Droogがみせた原点奪還、そしてその先へ
8月にリリースしたアルバム『命題』は、Droogにとってバンド、ライブ、ロックという原点を奪還する力強さと新たな覚悟を示す作品だった。と同時に、紆余曲折を経て自分たちの足で立ち上がった4人の大きな成長と変化を孕むアルバムでもあった。恐るべき子供たちともクソガキともいえる10代の結成~デビュー当時、ヒリヒリした眼差しでステージに立っていた彼らは今、その眼差しの奥に深い包容力をたたえるようになった。何度も言うが“丸くなった”という意味では決してない。伝えることの意味を手にしたのだ。
アルバムを掲げた全国ツアー・ファイナル、11月4日・渋谷La.mama。満場のフロアの前に登場したDroogは、かつてないほどの強い軸足でそこに立っていた。それに気づいたのは1曲目「TOKYO SUBMARINE」が鳴らされたとき。東京を潜水艦に喩え、輝きも怖さも綴ったこのナンバーを、第二のホームのようなこの場所で歌う姿は、大分出身の彼らが「帰ってきたぜ」という叫びとともに大きな感慨を生む。このスタートだけで、いかに今ツアーが充実したものだったかが伝わってきた。そして間髪入れずにアッパーなナンバーが続くと、早くもカバーを披露。マラカスを持ったカタヤマヒロキ(Vo)の色気と曲のグルーヴが見事にマッチした「Daddy Rolling Stone」、高速テンポの「ロコモーション」と、選曲の振り切り具合が小気味いい。
初めて弱音を吐いたという楽曲「loser」を歌い終わった後にみせたカタヤマの不敵な笑みは、もうそんな弱音など乗り越えたととれる自信のようでもあったし、その自信のあらわれは、ライブ中盤からオーラスに向けて全曲がクライマックスのような美しさと爆発力でつながっていった。とくに「オールド・ロマンス」「晩夏のブルース」「こわれても」の流れで聴かせたなんとドラマチックな人間味。DroogがDroogであるために、昇華した思いが歌やサウンドの端々から零れ落ちてくる。その思いをさらにすくい上げるようなカタヤマのボーカルが素晴らしい。この歌たちは、Droogというバンドを未来へと進ませる強い力だ。そんなカタヤマの歌に呼応するがごとく、荒金祐太朗(Gt)のリフ勝負のドライヴィンなギターも、右田智弘(Ds)のダイナミックなビートも、多田拓斗(Ba)のヘビーなグルーヴもいっそうタフになった。彼らのアンセムとなった「BAND ON THE ROAD」の大きな響きがそれを証明している。本編ラスト「Johnny&Vicious」「ロックンロール以外全部嘘」「Theme of Droog」の三連打では一気に熱風を送り込み、ロックンロール・バンドたる無敵さを十分に見せつけた。
アンコールがまた圧巻だった。「人類」「LoveSong」「いざさらば書を捨てよ」と、フロア歓喜の初期ナンバーで原点を現在地に引っ張り出したかと思えば、続くは最新作からのタイトル曲「命題」を披露。<「ロック」じゃなきゃ 「バンド」じゃなきゃ 「ライブ」じゃなきゃ やりたくない!>。<「ロック」がいいんだ 「バンド」がいいんだ 「ライブ」がいいんだ やめられない!>。Droogが奪還した原点が、こんなにも剥き出しの衝動であることにグッとくる。ラストは新曲「青い道」。ライブでどんどん骨格が太くなっていった曲だが、ステージ上の4人の視線から、彼らの見据えるBAND ON THE ROADがはっきりと見えた気がした。この「青い道」は、先日リリースが発表されたメジャー復帰ミニ・アルバム『Monochrome』(12月21日)に収録される。思えば彼らははじめからこう歌っていた――<いつでも逆転を狙う>。そう、原点を奪還して、何度だってここから。(秋元美乃/DONUT)
- -Droog『命題』release Tour 2016- FINAL
2016/11/4(金)東京・渋谷La.mama - SETLIST
- 1.TOKYO SUBMARINE
- 2.やけっぱちDAYS
- 3.Happy People’s
- 4.健康優良不良少年
- 5.Daddy Rolling Stone
- 6.ロコモーション
- 7.Neon Sign
- 8.loser
- 9.終点
- 10.B級ブギー
- 11.オールド・ロマンス
- 12.晩夏のブルース
- 13.こわれても
- 14.血まみれでも きみは美しい
- 15.夜明け前
- 16.BAND ON THE ROAD
- 17.Johnny&Vicious
- 18.ロックンロール以外全部嘘
- 19.Theme of Droog
- En
- 1.人類
- 2.LoveSong
- 3.いざさらば書を捨てよ
- 4.命題
- 5.青い道