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2018/12/19

森内淳の2018年9月 ライブ日記

8月のライブ日記を書いたあと、原稿の着地点を見失って筆を置いていた。すると、THE BOHEMIANSの平田ぱんだくんに、「もう書かないんですか?」と詰め寄られてしまった。そこで再び書くことにした。このライブ日記は落とし込みどころがわからなくて、いろいろ迷っていたが、まずはタイトルを入れて400字以内に収めることにした。それからブログをベースに加筆修正することもルールに加えた。とにかく無理は禁物だ。そうやってルールを設けたら自ずと落とし所も見えてきた。こんな感じで書いていこうと思う。

 

9月2日(日) 夏の魔物2018 in TOKYO お台場野外特設会場J地区

ロック・バンドとアイドルが夏フェスを賑わす光景はもはや当たり前になった。それを初めたのが「夏の魔物」。最初はずいぶん批判されたが、けっきょくは先見の明があったということ。成田大致が原点のロックンロールへとブランディングを始めたのも何か勘みたいなものが働いたのだろうか? 今回、最も注目したのはTHE 夏の魔物のパフォーマンス。この日は、とにかくポジティブなパフォーマンスに徹底していた。今まで見たなかで確実に一番楽しそうにうたっていたのではないか。自分たちがトリを務めるという覚悟もよかったのかもしれない。はっきりいってベスト・ライブだった。ただフェス全体でいえば、さんざん批判されているように、音のかぶりが酷すぎた。主催の成田大致と会場をデザインしたイベンターとの連携の問題と思われる。来年の改善に期待したい。

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9月11日(火)浅井健一 eplus LIVING ROOM CAFE&DINING

渋谷のリビングルーム・カフェで浅井健一のライブ。全員着席して飲食を楽しみながらライブを見るというスタイル。とはいえビルボードのように天井が高くていかにもホールといった雰囲気ではなく、あくまでカフェ&ダイニングなので、ステージも低いし、オーディエンスとの距離も近い。インターチェンジ・キルズやSHERBETSなど、音楽性の異なるステージを同じように高みへ持っていけるのはどうしてだろう、といつも不思議に思っていたが、どんな会場でもフィットする楽曲とアレンジ力を持っているからに違いない。ロックンロール・アーティストのなかでは一番柔軟性に富んでいるかもしれない。充実した70分間を過ごした。

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9月16日(日)ザ・コレクターズ SHIBUYA CLUB QUATTRO

ザ・コレクターズが毎月、渋谷クアトロでライブをやるマンスリー・シリーズの9回目。ボクシングの大一番、ゴロフキンとアルバレスの再戦の日に「BOXING TIME」をシリーズ2度目の投下。6曲目「ロマンチック・プラネット」からポップなナンバー「勘違い転じて恋となす」の流れがよかった。発表当時はポップすぎだという意見もあったが、アイドルによるポップな曲が世に氾濫したあとに聴くと、それらとは一線を画す「高性能なポップ・ソング」として響く。コレクターズのポップは賞味期限を失わない。コレクターズの評価が結成30年以上経った今も上昇しているのは、そういう曲をつくれるからだ(レコーディングは相変わらず苦労しているらしいが)。今日一番のレア曲はスピッツのイベント「新木場サンセット」で披露したスピッツの「ドルフィン・ラヴ」。通常のツアーではありえない選曲はこのシリーズならではだ。

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9月25日(火)秋山黄色、ステレオガールほか Basement Bar

秋山黄色のライブを見に下北沢のベースメントバーへ。出演者はニューカマーばかり。「ミュージシャンは儲からない・憧れられない」というのが若者の間での定説らしいが、にもかかわらず音楽を選んだ若者たちが鳴らす音楽は素晴らしい。秋山黄色も例外ではない。今日も3ピースの編成で骨太な演奏と歌を披露。もともと高い作曲能力とボーカル力を持っているアーティストだ。ライブを重ねるごとに秘めたる力が開花していく手応えがある。次に登場したのがステレオガール。ボーカルの毛利安寿は「WEB DONUT」を「揚げドーナツ」と命名した張本人。毛利安寿の佇まいは90年代のブリットポップそのもの。もっとロックンロールなのかと思っていたが、バンド全体もオルタナティブの匂いが前面に打ち出されていた。「ガールズ・バンドを拒否したガールズ・バンド」の今後の活躍に期待したい。

9月26日(水)山﨑彩音 新宿レッドクロス

「アフターストーリーズ」や「世界の外のどこへでも」といった外の世界とコンタクトする楽曲と「メェメェ羊とミルクチョコレイト」や「キキ」といったヘビーな楽曲を、わずか30分の演奏時間のなかに同居させたのがとてもよかった。どっちも山﨑彩音、どっちも正解、答えはひとつじゃない。彼女が『METROPOLIS』で示した気分を丁寧に折り込んで表現したライブだった。バンドメンバーもそういう彼女の心情を若い感性で包み込み、寄り添い、刻一刻と変化する19歳の女の子の心の物語として紡いでいった。

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9月29日(土) 9mm Parabellum Bullet ZeppTokyo

9mm Parabellum Bulletを見にZeppTokyoへ。満員ソールドアウト。楽曲が矢継ぎ早に演奏され、MCも少なめ。本編は80分で終了。最近こういうタイトなショウが増えた。クロマニヨンズや女王蜂もそう。海外のアーティストは言わずもがな。タイトなかわりに1曲1曲の熱量はすごい。今日はリクエストライブということもあって、オーディエンスも盛り上がっていた。しかし9ミリのライブを見ると、最近の若者たちのバンドの出音がでかすぎるのがわかる。出音がでかいと一瞬迫力があるように思えるのだが、歌が届いてこない場合も。9ミリは「轟音」の部類に入るバンドだけど、ひとつひとつの楽器の音と歌がちゃんと届いてくるように、きちんとPAがコントロールされている。スタッフがプロだということもある。ここまでのものは期待しないが、研究の余地はあると思う。

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(森内淳/DONUT)

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