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2019/3/25

「Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展」をリポート

Exhibitionism - ザ・ローリング・ストーンズ展

ロンドン、ニューヨーク、シカゴ、ラスベガス、ナッシュビル、シドニーで開催され、100万人以上を動員したザ・ローリング・ストーンズの回顧展「Exhibitionism(エキシビジョニズム)-ザ・ローリング・ストーンズ展」が、3月15日、東京・TOC五反田メッセで開幕した。この回顧展はメンバー自らがプロデュース。50年以上にわたって活躍してきたロック・バンド、ザ・ローリング・ストーンズの歴史を記した楽器やアート作品、衣装などの展示物に加え、3Dライブ映像やストーンズの楽曲を自分で好き勝手にミックスできるコーナー、メンバーが共同生活をした部屋やレコーディング・スタジオ、バックステージの再現など、アトラクション的な要素も加えた体感型の展覧会なっている。

展示物の数は500点超え。通常の美術展と比べても破格の内容だ。会場の広さの都合でアメリカやオーストラリアでは展示できなかったものも並んでいるという。500点のアイテムたちは「レコーディング」「アート」「フィルム」etc といったテーマごとに分けられ、ストーンズをよく知らない人にもわかりやすいように構成されている。中にはバンドのアイコンの「ベロ・マーク」に特化したコーナーもあったりと、いろんな角度からバンドを楽しむことができる。

最初に目を引くのはメンバーが共同生活をしたアパートの再現。とんでもなく汚い部屋は(Charもいっていたが)スタジアム・バンドにも駆け出し時代があったことを示してくれる。この汚い部屋からだってスタジアムへの道はつながっているのだ。それを考えると人生は希望に満ちている。若いミュージシャンがこれを見たら、俄然、やる気が出るだろう。

その部屋の中で一番興味深かったのはキャビネット型のステレオのまわりに置いてあるレコードだ。プレイヤーの上にはマディ・ウォーターズのライブ盤『MUDDY WATERS AT NEWPORT 1960』が無造作に置かれている(名盤だ!)。よくよくステレオを覗き込むとハウリン・ウルフやジミー・リードのレコードを目にすることができる。

ロックンロールの起源については諸説あるが、もともとはチャック・ベリーがブルースを発展させてつくった音楽だ。それを白人ミュージシャンが再評価したことで、最初のロックンロールのムーブメントが全米〜世界を席巻する。日本のロカビリー・ブームもその流れを汲んでいる。ところがストーンズが影響を受けたのはその流れによるロックンロールではなく、そのルーツであるブルースだ。つまりストーンズは、チャック・ベリーがやったように、自分たちの解釈でブルースを再構築して、ストーンズ・オリジナルのロックンロールへと発展させていったのだ。どちらのロックンロールも底抜けにかっこいいが、いうまでもなく、現代においては、ストーンズのロックンロールがロックンロールのスタンダードになっている。

……と思いながら展示物を眺めていくと「ブルースというマイナーな音楽にスポットを当て、それをロックンロールへと昇格させ、ブルースの存在を知らしめた」と語るバディ・ガイのインタビュー映像が出てくる。当時の白人社会では、エルヴィス・プレスリーの名前は知られていてもマディ・ウォーターズの名前を知る人はほとんどいなかった。それをイギリス人のバンド、ローリング・ストーンズがひっくり返したのだ。ストーンズとブルースとの関わり合いを示す「ブルース・ルーツ」のコーナーがあることで、以降の展示物が説得力をもつ。ストーンズの歴史はブルースというルーツの上に成り立っていて、それは今も変わらないからだ。ここでザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトの言葉を思い出す。「自分たちがやっていることはブルースという太陽を反射しているだけ」。若いミュージシャンたちがこの「エキシビジョニズム」を見たら、自分たちの音楽づくりを見つめ直す機会を得るにちがいない。

ブルースを発展させ、自らのロックンロールを生み出し、それをスタンダードにしたストーンズは、ロックンロールをエンターテインメントのど真ん中へと導く。その歴史が、次のコーナーから展開される。再現されたレコーディング・スタジオを眺めながら、ストーンズのレコーディング・エピソードに耳を傾けることで、彼らのロックンロールへの情熱を知ることができる。解説付きの楽器からは、ストーンズの曲が聴こえてきそうだ。アート作品に昇華させたアルバムジャケットやポスターの色校やアイディアノートからは、ロックンロールがポップ・カルチャーと強く結びついていく様子が手に取るようにわかる。

