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但野正和が「闘う男」をテーマに綴る月イチ連載コラム

但野正和の「闘いはワンルームで」

2018/12/19

第17回:「僕たちが考えなきゃいけないのは、いつだって目の前の一手です」

諸君、ちょっとした事件が起きた。いや、厳密に言えば起きたわけではないのだが……。そう、その事件は随分と前からそこに存在していた。それを最近ワタシが知ったというだけだ。

以前にこのコラムで書いた『劇場版名探偵コナン』の中で事件は起きていたのだ。

……安心してくれ。手短にすませるつもりだ。
実はワタシ、このコナン映画シリーズで唯一観ていなかった作品があったため(不覚!)この度ようやっと観てみた。それが『11人目のストライカー』というソレなのだが。

なんとその作品で、三浦知良が本人役として声優出演していたのだ。
このコラムでワタシが書いた両者が奇跡のコラボ。まさに俺得な夢の共演である。

ちなみに興味を持った性格の良い奴に伝えときたい。
本人役として多数のサッカー選手が登場するのだが、全員が見事な演技力。棒読みという言葉でジャンル付けをして良いものかも難しいほどに、味わい深い演技を披露しており。そういう点でも、なかなか見応えがある。

ちなみにフォロー的な意味では無いのだが、この演技について本気で文句を言ってるような奴は、正に現代の日本に広く蔓延する毒牙に侵されてるしょーもない奴である。(この記事を書くためにネットサーフィンしてみたら案外そういう奴がいて驚いた)
声優の演技が完璧じゃないことで、寧ろカズのゴール前でのプレーには説得力が増すはずなのだ。それをだ。
妥協なくトレーニングを重ね、誰でもなれるわけじゃないプロ選手をやってる者に対して、誰でも出来る批判を繰り返すだけの奴。その人生たるやなんと見応えがないことか。
そういうときのだいたいは、ガハハと笑って面白がるのがエンターテイメントの楽しみ方だろうが。あー、おもしろ。

閑話休題
(使い方が正しいか知らんが、この言葉便利すぎる)

さて、年末である。2018年もいよいよ数日で終わるわけで。
ふと思い出すのは、以前に友が話していた、プロゲーマーのドキュメンタリー番組のこと。
その番組内で彼が発言したという「生きている間に1秒でも長くゲームをやっていたい。それだけです」という言葉に、あの日のワタシたちは酷く興奮したものだ。
そしてそれとは対照的に、やるべきことを後回しにダラダラとマリオテニスに興じている自分自身に、多少の後ろめたさを感じながら。結局それも自虐的なコトバで茶化し、闇に隠してヘラヘラと笑っていた。
嗚呼、懐かしい青春の日々よ。

閑話休題 vol.2

村山聖をご存知だろうか。
なんて偉そうに書いたが、ワタシはほぼ知らない。
『聖の青春』という映画を観ただけの超にわか野郎だ。(しかもその映画を観たのも、染谷将太が出演しているから。という理由であった)

原作の小説も未読、当然生前の彼を知るわけもない。
つまりワタシにとっての村山聖は、松山ケンイチが演じる村山聖なのだが。この映画での村山の闘い方が凄まじいのである。

村山聖という男は、29歳でこの世を去ったプロ棋士なのだが、病気のため先が長くないことを知りながらも、名人を目指し将棋を指し続けた人物である。
劇中での村山は、自分の命と将棋とが天秤にかかっているとき、将棋を選択し続ける完全な将棋ファイターぶり。

がんにより膀胱摘出しなければ余命三ヵ月と宣告されながらも、
「麻酔しないんなら手術してもいい。麻酔は脳が鈍る。将棋弱くなりたくない」と言い放つ。
流石にそんなアホなと思ったが、
あの加藤一二三氏にも、前歯を入れない理由として似たようなエピソードがあるため、
世の将棋に魅せられたファイターたちは、本当に変わっているというか、イカレているというか、カッコイイナァもう。

酒に酔った村山は「将棋は殺し合い。それが全てだ」と語り。
命かけてると言う染谷(江川貢)に対し、おまえのどこが命かけとるんじゃと殴りかかる。

無論、命は長くても短くても有限にかわりはない。誰もがその時間を使いながら生きているのだから、本気で追う対象があれば。全ての者たちは、命をかけていると胸を張っても間違っていないとワタシは思っている。
だが村山は、その究極の姿な気がして。流石に気が引けてくるのだ。

 

一年ぶりぐらいに改めて映画を観たあと。せっかくスマホなんて便利なもんがあるので村山聖について調べてみた。(ウィキペディアを見てみただけ)

是非映画を観たあとには、君にも調べていただきたい(ウィキペディアを見ていただきたい)

そこに記述されていた晩年のエピソードには、生きることに拘った村山の姿があり。結局最後はそれが全てなのかもしれんなと、改めて思えたのだ。

 

但野正和の「闘いはワンルームで」

生きている間に、一曲でも多く作りたいです


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