但野正和の「闘いはワンルームで」
第4回:おまえの価値観デストロイ
「おまえの価値観ぶっ壊してやるよー!」的な台詞は、ライブハウスによく足を運ぶ者なら耳馴染みのある言葉ではないだろうか。
おそらくバンドマン叫びランキングの上位に入るであろうこの台詞は、かく言う私ももれなく叫んだ経験があり(照)
だがしかし、この「価値観が壊れる」というのがどういうことなのか、イマイチピンと来ないままに、私は乱用してしまっていたことを白状しよう。
新たな価値観が自分の中に追加されるのではない。壊れるのだ。
具体的にどんな状況かは明確ではないにしろ。そのよほど容易くはないことを成し遂げようと、男達はステージ上から吠える。
しかし、やはり言葉にするほど簡単ではないため、客席サイドではそげなこと滅多に起こらず。
これによりステージと客席には過度な温度差が発生。
需要と供給の不一致。
若者のライブハウス離れ。
集客の出来ないバンドが難民の様に溢れ。
ある者はライブハウスのノルマ制度を嘆き。
またある者は集客の出来ぬバンドはライブをするなと叩く。
SNS上はまさに地獄絵図。
解決不可の泥試合。
も、もうダメか…と誰もが諦めかけたその時。
救世主となる飯屋が現れた。(メシアとメシヤで踏んでいる)
それが、カレー魂デストロイヤーである。
まず説明せねばならないのは、圧倒的なスパイス力で札幌カレーシーンを独走してきた「村上カレー店プルプル」
その姉妹店として誕生したのが「カレー魂デストロイヤー(元祖)」である。
私は専らプルプルに通っていたが、定休日の日曜でも村上カレーが味わえることもあり、何度か利用していた。
しかしそのデストロイヤーが、2016年5月に惜しまれつつも閉店。
今後は、日曜にあの味を無性に食べたくなっても二度と味わうことは出来ないのか…と誰もが諦めていたその時!
2人の男が立ち上がった。
その2人こそが、新生デストロイヤーを誕生させた勇者である。
ちなみにこの2人は、言ってみれば単なるプルプルの熱狂的な中毒者であり、
「デストロイヤーなくなるのダメじゃない?」という心意気のみで、レシピと名前を受け継いでデストロイヤーを復活させたのだ。
神か!神なのか!イエスキリストとブッダなのか!2人は聖おにいさんなのか!
そしてこのデストロイヤーもといプルプルは、俺がそうされたように、多くの人々の価値観を破壊してきたに違いない。
まず私は、辛いものが苦手だった。
「苦手」という明確に凝り固まった価値観を壊したのがプルプルのカレーだ。(辛さは0番~100番が基本だが、上限なく辛くすることが可能)
バイト先の先輩だった今井さん(元気かなぁ)に連れられ、初めて訪れたとき。辛いのが苦手な私は1番を注文していたのだが。その後、何度も今井さん(給料の大半を服に費やす)に連れられて通っていくうちに、辛さを上げれば上げるほどに旨味が増していくスパイスの世界にどっぷりとハマり。価値観は完全に叩き壊された。(今井さん、もし見てたら連絡ください)
そしてもう一つ、新生デストロイヤーの店内はカウンター席のみなのだが、元来私はこのカウンター席というのがどうも苦手であった。しかし今ではすっかりと価値観を破壊され、カウンター席に座るのが醍醐味とすら思っている。恐らく今後、デストロイヤーにボックス席が出来ても、カウンターに座り続けるであろう。
他にもデストロイヤーに破壊された価値観は数知れず。
例えば、ケチな私は、カレーにトッピングをするというのはどうもコスト的にお得ではない気がして、絶対にすることは無かったのだが。今では自分だけの定番があり。トッピングは最早恒例行事。(もちろん、そもそも完璧な仕上がりなので、トッピング無しでも最高に満足できます)
その他にも、バンドを応援してくれるお客さんの気持ちが少し理解できたような気になったり(自分の中にあるデストロイヤーへの愛と重ねたり)
プルプルとデストロイヤーにこそ、価値観破壊のヒントがある。
血液にスパイスを流す度、その言葉に説得力が増していく。
闘う男の宇宙一美味いカレーを君も食うべし。
俺の定番。ナット挽肉のニンジンをナスに。ニラとサブジをトッピング