そして「ライブ」のコーナーでは、その思想がステージセットにも取り入れられ、1975年の(花びら型の)「ロータス・ステージ」や1989年の「スティール・ホイールズ」の巨大セットへとつながることが示される。とくに「スティール・ホイールズ」のセットは観客や同業者の度肝を抜くと同時に、世界最強のロック・バンドであることを誇示することになったわけだが、展示されている模型を見ても圧倒的だ。1989年、ニューヨークのシェイ・スタジアムで初めてあのセットを目にした衝撃が脳裏に蘇る。その「すべてを凌駕したステージ」で自分たちなりの「ブルース」をぶちかます快感と到達感は相当なものだっただろう。そういったことを総合すると「エキシビジョニズム」はロックンロールの快進撃を描いた回顧展ともいえる。

「エキシビジョニズム」は3D上映の「サティスファクション」で本編終了。アンコールとして写真と楽器の展示があって、すべての行程が終わる。途中には、(前述したような)「ベロ・マーク」のコーナーや「ストーンズの楽曲を勝手にミックスできる」コーナーがあるので、いくら時間があっても足りない。ミュージシャンや楽器マニアだったら、リピートしないと全部をじっくり見ることはできないと思う。加えて、ショップに隣接されたカフェコーナーではストーンズのオフィシャル・カメラマン、有賀幹夫氏によるライブ写真の展示も行われている。これは日本オリジナルの企画だ。そんなこんなで13時に行って、会場を出たのが17時だった。体感としては「え、もうこれで終わり?」だったが、時計を見るとかなりの時間が経っていた。ストーンズのライブ同様、楽しいロックンロールの時間はあっという間に過ぎていくのだ。(森内淳/DONUT)

Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展

  • 開催会場:東京・TOC五反田メッセ
    開催日程:2019年3月15日(金)~5月6日(月・振休)
    開館時間:月~金・土・祝前日 11:00~20:00 ※最終入館 19:30まで
    日・祝日 11:00~18:00 ※最終入館 17:30まで
    お問い合わせ:INFORMATIONダイヤル 0570-063-050(オペレーター対応 全日 10:00〜20:00)

best album『HONK』

  • 2019年4月19日(金)リリース

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    PDCT-5003/6/12,000円+税
    解説付/歌詞対訳付
    https://store.universal-music.co.jp/product/pdct5003
  • CD1
    スタート・ミー・アップ (H)
    ブラウン・シュガー (A)
    ロックス・オフ (B)
    ミス・ユー (F)
    ダイスをころがせ (B)
    ジャスト・ユア・フール (Q)
    ワイルド・ホース (A)
    愚か者の涙 (E)
    悲しみのアンジー (C)
    ビースト・オブ・バーデン (F)
    ホット・スタッフ (E)
    イッツ・オンリー・ロックン・ロール (D)
    ロック・アンド・ア・ハード・プレイス (K)
    ドゥーム・アンド・グルーム (P)
    ラヴ・イズ・ストロング (L)
    ミックスト・エモーションズ (K)
    ドント・ストップ (N)
    ライド・エム・オン・ダウン (Q)
  • CD2
    ビッチ (A)
    ハーレム・シャッフル (J)
    ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー (Q)
    ラフ・ジャスティス (O)
    ハッピー (B)
    ドゥー・ドゥー・ドゥー…(ハートブレイカー) (C)
    ワン・モア・ショット (P)
    リスペクタブル (F)
    ユー・ガット・ミー・ロッキング (L)
    レイン・フォール・ダウン (O)
    ダンシング・ウィズ・ミスターD (C)
    アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト (I)
    エモーショナル・レスキュー (G)
    友を待つ (H)
    セイント・オブ・ミー (M)
    アウト・オブ・コントロール (M)
    ストリーツ・オブ・ラヴ (O)
    アウト・オブ・ティアーズ (L)
  • CD3
    一人ぼっちの世界 – ライヴ・アット・プリンシパリティ・スタジアム/カーディフ 2018/6/15
    ダンシング・ウィズ・ミスターD – ライヴ・アット・ヘルレドーム/アーネム(オランダ) 2017/10/15
    ビースト・オブ・バーデン with エド・シーラン – ライヴ・アット・アローヘッド・スタジアム/カンサス 2015/6/27
    シーズ・ア・レインボー – ライヴ・アット・Uアリーナ/パリ 2017/10/25
    ワイルド・ホース with フローレンス・ウェルチ – ライヴ・アット・ロンドン・スタジアム 2018/5/18
    夜をぶっとばせ! – ライヴ・アット・マンチェスター・イブニング・ニュース・アリーナ 2018/6/5
    デッド・フラワーズ with ブラッド・ペイズリー – ライヴ・アット・ウェルズ・ファーゴ・センター/フィラデルフィア 2013/6/18
    シャイン・ア・ライト(ライトを照らせ) – ライヴ・アット・アレナ/アムステルダム 2017/9/30
    アンダー・マイ・サム – ライヴ・アット・ロンドン・スタジアム 2018/5/22
    ビッチ with デイヴ・グロール – ライヴ・アット・ザ・ホンダ・センター/アナハイム 2013/5/18