麦畑でつかまえて』って本を買って、ニュージーランドに滞在中に一気に読んだのだった。
外国人とまともに話なんか出来ないし、話したくもないから、学校で勉強して、夕方ホームステイの家族とお祈りして飯食って、食い終わったらとっとと部屋に籠って本読むしかなかったんだ。今考えるとすごい貴重な経験だし、今も心に残ってるけどね。
そんでね、その本にまんまとやられたんだ。
これは、俺のことが書いてある!とか思ったんです恥ずかしながら。恥ずかしい。
でも、読んだことある人ならわかるでしょ。ブルーハーツとかを多感な時期に聴いたりしたら大変なことになるじゃないですか。そういうことです。
そっから少し文学拗らせて本を読むようになったんだけど、ジム・キャロル著の『マンハッタン少年日記』は、まさに『ライ麦畑でつかまえて』と感触がよく似た、っていうか舞台も同じニューヨークだし、主人公の年齢もだいたい同じだし、まぁ、似たような世界観の本だったんですよ。これまたドーン!と、イノの心を締め付けて離さないのだった。
『マンハッタン少年日記』には、ニューヨークに住むひねくれたクソガキの日常が書いてあってね、特にこれといったストーリーもなく、文字通りジム・キャロル本人が少年時代に書いた日記なんだけど、バスケットボールに夢中になったり、ドラッグに夢中になったり、仲間とひったくりをやってみたり、バスケ部の顧問がホモだったりドラッグに夢中になったりする話なんかが書いてあって、文章にユーモアがあって面白いんだ。ドラッグもやったことがないし、スポーツも嫌いだし、ニューヨークとは程遠い、大分県の糞田舎でのほほんと暮らす子供だったけど、傷つきやすくて、人生に七転八倒、一喜一憂する様子、なんか、俺と一緒じゃんこの人。って図々しくも、そう思ったんだ。
当時流行ってた携帯小説より面白かったよ。流行ったよな、yoshiっていうやつが書いてたゴミそのもの。おかげでそういったものをバカにするようになりました、ごめんなさい。
そんでね、俺は音楽に、特にパンクに夢中だったから、ニューヨークのパンクとか聴いてね、ルー・リードとかパティ・スミスとか好きになるじゃんか当然。
『マンハッタン少年日記』を読んで随分後で知ったんだけど、著者のジム・キャロルはパティ・スミスやらの仲間で、どうやら音楽活動もしてると。
今、このコラムのために買い直して超久しぶりに『マンハッタン少年日記』読み直してるんだけど、冒頭にパティ・スミスに感謝しますっていうようなことが書いてあるな。
で、この前やっとジム・キャロルのレコードと偶然会って、やっと聞いたのジム・キャロル。
そしたら思いっきりニューヨークパンクでカッコよくてさ、イエーイ!って感じだよ。なんで紹介させてください。
あ、さっきは怒鳴ってすいません。
「ピープル・フー・ダイド」。この曲が一番有名だし、ぶっちぎりでカッコいいです。
どんなこと歌ってるかっていうと、多分
「まさおは12歳の頃からシンナー吸うてました。あきらは中3の頃には既に廃人同然でした。サセ子のまりちゃんは援交で稼いだ金で覚醒剤買うてました。
みんな、みんな死にました。みんな、ガチで死にました。」
っていうような意味の事が歌われてるとイノは予測する。
『マンハッタン少年日記』に書いてる内容まんまだ。嬉しい。
はぁ。カッコいいなぁ。パンクロックはカッコいいなぁ。
パンクのこのカッコよさ、誰とも共有したくない気持ちになるよ。誰にも渡したくないよ。俺とパンクだけの秘密であってほしい。お前なんかに分かってたまるかという心が出現しまう。
鮎川誠さんが「ビートルズはみんなのビートルズだった。だけど、ストーンズは、俺だけのストーンズだった。」みたいなことをたしか言ってた気がするんだけど、その気持ちわかるなぁ。
ハロウィンなんか行ってさ、簡単に赤の他人と肩組んじゃダメだよ。
俺たちみんな、個だぜ。たった一人の俺なんだ。パンプキン野郎なんかに俺の気持ちが分かられてたまるか。
分かり合うって、自分と他者との距離を測ることだ。他者との違いを認めることだ。以前コラムで取り上げた友川かずきさんがそのようなことを言っていたよ。
好きなものが同じで、イエーイってハイタッチすることじゃないんだな。
余談ですけど、このレコードにたどり着くまえに、また違うジム・キャロルのレコードを手に入れててね、聴いてみたら思い描いてたジム・キャロルじゃねぇんだ全然。はっきり言うと、かったるくてオヤジくせぇ音楽だなぁと思って全然聴かなかったの。
こいつ。
調べてみたらジム・キャロルっていう同姓同名のシンガーがいるみたいだ。良かった。俺のジム・キャロルはやっぱ思ってた通りのジム・キャロルだった。
多感な時期にジム・キャロルの本と出会って感動して、今、大人になってレコードを聴いて感動して、なんか、転校してしまってずっと会ってなかった友達とまた再会出来たみたいな、そんな嬉しい気持ちになったイノであった。
続く。
うそ、おわり。
hotspring「どんでん返しツアー2019」
- hotspring presents
「東京どんでん返しジャスティスフォーエバー」
2019年1月6日(日) 東京 下北沢BASEMENT BAR & THREE
開場 17:00/開演 17:30
前売 2,800円/当日 3,300円(税込み、ドリンク代別)
※2会場にて往来自由の自主企画
- 「hotpring どんでん返しツアー2019」
2019年1月11日(金)京都 二条GROWLY
開場 未定/開演 未定
前売 2,500円/当日 3,000円(税込み、ドリンク代別) - 「妄想レコード presents 妄想ナイト2019 & hotspring どんでん返しツアー2019」
2019年1月13日(日)長崎 ホンダ楽器
開場 16:30/開演 17:00
前売 2,000円/当日 2,500円(税込み、ドリンク代別) - 「妄想レコード presents 妄想ナイト2019 & hotspring どんでん返しツアー2019」
2019年1月14日(月・祝) 福岡 天神graf
開場 17:30/開演 18:00
前売 2,800円/当日 3,300円(税込み、ドリンク代別) - 「hotspring どんでん返しツアー2019」
2019年2月7日(木)愛知 名古屋CLUB UPSET
開場 未定/開演 未定
前売 2,500円/当日 3,000円(税込み、ドリンク代別) - 「大阪どんでん返し2019」
2019年2月8日(金)大阪 十三FANDANGO ※ワンマン
開場 19:00/開演 19:30
前売 2,800円/当日 3,300円(税込み、ドリンク代別) - 「大分どんでん返し2019」
2019年2月10日(日)大分 clubSPOT ※ワンマン
開場 18:00/開演 18:30
前売 2,800円/当日 3,300円(税込み、ドリンク代別) - 「どんでん返しツアー2019」
2019年2月24日(日)東京 新宿red cloth ※ファイナルワンマン
開場 18:30/開演19:00
前売 2,800円/当日 3,300円(税込み、ドリンク代別) - ※1月6日(日)自主企画、2月8日(金)大阪ワンマン、2月24日(日)東京ワンマンのチケットは、ライブ会場限定で10月12日(金)より先行発売。
※各プレイガイドチケット11月1日(木)一斉発売開始。
※共演バンド、後日発表。