今回、ARABAKI ROCK FEST.17のレポートを担当する音楽ライターの秋摩竜太郎です。でも僕、これまで一度もアラバキに行ったことがなくて……。そりゃラインナップが毎年最高なのは知ってるけど、暑いし、雨やだし、体力ないし。なんとなくハードルが高そうで。同じように感じている人は意外と多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、ライブレビューはもちろん、初参戦の僕でも超満喫できましたということをお伝えしていきます。
4月29日
前日に仙台入りし、ホテルで1泊。会場のみちのく公園北地区エコキャンプみちのくまでは仙台駅からシャトルバスが出ていて、昨年の話を聞いた限りでは相当並ぶだろうと覚悟していた。でも今年からバスチケットが一時間ごとに区切られていたおかげでわりとすんなり。僕は購入時期が遅れて10時〜11時の券だったけど(早めのゲットをオススメします、ホントに)、9時半頃から並び10時前に出発。11時過ぎに到着できた。入場は、シャトルバス乗降場から風の草原側入場口まで約5分、エコキャンプ側入場口までは距離があり、この時間はお客さんが多いので20分程度かかると思っておいたほうがいいかと。
会場へ入ってまず感じたのは、意外に若い人も多いなということ。勝手におじさまお姉さま方ばかりだと思っていてすみませんでした(笑)。20代はもちろん、10代やお子さんも一定数いる印象。そしてラッキーなことにめちゃくちゃ快晴だった。ぎらりと眩い太陽の下、激アツライブのスタートである。
初っ端はHASEKURA Revolution×東北ライブハウス大作戦ステージへ。個人的本命のひとつ、a flood of circleの登場だ。アコースティックということで着座スタイル。《ようこそみんなアラバキ/お空も晴れてる今日はラッキー》と、佐々木亮介(Vo, Gt)の弾き語りで恒例となっている、その日の気分を気ままに歌うブルースセッションからスタート。澄み渡った青空、周囲に臨む山々、吹き抜ける風。そしてブルース。最高である。
「I LOVE YOU」のロックンロールビートがハッピーな盛り上がりを加速させ、「理由なき反抗(The Rebel Age)」の巻き起こす合唱が一体感をもたらす。ここでとびきりのサプライズ。「俺の人生がなんでこんなことになっちゃったかって言うと、とあるバンドのせいで。そのバンドのメンバーに初めて楽屋で会ったのがアラバキで。直立不動だったのに内蔵はジェットコースターに乗ってるみたいで(笑)。そのときのライブ中、ステージ袖で熱唱してた曲やりま〜す!」と、スピッツの「チェリー」を披露したのだ。しゃがれ声のこの曲もまたオツ。ここ1年ほど、特にシングルやアルバムの中心となる楽曲は、泥臭い疾走感よりもキャッチーな浮遊感やスケールの大きさが前面に出ていた。それはバンドが変わってしまったわけではなく、もともと持っていたものなのだということがよく伝わってくる好演だ。
続いてジャズブルージィな「Trash Blues」をしっとり届けながら、ギターソロで「テツいいじゃん! もう一周!」と佐々木が促し、アオキテツ(サポートGt)が立ち上がってノリノリに。さらに「New Tribe」の大地を揺るがすようなグルーヴ、伸びやかな魂の叫びが大空と溶け合っていく。ラストは「結局ロックンロールしてもいいですか!?」と「シーガル」。全員が立ち、前方へなだれ込み、佐々木は観客の上で膝立ちだ。アコースティックなのに(笑)。短い時間にさまざまな表情を凝縮し、ロックンロールの名の下にジャンルも固定観念も偏見もすべての枠をブチ壊すようなアクトだった。そしてなるほど、これがアラバキだと教わったような気がする。彼らのライブは数え切れないほど観てきたけれど、この日は今までのどれとも違った。この地でしか、このフェスでしか生まれないマジックのようなものがたしかに存在していたのだ。来てよかった、と早くもうれしくなる。
- セットリスト
- 01. I LOVE YOU
02. 理由なき反抗(The Rebel Age)
03. チェリー(スピッツ)
04. Trash Blues
05. New Tribe
06. シーガル
HASEKURA付近でしばし休憩しているとザ・ビートルズの「All You Need Is Love」が聴こえてくる。片平里菜のリハーサルだ。このあとTSUGARUでの出演も控える彼女が、まずは弾き語りを披露。
本編1曲目もカバーで、THE BLUE HEARTSの「青空」を気持ちよさそうに歌う。小さい頃、アラバキに家族で遊びに来たというエピソードを挟みながら、タブラボンゴのASA-CHANGを迎え「舟漕ぐ人」をプレイ。さらにボブ・ディランの「Blowin’ In The Wind」をRCサクセションの日本語詞で。この人、歌声やギターはやわらかいニュアンスだけれど、心は凛と、煮えたぎる熱情すら抱えているところがたまらない。急遽藤原さくらとの共演も叶うなど、スペシャルなステージとなった。
- セットリスト
- 01. 青空(THE BLUE HEARTS)
02. 舟漕ぐ人
03. Blowin’ In The Wind(ボブ・ディラン)
04. Hey Jude(ザ・ビートルズ)
05. Come Back Home
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