但野正和の「闘いはワンルームで」
第21回:「カウント10」
父の四十九日で女満別へ帰省。それだけの時が経ったが、未だ全く死んだ気がしない。
胸を張って言えるようなことではないのだが。
俺には全くと言っていいほどに、信仰心というものが無くて。(人それぞれなので、あくまで自分の話です。信じる人を否定する気は毛頭ないし。それによって幻滅することもない)
正直、仏様とか言われてもなあ…とか。
生きてるうちに会えないんじゃ、なんも意味ないわ…とか。
あとは「忘れないために。いつまでも覚えているために」とか言われると、「は?遺族なめんじゃねーぞこら!」って思うし。
ただ、父を亡くした今。
可能性として、もう父の存在はそこにしかないと思うと。
神や仏を心の拠り所にする人の気持ちも少し理解できる気がする。
俺はただなんとなく、線香をあげる行為が楽しくて。燃え尽きているのに気付く度に、線香に火をつけた。
以前に当コラムで題材にしたことのある祖母は、息子の死に随分とダメージを受け、一気に老け込んだ。
(気になる方は第10回を。身体に良いからと激まずい創作料理を食わせてくる。身体はともかく、精神には確実に良くない)
醜い自分を他人に見せたくないという気持ちが異常に強い女性なので、バリバリっとお洒落をしないと外に出ようともしない。ロックスターとしての素質を大いに持った祖母である。
身体はともかく、せめて脳を動かすのに貢献してやろうと。帰省ついでに、祖母と会話をした。すっかり弱気になり、ネガティブな発言が多くなっていたんだが。ふと口にした
「年寄りになると、いつ死んでもいいとか言う人がいるけど。全然そう思えないな。婆ちゃんはまだまだ生きたい」
やっぱこいつはロックスターなんじゃないかと思った。
眼は死んでない。まだ闘える。
体内で竹原ピストルのカウント10が鳴り響いた。
「カウント10だけは自分の諦めが数えるものだ。ぼくはどんなに打ちのめされようとも絶対に、カウント10は数えない」
俺たちは死ぬまで生きる。とことん執着していくぞう。
父の車を受け継ぐことになったため、共に闘ってきたボロボロのユキオ号(アカルイミライのジャケットでお馴染み)とお別れすることになった。ありがとう。
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俺らが旅に出る理由ツアー
4月27日(土)西永福JAM
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