但野正和が「闘う男」をテーマに綴る月イチ連載コラム

但野正和の「闘いはワンルームで」

2018/11/21

第16回:「私よ、虎になれ」

今年もいよいよM-1の季節。つまりは、私にとっては川瀬名人の季節と言えよう。
当コラム第2回で書いた、川瀬名人率いるゆにばーすは、今年もM-1決勝進出を決め。早くも私は興奮させられっぱなしである。
元来さしてお笑いに興味を持っていなかった私が、何故これほどまでに強く惹きつけられるようになったかというのは、既に第2回目で書いているので、是非とも遡って読んでいただき、そして今年は共に興奮を分かち合おうではないか。
昨年の私は、図らずも、M-1決勝当日に札幌リボルバーで単独弾き語り公演を行っていた。終演後にはお客さんから「ゆにばーす、残念でしたね…」と伝えられたことを思い出す。
そしてなんと今年のM-1決勝の日。12月2日には、三軒茶屋カムトゥギャザーにて。昨年に引き続き私は、単独での弾き語り公演を予定している。この素敵な偶然に、再び運命を感じている。ストイックすぎる川瀬名人の生き様に、気合いが入らないわけがない。私は私で、12月2日に向け、心臓が引き締まる思いだ。

と、流石に以前に書いたことがある川瀬名人への愛をいつまでも書き綴るわけにもいかず。今回は誰への愛を叫ぼうかと考え続け数日。気付けば〆切を過ぎ(誠に申し訳ありません…)
いよいよ掲載日が明日に迫った本日。
ついに私は、今ここで、最終奥義、岡山が生んだ日本最強の闘う男を召喚することにした。

彼についてはどのみち今年中に書いておこうと思っていたところだ。実に好都合である。
今回は珍しく音楽人についての話をしよう。

2018年もいよいよ終わりが近い。
日頃からそれほど熱心にライブを観に行く人間ではないのだが、そんな中で、今年の私は遂に観てしまったのである。
そう!B’zのライブを!稲葉浩志を!

私がB’zに熱を出し始めたのはつい最近のことで(出会いは2013年の二作同時ベストが出たあたり)かなりの稲葉ビギナーである。
学生時代、パンクロックに卒倒していた私の目にはB’zが映ることはなく。あろうことか、当時の私は稲葉のことを、とんだパリピ野郎だと思っていた。
恐ろしい勘違いなのだが、興味の無い世界というのは時に、奇跡的な偏見を産む。

その頃の私が抱く稲葉のイメージは。

夏は太陽の下。限りなく裸に近い格好で、美女に囲まれ砂浜でバーベキューに興じる。
冬はハワイでこれまた太陽の下。もちろんほぼ全裸で美女に囲まれアルコールに溺れる。そして夜はクラブでテキーラをイッキ。宴は朝まで続いた~fin.

私はそんな大きな勘違いをしたまま、本当の稲葉を知ることもなく歳をとっていた。

はじめの出会いは非常にカジュアルなものだったことを覚えている。
それはたまたまユーチューブに出てきたライブ映像であった。
稲葉が黒のスキニーから、ほんの一瞬で短パン姿に変わるもので(足の部分を自らで引っ張ると、マジックテープのように足部分がバリッと外れて短パンになる。書いてる自分でも訳が分からないが事実だ)
それ以来「なんだか面白い」という理由のみで、B’zに注目し始め、稲葉は他にどんなステージで楽しませているのかと、探り始めた。

例えば、
回転する円形のステージでポールに掴まりながら歌ったり。
10mほどの高さから真っ逆さまにダイブしたり。
全速力で走りながら、それでも一切乱れず歌いきったり(有名な話だが、肺活量は成人男性基準値の2倍)。
そして恥ずかしそうに優しく喋るMCや、松本へちょっかいを出すお茶目な一面も。

この頃にはすっかり夢中になっていて。私はもっともっと稲葉が欲しくなっていた。

例えば、
ライブ前には自信がなくなり、逃げ出したくなったり。
ライブが近付くとよく失敗する夢を見たり。
「稲葉よ、虎になれ」と弱い自分自身に唱えたり。

私が当初抱いていた偏見は完全に砕け散り、そのギャップに、マイハートは完全にヤラレていた。

痺れる逸話も多々ある。

例えば、
歌詞が完成しなくて、山に籠ったエピソードや。
「筋トレをする時は?」という問いに対する「必要と感じたときに、必要以上に」という回答。
雑誌の表紙を笑顔で飾った際に添えられる文字は「死なないカラダの作り方」や「殺す女、殺される女」さらには「女性のための駅弁ベスト30」(こういったもののせいで誤解していたのかもしれないな…)

他にも、神経質に喉を大切にするエピソードは数知れず。まさにプロフェッショナル。

そして、なによりだ。
そんな稲葉の人間性をフルに投影する歌詞こそが。
闘い踠き続ける一人の男が綴る歌詞こそが。
彼の真骨頂であると、私は思う。

稲葉の詞の中からは、大勢で肩を組み合唱するようなイメージは到底出来ない。
それ故に、群衆のテーマソングにはなりえないと、思っている。あくまで個人的な意見だ。

稲葉の歌の中には、恐ろしく孤独を感じる。誰かと分かち合った苦しみではなく、一人で乗り越えようと踠き。自分の内面にある熱を歌う。

もし、あの頃の私のように、まだ稲葉を勘違いしている奴がいるなら、彼の詞にカウンターを食らうがいい。

 

おのれの限界に気づいたつもりかい?
かすり傷さえも無いまま終わりそう

祝福が欲しいのなら悲しみを知り独りで泣きましょう
そして輝くウルトラソウル

 

但野正和の「闘いはワンルームで」

イトコの子供が描いたミッキーマウス


DOUBLE SIZE BEDROOM
「模倣犯深夜革命」

DOUBLE SIZE BEDROOM LIVE
11月25日(日)旭川カジノドライブ
12月1日(土)下北沢のライブハウス「下北沢にて’18」

但野ひとり弾き語り
11月23日(金)札幌リボルバー
12月2日(日)三軒茶屋COME TOGETHER

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